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僕が人生で一番人気者だった日は、嘘をつき続けた日だった。


僕には、人生で一度だけ「自分がクラスの中心にいる」と感じた日がある。

それは小学2年生の、ある雨の日の休み時間だった。

当時、僕の周りでは都市伝説や心霊系の話が流行っていた。

テレビでは「本当にあった怖い話」のような番組が人気で、僕もそういう話を調べることに夢中だった。

気づけば、クラスの誰よりも怖い話を知っていた。

そんなある日、雨で外遊びができず、みんなが教室で過ごしていた時のこと。

自然と怖い話の話題になった。

僕は待ってましたと言わんばかりに、知っている話を次々と話した。

すると、小学2年生の好奇心というものは恐ろしい。

「え、なにそれ!」
「まだあるの?!」
「次は?!」

みんなが僕の話を聞きたがった。

人生で初めて、自分の話をみんなが待っている感覚を味わった。

しかし、問題があった。

僕の怖い話のストックには限界がある。

このままでは終わってしまう。

そこで僕は考えた。

「怖い話を聞くには、心霊の儀式で使うロウソクが必要らしい」

もちろん、そんなものは必要ない。

ただ時間が欲しかった。

みんなが自分たちのスティックのりをロウソク代わりに持ってくる間に、僕は必死に考えた。

そして、あることを思いついた。

自分で怖い話を作ればいい。

その場で考えた作り話を、まるで自分が本当に体験したかのように話した。

正直、バレると思っていた。

でも、予想外だった。

小学2年生には刺さった。

むしろ、実際にあった怖い話より盛り上がった。

「もっと聞きたい!」

その一言で、状況は変わった。

一人、また一人と友達が増えていく。

「怖い話を聞けるらしい」

そんな噂が広がり、友達が友達を呼んできた。

気づけば、ただの休み時間が「怖い話を聞く会」になっていた。

そして僕は、その中心にいた。

ただ一つ問題があった。

僕が話していることは、全部嘘だった。

それでも僕は、みんなの期待に応えるために、次から次へと話を作った。

怖い話をする僕。

それを本気で聞くみんな。

その光景を見ながら、僕は思った。

怖い。
幽霊よりも怖い。

小学2年生でありながらただ淡々と嘘を平気の顔で並べていく自分の姿が。

ちなみに現在、僕は怪談師にはなっていない。
さらに言えば詐欺師とかにもなっていない。


あの日、僕が手に入れたものは人気者という称号ではなく、

「人を楽しませるためには、想像力が必要だ」
ということだった。

そういう綺麗事で済ませておこう。
あの時の嘘も、恐らくもう時効だろうから。


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