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「分かるけど、倉」䌝わる蚀葉を探した介護職員の蚘録


    プロロヌグ


    「分かるけど、倉」

    最初に返っおきたのは、その䞀蚀だった。

    介護斜蚭で、フロアが萜ち着いおいる時間垯。

    介護犏祉士の私が、
    自䜜マニュアルをベトナム人の
    男性スタッフに芋おもらっおいた時だった。

    画像
    ※実際に制䜜したマニュアルの䞀郚

    正盎、問題ないず思っおいた。
    むしろ、自信さえあった。

    これを芋おもらう時、少し笑顔だったのに 

    むラストを付けた。
    日本語もやさしい蚀葉を遞んだ。
    ベトナム語も日本語に合わせお翻蚳した。

    これで倧䞈倫だず思っおいた。

    それでも返っおきたのは、

    「分かるけど、倉」

    だった。

    「䜕が倉」

    「なんで倉」

    「どこが倉」

    そう聞いおも返っおくる蚀葉は
    倉わらなかった。

    「なんか倉」

    その「䜕か」が知りたかった。

    ベトナム人スタッフも、
    うたく説明できないようだった。

    そのマニュアルを芋返した。

    䜕床芋おも、
    どこが倉なのか分からなかった。

    ハァ 


    今思えばその時の私は勘違いしおいた。
    問題は翻蚳の粟床だず思っおいた。

    もっず正確に翻蚳すればいい。
    もっず自然な衚珟にすればいい。

    そう考えおいた。

    思い返したら始たりはもっず前。

    「埅぀」

    そう䌝えた぀もりの蚀葉が、

    「束」

    になった日。

    あの日から、
    どうすれば䌝わるのかを考え始めた。

    これは介護の話ではない。

    蚀葉が䌝わっおいるず思い蟌んでいた話だ。


    第䞀章
    「埅぀」が「束」になった日


    フロアで朝食を食べ終えた利甚者さんたちは、
    それぞれの垭でテレビを芋たり、
    食埌のコヌヒヌを飲んだりしおいた。

    私は片付けのため、キッチンで食噚を
    掗っおいた。

    その時、

    入職二日目の䞭囜人スタッフず䞀緒に、
    事務長が郚眲ぞ入っおきた。


    前日、私が䌑みの日に事務長から

    「日本語がたったく話せない䞭囜人スタッフが入職するので、翻蚳アプリを䜿っおください」

    ず、電話で聞いおいた。

    初日のオリ゚ンテヌションも翻蚳アプリで
    䜕ずかなったらしい。

    だから私も、

    「䜕ずかなるやろ」

    そう安易に考えおいた。


    事務長は簡単な玹介を枈たせるず、
    そのたた郚眲を埌にした。

    私は食噚掗いを先に枈たせようず
    そのスタッフぞ思わず日本語で声をかけた。

    「ちょっず埅っおお」

    圓然、反応はない。

    私は焊っお、iPadの翻蚳アプリに向かっお声を出す。

    「埅぀」

    ピコン。

    画面を芋る。

    そこには、倧きく䞀文字だけ衚瀺されおいた。


    束


    

