【読書感想文】書物の愉しみ 井波律子
「書物の愉しみ 井波律子書評集 井波律子著」を読んだ。
中国文学を専門とする著者。そのため、中国の古典、歴史の本に関する内容が多い。とはいえ、国内文学、随筆、映画評、海外文学など多種多様な書物を愉しみ、今まで読んできた本の魅力を伝えている。
私が書評集を読む目的とその愉しみ方は「新しい本との出会い」「人へ本の魅力を伝える技術を学ぶ」の二つ。
例えば、「ムネモシュネ: 文学と視覚芸術との間の平行現象 マリオ プラーツ (著), Mario Praz (原名), 高山 宏 (翻訳)」という本。内容の一部を井波律子さんが紹介している。
【文学と絵画を平行的に取りあげる手法で、二十世紀のピカソのキュービスムの絵には、「同じ視点からひとつの形姿に正面向きと横向きの表像」が与えられ、「立体鏡的な語り」を目指すローレンス・ダレルの小説「アレキサンドリア四重奏」は、一つの事象を四人の視点から描く構造をもつ。】
これは私が日ごろから考えている、同時代を生きた芸術家と作家は同じ(似たような)ことを感じ、作品に反映されているのではないか。という疑問をスッキリさせてくれそうな本。しかも大好きなキュービスムが研究材料になっている。
井波律子さんはこの本の著者マリオ・プラーツさんについて「このように文学と絵画の平行現象を具体的に跡づける、プラーツの語り口はまことにスリリングであり、読者に新鮮な発見の喜びを与えてくれる。」と書いている。短文でこの本の魅力がしっかりと伝わってくる。
