がんばれ千円バイク|ポンコツバイクで旅行くゼロハン(50cc)ライダーの青春
ポンコツバイクで旅行くゼロハン(50cc)ライダーの青春
#創作大賞2026 #オールカテゴリ部門
はしがき
「このポンコツバイクに乗ってツーリングの旅に出るぞ!」
たった千円で購入した原付バイク、ホンダCB50の目の前で、私はそう誓いました。時は昭和56年(1981年)、もう遠い日の記憶です。
しかし、旅に出ると言っても、最初は地元の道すらまともに走れないほど、エンジンが不調でした。
「こんなバイクで本当にツーリングができるのか?」
本気で自問するほどひどい状態でした。しかし、まめなメンテナンスを続けた結果、この小さなバイクは奇跡的にスクラップ状態から立ち直り、ツーリングへと旅立つことができたのです。
まずは隣の町へ、そして隣の県へと徐々に走行距離を伸ばし、会津若松、山形、南蔵王など、みちのくの各地を走り抜きました。目に染みるような青空、緑の草原、美しかった野山や田園風景。そして旅先で出会った人々の温かさは、今も鮮烈な感動として心に残っています。
しかし、CB50との旅は想像以上に過酷でした。
「エンジンが焼き付いてしまうのではないか?」
本気で心配したほどの峠道、フェーン現象による熱風、北東気流による異常な低温。大自然は小さなポンコツバイクにも、決して容赦はしませんでした。
それでも、どんな急坂急カーブであろうと、激しい気象変化であろうと、CB50は最後までたくましい走行をしてくれました。その小さな車体から湧き出る力強さは、その後の勉強や仕事で辛い壁にぶつかったとき、いつも立ち上がるための励みとなる、貴重な体験となったのです。
私はこの特別な体験を記録に残すため、旅の内容を克明にメモにまとめていました。しかし、これを本格的な紀行文に仕上げる作業は、想像以上に大変で、仕事に追われる日々の中、一向に完成を見ませんでした。それでも、この青春の一コマとなった走行の記録は、その後も多くの友人や仲間たちの間で語り継がれ、話題となりました。
「ぜひ最後まで書き上げてほしい」
温かい励ましの言葉をいただきました。その声に背中を押され、執筆を続けたのです。
そして今、こうして紀行文は完成いたしました。文章を書くのは苦手で、この小さなCB50の勇ましい活躍をどこまで表現できているか、それだけが気がかりです。しかし、この紀行文で、かつての若き日の熱量と、ポンコツバイクの底力を伝えることができれば幸いです。それでは、あの時の風の音、エンジンの鼓動、そして若き日の熱い思いを乗せた旅の記録を、今ここに再現いたします。
【お知らせ】
『がんばれ千円バイク』をお読みいただきありがとうございます。
本作は電子書籍(Kindle)およびペーパーバック(紙の書籍)として正式出版されたため、noteでの全文公開を終了いたしました。
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