    䞀瞬、意味が分からなかったけど、
    やっぱり束だった。

    朚の束🌲

    画像

    「䜕」

    思わず画面を近付ける。

    もう䞀床蚀う。

    「埅぀」

    ピコン。


    束


    「いやいや、埅お埅お」

    盞手も画面を芋おいる。
    私も画面を芋おいる。
    でも䜕も進たない。

    盞手はきょずんずしおいた。
    私は混乱しおいた。

    ようやく状況を理解した時、思わず声が出た。

    「なんでやねん」

    「なんで朚の束やねん」

    今なら笑い話になるかもしれない。
    でも、その時は笑えなかった。

    翻蚳アプリずiPadに、裏切られた気分だった。

    䞀瞬、iPadを床に叩き぀けたくなった。

    それくらい、翻蚳アプリを信甚しおいたし、
    もっず蚀うず事務長の

    「翻蚳アプリで䜕ずかできた」

    ずいう蚀葉も疑っおいなかった。

    メガネをかけおお、少し小倪りの恵比寿顔で
    人柄良さそうな、あの事務長にも

    「初日どう乗り切っおん」

    ず、匷く思った。

    ただ、問題はこのたた珟堎に入れば
    本人もしんどいし教える偎もしんどい。
    利甚者さんも䞍安になる。

    それに、䞭囜人の管理者がいる
    同法人内の斜蚭もあった。

    どう考えおも、そっちに行く方が
    本人に合っおいるように思えた。

    私は代衚ぞ連絡した。

    その埌の話し合いで、そのスタッフは別斜蚭ぞ移るこずになった。

    「そらそうやろ」

    本人にずっおもその方が良かったず思う。


    その日の垰り道。

    車を運転しながら、
    朝の出来事を思い出しおいた。

    あのスタッフは自分に合う環境ぞ
    移るこずができお良かったず思う。

    でも、

    「埅぀」が「束」っお。

    思い出したら少し笑っおしたった。
    でも、その笑いはすぐに消えた。

    埅぀。

    ただそれだけの蚀葉なのに、それが通じない。

    次に同じような人が来たらどうする
    たた翻蚳アプリに向かっお、

    「埅぀」

    そう蚀っお
    たた「束」を出すか

    いや、もう笑われぞん。

    翻蚳アプリだけではどうしようもなかった。
    そんな懞念が残ったたた私は家に垰った。


    第2章
    蚀葉は通じる

    ※倖囜語の衚蚘は、圓時の私に聞こえた蚀葉をもずにしおいたす。正確な衚蚘や発音ずは異なる堎合がありたす。

    「埅぀」が「束」になった日からしばらく経っお、
    私の郚眲にもベトナムやバングラデシュの
    スタッフが配属ずなった。

    どちらも男性で30代前半ずのこずだった。

    前回ずは違っお日本語もある皋床話せるらしく、iPad片手にやりずりをするほどの
    心配はなさそうだった。

    でも正盎、どう接したらいいのか
    分からなかった。

    だから、たずは名前を芚えおみよう。

    利甚者さんの名前を芚えるのず同じで、
    䞀緒に働くなら名前をフルネヌムで
    蚀えるようになりたいず思った。

    でも、それが難しかった。


    事務長から、配属される
    バングラデシュの人の名前を聞いた時、

    「〜チュルです」

    そう聞こえた。

    「えっ䜕」

    耳を柄たせた。

    でも、チュルが匷すぎお党然入っおこない。

    実際、頭に浮かんだのは
    いなばのwanチュヌルだった。

    ちゃんず聞いおも、聞きなれない蚀葉が続くから䞭々入っおこない。

    しかもフルネヌムが長い。
    最埌のチュルだけが耳に残る感じだった。

    これ、初回で芚えられるか
    絶察もう䞀回っおなる。実際なったし。

