37度の熱を押してでも伝えたい。友人が1年をかけた200号の大作『猫の階段巡り』
国立新美術館で開催されている「新制作展」に、友人が入選したというので観に行ってきた。
昨日の土曜日のことである。金曜日の飲み会の翌日に巨大な美術館へ行って作品を観て、かなり歩き回った。その後また居酒屋へ行き、さらに今日(日曜日)は歯医者に行って歯のクリーニングをしてきた。そんなスケジュールをこなしたせいかすっかり疲れてしまい、現在、私は37度ほどの熱を出している。
それでも、少しやる気が回復してきたのと、明日もまた居酒屋での飲み会が控えているため、明日のパワーを前借りしてでも今日のうちにこの記事を頑張って書こうと思う。
なぜ、熱があっても記事を書こうという気力があるのか。それは、友人の描いた絵がすばらしく良くて、どうしても記事として紹介したいと強く思ったからだ。
美術館で色々な作品を観たが、本当に優れた作品というのは時に圧倒的で、面白い。人によって才能の発揮の仕方は違い、「自分をどう表現するか」というアプローチも様々だ。展覧会を観ているとそれがよく分かる。
どの作品も仕上げるのに1年以上かけているらしく、それぞれの個性や世界観が遺憾なく発揮されていた。ルーブル美術館などの名画ももちろん良いが、現代を生きる人々の熱量が集まるこういう「公募展」というのは、すごく面白いものだなと思った。
100号キャンバス2枚に込めた、1年間の情熱
友人の名前を、仮にSさんとしよう。
彼女は昔からの友人で、もともとはネットを経由して知り合った。とても活動的で、それでいて情熱的。優しくて料理が上手で、私にとって絶対に失いたくない「かけがえのない友達」である。
彼女が最初に絵を描き始めた頃は、小さな絵ばかりを描いていたので「趣味程度に始めたんだな」と思っていた。しかし、だんだんとスケールが大きくなり、公募展に入選するほどの巨大な絵を描くようになった。
今回の作品は、おそらく100号のキャンバスが2枚繋がっている大作だ。絵に詳しくない人に説明すると、ハガキ200枚分ほどの巨大なサイズである。
これほどスケールの大きな絵を描くというのは、絵に対する並々ならぬ真剣さや情熱がないと絶対にできない。私は1日でパパッと絵を描き上げてしまうタイプなので、1つの作品に1年をかけるという情熱は、私の絵では表現できない。自分とは全く違うタイプの才能を持つ人を間近で見られるわけで、本当に良い美術展に行けたなと思うのだった。
早速、彼女の作品を紹介しようと思う。
タイトルは『猫の階段巡り』である。

正直なところ、彼女がどういう気持ちで描いたのかとか、どんな背景があってこの絵が出来上がったのかという深い話はあまり聞いていない。
でも実は、Instagramで彼女の制作過程をずっと見ていたのだ。本当に細部まで情熱を込めて描き込んでいくその進行過程を、毎日毎日Instagramで追っていたものだから、なんだか「自分が描いているような気」になってくるほど、勝手に思い入れが強くなっていた。だから、他人が描いたような気がしないというか、自分の一部がそこにあるような不思議な感覚があった。
何しろ、友人がこんなすごい絵を描けるということが、ただただ誇らしくて嬉しいのだった。
細部に宿る「幸福」と「日の光」
私には、ここまで「細部にこだわる」ということができない。単に写実的に描かれているというだけでなく、彼女自身の世界観がその細部にしっかりと宿っているのだ。
例えば、この坂の部分をクローズアップして写真を撮ってみたので、見てほしい。

この細部が、幸福に満ち溢れているというか。鮮やかな風景の隅々にまで神経が通っていて、岩についている苔までもが美しく、日の光が今にも溢れ出してきそうだ。表現することへの凄まじい情熱が伝わってくる。
そして、もう1枚の細部写真。

私はこのポストの存在がとても好きだ。少し薄汚れた赤いポストと、周りの住宅。それらが日の光で祝福されているような、なんだか天国にいるような不思議な雰囲気があって、とても惹き込まれる。
居場所を見つけた人の表現
こうやって紹介しているわけだが、新制作展は明日までなので、なかなかギリギリの紹介になってしまった。この記事を読んで「実物を観たい」と思ってくれた人がいても、明日しか観に行けない状況なのが申し訳ない。
私も昨日実物を観て、Instagramで毎日見ていた絵がこれで「フィニッシュ(完成)」なのだと思うと、少し寂しいような気持ちになった。
彼女は来年に向けてもまた絵を描くそうだ。何を描くかはまだ決まっていないだろうけれど、こうやって「自分の表現」を持っているということは、すごく幸福なことだと思う。
絵を描くことを「道楽」だと冷笑する人もいるかもしれない。実際、私は昔そういう風に言われたことがある。でも、自分自身の「居場所」をちゃんと見つけられている人が、こういう素晴らしい絵を描くのだと私は思うのだ。
というわけで、最後におまけの1枚を紹介しようと思う。
これは国立新美術館内を巡回していた、セキュリティロボットである。

これも結構可愛いので、おまけで出しておく。 世の中には、色々と可愛くて美しいものがたくさんあるよね。
