
平たい心
3日前に退職した。
一斉メールでお世話になった方々にご挨拶をした。
数人から返信を頂き、中には他部署から出張土産を持ってわざわざ挨拶に来てくれた人もいた。
送別会も楽しかったし、記念品まで頂き、感謝に絶えない最終日だった。
ただ、社内でも一番仲が良い(と思っていた)男性からは、酷く傷つけられた。
人間は、100のうち99楽しくても、たった1つ不快なことがあると、その1に気持ちが持っていかれてしまうと、読み聞きしたことがある。
まさにその通りで、翌日になっても彼はなぜあんなことを?と、傷ついた自分の心に寄り添うために、色々と考えてみた。
怒りを覚えながら。
けれど私は彼ではないので、どんなに考えても納得のいく答えなど出るはずもない。
無駄に不快な時間を過ごすより、気持ちよく送り出して下さった人たちに感謝しよう。
そう思って考えるのをやめた瞬間だった。ひとつの言葉が湧いて出てきたのは。
「あれは私」
そして全てが納得できてしまった。
離婚してから26年、それからずっと働いてきたが、数えきれないほど転職も繰り返した。
後ろ足で砂をかけるような辞め方もあっただろうし、私が辞めたことで傷ついた人もいただろう。
その一つ一つに私個人の言い分もあるけれど、良からぬ辞め方を繰り返してきた過去の私の姿を、彼が見せてくれたのだ。
そうか~。なるほど~。
因果応報とはこのことか~。
スッと胸のつかえが下りたとき「ありがとうございます。」
と、手を合わせていた。
そしてふと湧いた思い。
彼は、これからも辛いだろうな…。
傷つけられた腹いせとか、気づいた故の優越感などでもなく、ただ平たい心だけだった。