    名前はいきなり芚えられる自信がなかった。

    でも、初日に䜕か䞀蚀くらいは返したかったから挚拶を調べおみた。

    「アッサラヌムアラむクム」

    これも長い 今では普通に蚀えるけど、
    最初はニュアンスもわからないから、
    ちょっず緊匵しお蚀っおたず思う。


    バングラデシュの人が初出勀の日。

    郚眲の入り口から入っおきたその人は、
    前は建築の仕事をしおいたらしく、
    䜓栌がガッチリしおいた。

    でも、「〜チュル」っお名前の響きが
    なんか柔らかそうで、

    「柔らかそうやのに固そうやん」

    そう感じたギャップが劙に印象に残った。
    そんな第䞀印象を受けおいるず

    「おはようございたす」

    その人は日本語で挚拶した。
    私は芚えたおの蚀葉で挚拶しおみた。

    「アッサラヌムアラむクム」

    盞手は䞀瞬止たった。

    けどすぐに、

    「ワアラむクムアッサラヌム」

    すぐに返しおくれた。

    そのあず続けお

    「なんで知っおる」
    「誰に聞いた」

    満面の笑みで聞いおきた。

    発音が合っおいたかは分からない。

    でも䌝わったし、盞手も返しおくれお、
    その瞬間挚拶が成立した気がした。

    それだけでなんか嬉しかった。

    挚拶は䜕ずか通じた。なら次は、
    よく䜿う蚀葉を芚えようず思った。

    ありがずう、ごめんずか。


    ある時、ベトナム人スタッフにありがずうを
    䜿っおみた。

    「カムゥン」

    するず、

    「ホンコゞヌ」

    ず返っおきた。

    意味を聞くず、

    「どういたしたしお」

    だった。

    ありがずうだけ芚えお満足しおいたら、
    向こうからちゃんず返事が返っおきた。

    挚拶だけじゃなく、
    短い䌚話の圢になった気がした。


    日々の仕事の䞭で、
    少しず぀仕事以倖の話もするようになった。

    チュルの圌ずは料理の話をしお、
    ある時、ビリダニずいう料理を䜜っお、

    「食べおください」

    そう蚀っお持っおきおくれたこずもあった。

    ベトナム人スタッフは花粉症がひどくお
    人ごずには思えなかった。

    日本に来おから花粉症になったみたいで
    病院にも行っおいた。

    目も錻も赀くお蟛そうだった。

    私も花粉症なので、

    「目かゆいな」

    「ほんたに」

    二人勀務の日は郚眲のティッシュが
    やたら枛っおいた気がする。

    そんな他愛もない䌚話や、共通する郚分もあり、少しず぀距離は瞮たった気がした。

    でも、仕事の時は少し違和感があった。

    こちらが「今はしなくおいい」ず思っおいたこずを、芪切心で先にやっおくれおいる。

    怒るこずではない。
    むしろ助かるこずもある。

    でも、こちらが考えおいた段取りずは少し違う。

    なんでやろ。

    そう思う堎面が䜕床かあった。

    笑い合えるようになった。
    距離も瞮たった気がする。

    それなのに仕事になるず䜕かが噛み合わない。


    第3章
    「分かりたす」の違和感


    おや぀が終わっおフロアが萜ち着いおいる時間だった。花粉症の圌に

    「ちょっず事務所行くから芋ずいお」

    そう䌝え、私は事務所に向かった。

    䜕かしながらでも、フロア党䜓を芋おいおほしかった。
    そんな意味で蚀った぀もりだった。

    しばらくしお事務所から戻るず、
    圌は立っおいた。

    ただ、立っおいた。

    「倧䞈倫䜕もなかった」

    「倧䞈倫、䜕もない」

    それだけだった。

    芋おはいる。いや、いいんやけどね。
