あいつの話だけじゃ私が悪者じゃん
「あいつの話だけじゃ私が悪者じゃん」
この話を書いてほしいと、彼女に言われた気がした。
以前書いた「あの話」は、彼の視点だった。
でも、恋愛って片方の視点だけじゃ見えないことがある。
彼女には、2つ年上の彼氏がいた。
ある日、トイレでうっかり携帯を水没させてしまう。
電源は入らない。
電話帳も全部消えた。
でも、彼の電話番号だけは覚えていた。
だから電話はできた。
ただ、せっかくだから新しい連絡先を直接教えてあげよう。
良かれと思い、サプライズのつもりで彼のバイト先へ向かった。
そこで彼女が見たものは――
バイト先の可愛い女の子と楽しそうに話し、ボディータッチまでされて、鼻の下をこれでもかと伸ばしている彼氏だった。
※これは彼女の主観です。
「……は?」
「なにあれ。」
「キモ。」
「無理。」
「帰ろ。」
「もう番号もアドレスも教えない。」
「ふざけんな。」
そのまま彼女は店をあとにした。
お客さんがお店に入っても「いらっしゃいませ」もない。
帰る時も「ありがとうございました」もない。
ましてや、私にすら気づいていない。
……これは鼻の下を伸ばしてたってことで確定ですよね?
皆さんそう思いませんか?
彼の話だけだと、私が悪者になるじゃん。
そんな声が聞こえた気がして、この話を書くことにした。
ちなみに彼女は、この出来事のあと、しばらく浜崎あゆみの『monochrome』を聴いていたそうです。
てか、何でそんなことを知ってるのかって?
実は、この話には少しだけ後日談があるんです。
数年後、この出来事の真相を知ることになる。
別のバイト先で偶然、その女の子の友達と知り合いになり、世間話をしているうちに話が全部つながった。
「え……そうだったの?」
「謝らせてよ。」
「3人で良いからご飯行けないかな?」
彼はそう頼んだという。
すると、それまで先輩の彼を立てて優しく接してくれていたその子の表情が、一瞬だけ変わった。
拒否の仕方に衝撃を受けたのは今でも覚えてる。
「……だが断る。」
もちろん、こんな風に言ったわけじゃない。
ただ彼には、ジョジョのセリフみたいに聞こえた。
もちろん、ジョジョ立ちなんてしていない。……と思う。
しばらく気まずくて沈黙する2人。
5分後には何事もなかったかのように、仕事の話をしていた。
さっきまでの迫力はどこへ行ったんですか?
怖くて仕事の話なんて、まったく頭に入ってこなかった。
恋愛も、男女も、本当に色々ありますよね。
これが本当の最終回だったのかもしれない。
この記事が完成した経緯だけ、少し聞いて下さい。
以前の記事のコメントのやり取りで、
「実は、この話には少しだけ続きがあります。」
そう返事をしたことが始まりでした。
何故そんなことを言ったのか、自分でもよく分かっていません。
でも、何故かこの話を引き出してもらった気がしました。
紹介の許可もいただいたので、この場を借りてご紹介させていただきます。
改めて、雪綴ゆきさん、きっかけをいただきありがとうございました。
もう一つ、彼女から苦情が来ています。
「私、ANNA SUIのスイドリームってそんなにつけてなくて、LANCOMEのミラクの方が好きだったと思う。」
「それ、別の女じゃね?」
……と、ご立腹でした。
記憶って、案外あてにならないものですね。
彼女があの頃よく聴いていた曲を置いて、この話を終わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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