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隣人トラブル

     一人暮らしを始めて6年目になる。未だに隣人トラブルに巻き込まれたことがない。しかし先日、少しヒヤッとすることが起きた。
     ある日の昼間、洗濯物をベランダに干していた。夕方、出先から帰り洗濯物を取り込もうとすると、Tシャツが1枚風で飛ばされていた。身を乗り出すと、斜め下の部屋のベランダに落ちているのが見えた。マズイ!心の中で思った。
     というのも、その部屋の住人にはある特徴があった。またある日、洗濯物を干しているとその部屋の住人も同時に洗濯物を干していた。その際に、その住人の腕がチラッと見えたのだ。その両腕にはビッシリと刺青が入っていたのだ。「刃牙のキャラみたいでカックイイ〜。大阪〜♪」とか思っていた。その刃牙のキャラの部屋のベランダに、私のTシャツが1枚落ちてしまったのだ。どうしよう。刃牙のキャラに「私のTシャツを返してください」と言うかどうか躊躇した。だってちょっと怖い。握撃されるかもしれない。握撃されるのは違う。だったらビリビリに破いてくれ。Tシャツを握撃してくれ。握撃ってなんやねん。予測変換で出てこんかったぞ。
     悩んだ挙句、取りに行くことにした。刃牙のキャラからしても、誰のかわからんTシャツが降ってきたら怖いと思ったので。恐る恐る、インターホンを押す。出てこない。留守だった。「地下格闘技場に行ったんかな」と思う暇はない。もちろん。ちょっとホッとして、自部屋に戻る。どうするか悩んだが、ルーズリーフにメッセージを書いて、ポストに入れることにした。「突然すみません。〇〇号室の者です。Tシャツが1枚風で飛ばされてしまいまして、〇〇号室様のベランダに落ちてしまいました。お手数をおかけしますが、そのままで大丈夫ですので、玄関前に置いて頂けませんでしょうか。よろしくお願い致します。」できるだけ達筆で書いた。
     すると次の日、玄関前に、ビニール袋に入った私のTシャツが。よかったと思い、中身を取り出すと1枚の紙が入っていた。「こちら洗濯済です。いえいえ。よろしくお願いします。」あの刺青入りの右手で丁寧に書いてくれた。ボールペンを握り潰さないように、握力を調節しながら。人の見た目は関係ないですね。とても優しい刃牙のキャラでした。ありがとうございました。
     わても額にゾウさんの刺青入れたろかな。はい。無理やりオチをつけましたよ。なに?

     
     
    宇宙一凶悪コンビ 大阪の地下で漫才をしています。

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