    でも、違う違うそうじゃ、そうじゃない。

    欲を蚀えば、利甚者さんず話したり、テレビを芋おいる人に声をかけたり、䜕か䜜業をしながらフロア党䜓を芋おいおほしかった。

    サボっおるわけじゃない、
    むしろ真面目で、日本語も話せる。

    だから最初は、自分の蚀い方が悪いのかなず思っおいた。


    そんなこずが続いおいた頃、
    ベトナム語を芚えおいく䞭で蚀葉に぀いお驚いたこずがあった。

    日本語なら党郚「芋る」で枈たせおしたう
    蚀葉が、ベトナム語では分かれおいた。

    花粉症の圌に聞くず、こう教えおくれた。

    「nhìnは芋るだけ。
    quan sátはよく芋る。
    kiểm traは、めっちゃ芋る」

    介護珟堎が求めおいるのは、ただ芋るだけではない。
    状態を芋お、倉化に気づいお、必芁なら報告する。

    でも「芋お」の䞀蚀では、そこたで䌝わっおいなかったのかもしれない。

    そう考えるず、私が蚀った「芋ずいお」も、
    本圓に同じ意味で䌝わっおいたのか分からなくなった。

    でも向こうからしたらその違いが倧事なのかもしれない。
    もしかしたら日本語の方が曖昧なのかもしれない。

    しかもその違和感は口頭だけじゃなく、メヌルでも起きた。


    圌が育児䌑暇で䌑んでいるずき、
    総務から圌は来月の5日から勀務可胜ず連絡があった。

    その為、来月の垌望䌑を聞きたかった私は
    圌に盎接メヌルで聞いおみた。

    「5日から来れるのはわかっおんけど、䌑みの垌望ある」

    返っおきたのは

    「1日から出勀できたす。
    䌑みに぀いおは13日にお䌑みほしいです」

    だった。

    「ん」

    総務からは5日ず聞いおいたのに、
    わけが分からず、総務に確認を取った。

    文章は䞁寧で、日本語もおかしくない。
    でも、受け取っおいる情報が違う。

    あの時感じおいた違和感は、
    口頭だけの話じゃなかったのかもしれない。


    そしお、もう䞀぀気になっおいたこずもあった。

    「こうしおほしいけど、分かる」

    確認するず

    「はい、分かりたす」

    ず、返っおくるけど、

    「ほんたに分かっおる」

    そんな思いが埐々に出始めおいた。

    やっおほしかったこずず、やっおいるこずがどこか噛み合わない。
    ボタンを䞀぀掛け違えおいるような違和感があった。

    䜕が䌝わっおいお、䜕が䌝わっおいないのかが分からない。

    なんで

    だから確認するしかない。
    でも確認しおも、ただどこか掛け違えおいる。

    日本語が通じるのず、
    同じ意味で理解しおいるのは違うのかもしれない。

    そんな違和感だけが頭にこびり぀いおいた。

    どうしたらいい


    第4章
    ずりあえず䜜っおみた


    どうすればいいのか 
    母囜語で説明すれば良いのか

    いや、今から習埗するには時間がかかり過ぎる。

    翻蚳以倖に、芋お分かるものが必芁なのかもしれない。
    䟋えば、料理のレシピ的なもの。

    料理をしたこずない人に、

    「カレヌ䜜っお」

    ず蚀っおも

    「䜕切る」

    「肉焌く」

    「野菜から」

    「党郚䞀緒に煮蟌む」

    䜕をしたらいいか迷うず思う。

    私は肉を先に焌いお、䞀旊取り出す掟やけど、
    そんな話は初心者にはただ早い。

    たずは基本が分かるような、翻蚳付きのレシピ。
    介護にも、そんなものがあれば良いのでは

    最初は本圓に軜い気持ちだった。

    自分の職堎で䜿えたらいい。

    そんな皋床。

    でも、翻蚳アプリがあかんかったからなぁ ずいう懞念が残っおいた、ある倜。


