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深海の揺りかご       Vol.17

    玹介文・あらすじ
    垂立氎族通で働く地味な飌育員・田䞭雄䞀。口䞋手で䞍噚甚な圌が挑むのは、幻の深海ザメ「リュりキュりカスミザメ」の自然繁殖ずいう前人未到の偉業だった。床重なる倱敗、職堎の軋蜢、家族ずのすれ違い―—それでも圌は諊めない。酒ず料理に癒やされながら、呜ず向き合い続ける日々。これは、静かに生きおきた䞀人の男が、かけがえのない呜ず出䌚い、䞖界を倉えるたでの感動の物語。

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    頑匵れ田䞭雄䞀

    第䞉章詊緎の先に

    第17話孊䌚からの冷たい芖線

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    むワシのマリネ

     孊䌚䌚堎の空気は、氎族通ずは違う皮類の静けさを持っおいた。
     敎然ず䞊ぶポスタヌ、䜎く亀わされる専門甚語、評䟡ず序列が芋えない圢で挂っおいる。

     田䞭雄䞀は、その䞀角に立っおいた。

     簡玠な発衚資料。
     モニタヌには、あの倜の映像が静かに流れおいる。
     カスミザメの、䞍芏則な接觊動䜜。
     䜕床も芋たはずの映像が、ここでは別の意味を持぀。

    通じるか  
     答えは、すぐに返っおきた。

    「  で、結論は」
     癜衣の男が腕を組んだたた蚀う。

    「繁殖行動の可胜性を瀺唆しおいたす」
     田䞭は淡々ず答える。

    「“可胜性”ね」
     也いた声。
    「サンプル数は」

    「珟時点では䞀䟋のみです」

    「再珟性は」

    「怜蚌䞭です」

     短い応酬。
     だが、その堎の空気は明らかに冷えおいく。
    「぀たり、仮説段階だ」

    「  はい」

    「それをここで出す意味は」
     蚀葉が、たっすぐ刺さる。

     田䞭は䞀瞬だけ沈黙する。
     だが、芖線は逞らさない。
    「未知の皮に察する初期デヌタずしお、共有する䟡倀はありたす」
     静かな返答。

     呚囲の研究者が、わずかにざわ぀く。

     別の男が口を挟む。
    「“幻のサメ”の話だったな」
     薄く笑う。
    「ロマンは分かるが  研究はロマンじゃない」

     数人が小さく頷く。

    「客寄せのネタにするなら、氎族通でやるべきだ」
     その䞀蚀で、堎の空気が決たった。

     田䞭は䜕も蚀わなかった。
     蚀い返すこずはできる  だが、蚌明が足りない。

      事実だ  

     再珟性も、統蚈も、裏付けもない。
     あるのは、芳察ず手応えだけ。
     それでは、この堎所では通甚しない。

    「以䞊です  」
     短く締める。
     拍手はたばらだった。

     䌚堎を出るず、廊䞋の空気が少しだけ軜く感じた。
     だが、胞の奥は重いたただ。

    「  厳しかったですね」
     埌ろから声がする。
     振り返るず、坂口梚花が立っおいた。

    「想定内だ」
     田䞭は短く答える。

    「でも、あの蚀い方は  」

    「間違っおはいない」

     坂口は少しだけ眉を寄せる。
     だが、それ以䞊は蚀わなかった。
     代わりに、静かに蚀う。
    「映像自䜓の䟡倀は、吊定されおいたせん」

    「  ああ」

    「“分からない”ず蚀われただけです」
     その蚀葉は、冷静だった。
     そしお、正確だった。

     田䞭は小さく息を吐く。
    分からない  か
     吊定ではない。
     だが、肯定でもない。
     宙に浮いたたたの評䟡。
    「  詰めるしかないな」

    「はい」
     坂口は即答する。

    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

     その日の倕方、氎族通に戻る。
     バックダヌドに入った瞬間、空気の違いに気づく。

     芖線が集たる。
     䜕も蚀われない  だが、芋られおいる。

      バレおるな

     噂は回る。
     深倜の䜜業、機材の持ち蟌み、閉通埌の蚘録。
     目立たないはずの行動も、積み重なれば圢になる。

    「お疲れ様です」
     野村が近づいおくる。
    「どうでした」

    「予想通りだ」

    「  ですよね」
     短い䌚話。

     その間にも、遠巻きの芖線は消えない。

     奥から、䜐藀がゆっくり歩いおくる。
    「聞いたぞ」
     䜎い声。
    「孊䌚で、ずいぶん面癜いこずを蚀っおきたらしいな」
     皮肉ずも取れる口調。

     田䞭は正面から芋る。
    「事実を出しただけです」

    「事実、ね」
     䜐藀は腕を組む。
    「蚌明もできおないもんを倖に出すのは、賢いやり方じゃねえな」
     正論だった。
     だが、その裏にあるものも感じる。

    詊しおる  
     芋極めおいる。

    「  分かっおいたす」
     田䞭は静かに答える。

    「だから、戻っおきたした」
     それ以䞊は蚀わない。

     䜐藀は数秒、田䞭を芋぀める。
     そしお、ふっず芖線を倖す。
    「  朰すなよ」
     それだけ蚀っお、去っおいく。
     吊定ではない。
     だが、蚱容でもない。
     埮劙な距離。
     それが、今の立ち䜍眮だった。

    ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

     倜。
     田䞭は䞀人、キッチンに立っおいた。
     手に取ったのは、むワシずレモン、そしおロれワむン。

    軜く  でも逃げない

     むワシは手開きにする骚を䞁寧に倖し、圢を厩さない。
     軜く塩を振り、少しだけ眮く  䜙分な氎分を抜く。
     氎気を拭き取り、オリヌブオむルで軜く和える。
     皿に䞊べ、レモンを絞る。
     刻んだディルを少しだけ散らす。

     ロれワむンを泚ぐ。
     䞀口。
     やわらかな酞ず、控えめな甘み。

     むワシを口に運ぶ。
     青魚の旚味ず、わずかな苊味  そこにレモンが鋭く入る。
     すぐにワむンを重ねる。

      悪くない

     ぶ぀かる芁玠がある。
     だが、厩れおはいない。

     今日のやり取りが頭に浮かぶ。
     吊定され、枬られ、揺さぶられた時間。
     それでも―—
    折れおない  
     芯は残っおいる。

     もう䞀口、ワむンを飲む。
     枩床が䞊がり、味が䞞くなる。

      時間をかける  

     すぐに答えは出ない。
     だが、積み重ねれば圢になる。

    「  次は、蚌明だ」
     小さく呟く。

     皿の䞊のむワシは、静かに光っおいる。
     掟手ではない  だが、確かな味がある。
     田䞭雄䞀は、ゆっくりずグラスを眮いた。
     その目には、揺らがないものが宿っおいた。

     
     
     
    50代サラリヌマンおじさんのオリゞナル小説アカりント。 人間のあるがたたを芋぀め、救いを芋぀けおいきたい。 構想はたくさんあるので、どんどん曞いおいきたす。 お気軜に楜しんでください。 ※アカりント及び䜜品䞭の画像に぀いおは、党お生成AIによるものです。

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