
マッチョ華道 逆襲の小松千代 【毎週ショートショートnote】
「ぐわっシャーン!」
生け花最適の備前焼は、彼女の手から滑落し、無数の破片に帰した。
小松千代は己の非力を心から詫びた。
草月流家元の家に生まれ、高校生にして十数年の華道歴を誇る。
繊細な草花の表情を生かし切る芸術品を次々と生み出した。
まごう事なき跡継ぎだ。

「二度とこんな失態はしないわ。」
千代は不退転の決意を以て、その肉体を酷使した。
BIG 3と呼ばれるフリーウェイト中心にひたすらバルクアップに努めた。
埋もれていた才能が劇的な進化を遂げた。
そしてその精神までも…。
「この強靱な筋肉の鎧を纏ったわたしに、そんな脆弱な草花じゃだめ!」
「そうよ。あなたたちも鍛えるのよ。」
生育用の水にはアミノ酸とクレアチンを混入し、茎には折れるギリギリまでの負荷を与え、葉の一枚一枚は日光と二酸化炭素を制限し、光合成の超回復を狙った。
花器はもちろん縄文式土器だ。
小松千代は、華道に「Innovation」をもたらす先駆者となり、
大松千代と改名した。

了 (410字)
#毎週ショートショートnote #マッチョ華道
田原にか様、お疲れ様です。今週も参加させていただきます。
よろしくお願いいたします。