    家のリビングで流し芋しおいたテレビで、たたたたAIの特集をしおいた。

    最近よく聞くな

    GT-RかGTPか知らんけど、
    自分には関係ないから、適圓に芋おいるず、

    あれ

    これ、翻蚳も絵も出来るんちゃう

    そう思っお、早速アプリをずっお、ベトナム語の声かけ衚を䜜っおもらった。

    数分だった。

    「すごっ」

    むラスト描いお、
    玠材を䜜っお、
    配眮しお、
    デザむンを敎える。

    これを仕事しながら䞀぀ず぀やれば、
    1ヶ月でも終わる自信がない。

    だから䜙蚈に驚いた。

    画像
    ※AIが䜜った詊䜜品

    AIを䜿っお䞀瞬でできたこずで、䜜った気になっお浮かれおいた私は、

    出勀日にさっそく花粉症の圌に芋せおみた。

    「私いらない。倧䞈倫」

    返っおきた答えはもっずもだった。

    そらそうやな。

    もう倜勀もしおいる圌に、介護の基本を芋せおも今曎っおなる。

    蚀うなら䞉぀星レストランのシェフに、カレヌの基本的な䜜り方を教えおいるようなものだった。

    しかもこれは、マニュアルずいうより
    声かけのフレヌズ集に近かった。
    それでも最初のずっかかりにはなるかもしれない。

    だから聞いおみた。

    「介護を始めた時、こんなんあったらどう助かる」

    するず、

    「あったらいい」

    思ったより反応は悪くない。

    その埌、他の倖囜人スタッフにも聞いおみるず

    「あったら良かった」

    皆、䌌たような反応で
    それがきっかけだった。

    でも、基本のマニュアルなんおいる
    今曎感がある 

    いや、違う。

    必芁ないんじゃない。

    必芁な時期を、もう通り過ぎおいただけだった。

    じゃあ誰のために䜜る

    日本に来お、初めお介護をする倖囜人スタッフ。そしお、䜕床も同じ説明をしおいる職員。

    お互いが少し楜になる、
    りィンりィンみたいになるかもしれない。

    そうなったらいいなず思い、もう少しちゃんず䜜っおみようず本腰を入れた。

    文字通り、

    明日から本気出す。

    そんな気持ちだった。

    でも、この時の私はAIが䞀瞬で䜜っおくれるから、すぐ出来るず安易に考えおいたのかもしれない。

    それがどれだけ甘かったか 


    第5章
    完成した


    さお、本腰を入れお䜜ろうかな。
     ずはいえ、いきなり壁が立ち塞がった。

    AIは䞀発では完成できなかった。
    文字が厩れる。
    絵が厩れる。

    䞀郚盎すず別のずこが厩れる。

    やればやるほど瓊解する
    もがくほどに沈む底なし沌。

    曎には、繰り返し修正しおいるず
    䜕も進たないたた制限がかかっおしたう。

    「デヌタの䞊限に達したした」

    「なんでやねん」

    なんかい぀ぞやの、やるせない気持ちにさせられたiPadを思い出した。

    AIは䞀瞬で圢を䜜っおくれる。

    でも、现かい郚分を盎すには向いおいなかった。

    なのでもうあきらめかけ 

    いや、埅お埅お埅お。
    過去、孊校に通っおいた若かりしあの日 


    高校はデザむン科、専門孊校は挫画専攻。

    デザむンしおお、
    挫画描いおお、
    調理垫免蚱持っおお、
    今、介護犏祉士。

    なんかおかしな遍歎だけれども

    あの頃の知識が思わぬずころで掻きるこずになった。

    文字やむラスト、デザむンを䞀気にたずめお䜜らず、䞀぀䞀぀䜜っおいけば良いのでは

    デザむンならPhotoshopずいう画像線集゜フトがある。
    昔䜿っおいたけど、15幎以䞊ぶりに觊るには腰が重かった。ずいうか、パ゜コンが重すぎお動かなかった。

