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薄暗い病室に死神は立っていた。
少年ユウキはベッドの上で静かに眠っている。
死神は黒いローブを身に纏い、顔色は土のように灰色で目は燃えるような赤色をしていた。彼はこれまで数え切れないほどの魂をあの世へと導いてきた。

だが、この少年の魂を導くことに死神は奇妙な躊躇いを覚えている。ユウキの魂は死神が今まで出会った人間とは違っていた。わずか10歳という若さで重い病に侵されながらもその表情は穏やかで魂は澄み切っている。

死神は興味本位でユウキの魂を観察することにした。

ユウキの魂は透き通るように純粋で温かい光を放っていた。彼は短い人生の中で多くの苦しみを経験してきたようだ。両親を早くに亡くし施設で育ち、そして病魔に襲われた。それでもユウキの心には憎しみや怨念はなく、愛と優しさで満たされている。
ユウキは施設の子供たちや職員を心から愛し、いつも笑顔を絶やさなかった。彼は自分が病に苦しんでいることを知りながらも周りの人々を常に励まし続け、感謝の気持ちを忘れなかった。

死神はユウキの魂に深く感動し心を揺さぶられた。彼は初めて「命を奪う」という自分の仕事に疑問を感じた。なぜ、こんなにも純粋で美しい魂をあの世へ連れて行かなければならないのか。

死神は葛藤に苦しんだ。

ユウキは死神の存在に気づいていた。彼は死神の心の揺れを感じ静かに目を開けた。
「あなたは死神さんですか?」ユウキは弱々しい声で尋ねた。
死神は驚いてユウキを見つめた。
「なぜ、わかるのだ?」
ユウキは微笑んだ。
「だって、あなたはとても悲しそうな目をしているから」

死神は言葉を失った。

ユウキは死神の心の内を見透かしていたのだ。
「死神さん、あなたはあなたの仕事をして下さいね」
ユウキは優しく言った。
「僕はもう十分生きたから。それに天国で父さんと母さんに会えるのが楽しみなんだ」

ユウキの言葉に死神の目から涙が溢れ出した。
それは死神が誕生して初めて流す涙だった。
彼は震える手でユウキの魂を優しく抱きしめた。

「ありがとう」ユウキはそう言って目を閉じる。
「安らかに…」死神は涙で濡れた声で言った。

死神はユウキの魂をあの世へと導いた。
ユウキの魂は天国の光に包まれ穏やかに微笑んでいる様に見える。

死神はその後も多くの魂をあの世へと導いている。
しかし、ユウキとの出会いで彼は命の尊さを知り、魂の美しさに気づかされた。

そしてユウキの魂を送った日に流した涙は
その死神にとって最初で最後の涙だった。


古い書物にこう記されている。

『天使とは、死神の涙に触れた魂である』と


終わり



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— 浮気_独身偽装_失踪@ブルーフィールド (@yokohama_BF) November 22, 2024


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