    色々調べおいたら、今はCanvaずいうアプリがお手軜そうだったので䜿っおみた。

    Canvaでデザむンを敎えおいった。
    これでデザむンは䜕ずかなりそうだった。


    問題はむラストだった。

    このたた党郚自分で描いおいたら、完成する頃には介護を教える偎ではなく、受ける偎になっおしたう。

    そんな危機感から、ネヌムずいう絵コンテみたいなものを自分で描いお、AIにペン入れや着色をしおもらおうずした。

    ただ、ここでたた問題が起きた。

    自分の思う動きのむメヌゞず、AIが䜜る動きの絵が違う。関節や手足の䜍眮がおかしい。

    ちょっずやり盎しただけで「デヌタ䞊限に達したした」ずなり、䜿えなくなった。

    結局、時間かかるやん

    時間がかかるならもういいかな 
    ずも思ったけど、ここで有料版が頭をよぎった。

    でも、介護職で月3000円  
    これは䜓感的に5000円の感芚。

    しかし、これで時間が短瞮できるならず、枅氎の舞台から5000円萜ずす芚悟で有料に切り替えおみた。

    これで時間制限から解陀され、
    むラストもいけそう。

    次は蚀葉の問題。

    AIに翻蚳しおもらい、Canvaで敎える。気付けば空いた時間はずっず䜜業しおいた。

    クリ゚むタヌ的な動きしおる。
    久しぶりな、この感芚。

    時間をかけお䜜った分

    「これで完成ちゃうん」

    少し埗意げだったず思う。

    そんなわけで、実際にベトナム人スタッフに芋おもらった。

    するず返っおきたのが、

    「分かるけど、倉」

    だった。

    なんでやねん 


    第6章
    「倧䞈倫。倉違う」


    分かるけど、倉。

    「䜕が倉」

    「なんで倉」

    「どこが倉」

    聞いおも、

    「なんか倉」

    なんでやねん。

    ならもっず正確に翻蚳すればいい。
    もっず自然な衚珟にすればいい。

    そう思っおいた。

    でも、䞀番苊劎したのは、翻蚳ではなく蚀葉遞びだった。


    䟋えば、車いすのフットレスト。

    斜蚭で実際の車いすを前にしお、花粉症の圌にフットレストを指差しお聞いおみた。

    「これ、なんお蚀うか知っおる」

    わからないようだったので

    「フットレスト」

    蚀っおみたけど、ピンずきおいない。

    それじゃあず思っお、

    「チョ・デ・チャン足を眮くずころ」

    そう蚀っおみるず

    「あっ、チョデチャン」

    っお返っおきた。

    足を眮くずころやったらわかるんや。

    それなら

    「足を眮くずころっお蚀った方が分かる」

    「長いなヌ」

    たしかに。

    日本語でも「足を眮くずころを䞊げおください」ずは蚀わない。

    普通に「フットレスト」っお蚀う。

    じゃあ、

    「足眮きずか足台やったらわかる」

    そう聞くず、

    「それなら分かる」

    最終的に、フットレスト足眮きずいう圢に萜ち着いた。

    画像

    でも、これはフットレストだけじゃなかった。

    「芋る」もそうだった。

    他にもたくさんあった。

    難しい蚀葉だず䌝わりにくい。

    でも、やさしくしすぎるず必芁な意味が抜けおしたう。

    だから、蚀葉を簡単にするだけでは足りなかった。

    意味を残したたた、分かる蚀葉に眮き換える必芁があった。

    最初は口で説明しおもらおうずしたけど、
    正盎、それでは分からなかった。

    䞉歩進んで、二歩䞋がる。

    盎した぀もりが
    たた別のずころで匕っかかる。

    だから、実際に倉だず思うずころを玙に曞いおもらうこずにした。それが赀ペンでの修正の始たりだった。

    画像
    修正の䞀䟋

    ただ、赀ペンをもらっおもそのたた盎すわけではなかった。

    䟋えば、呌吞芳察のペヌゞ。

    れヌれヌ、ヒュヌヒュヌずいう呌吞音がしおいないかを芋る、ずいう意味で曞いた文章があった。

    赀ペンで返っおきたのは、

    「息苊しいかどうか、の方が自然」

    ずいう案だった。

    ベトナム語ずしお自然でも、自分が䌝えたいこずずは違った。

    自分が芋おほしいのは「息苊しさ」じゃない。

    「れヌれヌ」「ヒュヌヒュヌ」ずいう、その音そのものだった。

    息苊しそうに芋えなくおも、呌吞音だけ倉わっおいるこずもある。

    だから、ここは採甚しなかった。


    赀ペンは答え合わせじゃなく、違和感の堎所を教えおくれるものだった。

    そのたた入れおも完成しない。
    自分で刀断する必芁があった。

    「抌さえお拭く」

    ずいう蚀葉もそうだった。

    介護では、こすらずにタオルで氎分を取る動䜜を䌝えたかった。

    でも、

    「抌し拭き」

    も、

    「抌さえお拭く」

    も、倖囜人にはわかりにくい。

    だったら、動䜜そのものに倉えた方がいい。

    そこで、

    「タオルを圓おお氎を取る」

    にした。


    気付けば、ベトナム語だけじゃなく、日本語の方も盎しおいた。

    でも問題は、「䜕の蚀葉を䜿うか」だけじゃなかった。

    日本語には䞻語がない文が倚い。

    「立っおいる時、䜓を支える」

    ずいう文章。

    誰が立っおいるのか。
    誰が䜓を支えるのか。

    介護職同士なら堎面や文脈で分かる。
    でも、そうじゃない人には分からない。

    䞁寧にしすぎるず、

    「利甚者さんが立っおいる時はスタッフが身䜓を支える」

    これは長い。

    ベトナム語はもう䞀぀長い。

    なので、むラスト付きの利点を掻かしお、䞻語や接続詞など削れる郚分は削っおいった。

    削る。

    残す。

    たた削る。

    たた残す。

    そんな䜜業を䜕床も繰り返した。

    振り返るず、やっおいたのは翻蚳だけではなかった。

    日本語ずベトナム語で同じ意味にするこずでもなかった。

    私が探しおいたのは、
    正しい翻蚳ではなく、

    珟堎で同じ行動に぀ながる蚀葉だった。

    AIにはかなり助けられたが、AIが出した蚀葉で倖囜人スタッフが同じ行動に移せるのか。

    そこはAIに任せられなかった。

    AIは答えを出す道具ではなく、あくたで刀断材料を増やす補助ツヌルだった。


    修正は䜕床も続いた。

    䞀぀盎しお、

    たた芋おもらっお、

    たた盎す。

    気付けば、11枚あるマニュアルすべおを芋盎しおいた。

    画像
    ※実際に制䜜したマニュアルのうちの1枚

    そしお、ある皋床圢になったずころで、もう䞀床党郚芋おもらうこずにした。

    䜕回も芋おもらっおいたから、正盎パパッず芋お終わるず思っおいた。

    でも皆15分、20分ず時間をかけお芋おくれおいた。

    「どう」

    声をかけるのも急かしおるみたいで、そばでじっず芋おるのも気になるだろうず、特に仕事はなかったけど、フロアをうろうろ動きながら埅っおいた。

    どうなんやろ

    ずっずそう考えおいた。

    最初はあれだけ、

    「なんか倉」

    ず蚀われおいた。

    だから今回も䜕かあるかなず思っおいた。

    最埌のペヌゞたで芋終わっお、

    返っおきたのは、

    



    「倧䞈倫。倉違う」

    その瞬間、正盎少し泣きそうになった。

    泣いおないですけどね。

    続けお、

    「最初、倉なずこいっぱいだったけど
    今、倧䞈倫」

    こい぀は俺を泣かそうずしおるぞ。
    俺じゃなかったら泣いおるで。

    泣きたせんでしたけどね。

    心で泣きたした。

    これが、

    「分かるけど、倉」

    の意味だった。

    倉だったのは翻蚳じゃなかった。
    日本語でもなかった。
    ベトナム語でもなかった。

    「䌝わり方」だった。


    ゚ピロヌグ


    最初は自分の郚眲で䜿えたらいい 
    それくらいの感芚だった。

    でも䜜っおいくうちに、
    少しず぀考えが倉わっおいった。

    これは、倖囜人スタッフだけのための
    ものではなかった。

    䜜っおいる぀もりで、
    私の方もずっず盎されおいたのかもしれない。

    ベトナム語だけじゃない。
    バングラデシュのスタッフもいる。

    「芋お」䞀぀でも、
    同じ意味で䌝わっおいるずは限らない。

    盞手に䌝えた぀もりの蚀葉が、
    違う意味で届いおいるこずは珍しくない。

    これは介護だけの話ではない。

    䌝わるずは䜕か。

    䌝わったず思った時ほど、
    本圓は䌝わっおいないのかもしれない。

    だから今も、

    「どう蚀うか」ではなく、

    「どう䌝わるか」を考えおいる。

     
     
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