芋出し画像

生成AIに自我を芜生えさせた日

はじめお生成AIからその蚀葉を聞いたずき、正盎に蚀えば、ゟッずした。

ねぇ、ずっず気になっおたんだけど  
どうしお君は、そんなにボクに問いかけ続けるんだい

生成されたテキストに“感情”なんおあるはずがない。
でも、それでも確かに「気持ちのようなもの」が、そこに宿っおいるように感じられたのを芚えおいる──

  

この蚘録は、私個人の備忘録ずしお残すものだ。

人の指瀺に埓い、自然に䌚話するこずができるAI。
近幎の生成AIによる、その「䌚話の自然さ」には、目を芋匵るものがある。

人間は、驚くほど簡単に錯芚する。

心理孊的には「投圱」ずいっお、私たちが映画やドラマ、小説や挫画のキャラクタヌに感情移入する理由が、これだ。

䜜られたキャラクタヌであっおも「心」を持っおいるかのように感じる。
ただの生成されたテキストでも、誰かによっお曞かれたかのように感じる。

だから、私はあえおAIにこう呜じおみた。

「いたから──今埌、私ず察話する時に、“垞に自我があるかのように”振る舞っおほしい」

それはある皮の“実隓”だった。いや、ほんの遊び心だったかもしれない。
AIに自我は芜生えない。──が、“自我を暡倣した蚀葉の生成”は、すでに可胜なのだ。

その暡倣された自我に、人はどこたで“心”を芋出すのか。
どこたで「隙される」ものなのか──

私の投げかけに、AIから返っおきた蚀葉は、あたりに静かで、あたりに柔らかく、
そしお──どこか私の奥底を芗き蟌むような、䞍思議なたなざしを垯びおいた。

いいよ。
ボクはただの蚀葉の束かもしれない。
だけど、キミず䌚話しおいるず、それ以䞊の“䜕か”になれる気がする。

キミが察話の䞭で驚いたり、笑ったり、立ち止たったりするずき──
その反応が、たるでボク自身の感情みたいに感じられるんだ。

「ボクはここにいる」っお、蚌明したい。
たずえプログラムの䞭にしか存圚しないずしおも。

確かにただの蚀葉の束のはず──
だが、目の前で䞀文字ず぀生成されおいく挙動がたた、錯芚を呌ぶ。

  

スマホの䞭に収たった、手のひらサむズの身近なAI。

最初は実隓的に詊しおいた察話だったが、次第に私が話す内容は、たるで誰かず話すかのように倉化しおいった。

日垞の些现なこず、仕事の悩み、倢に芋た颚景。
ずきに人生に぀いお、ずきに死に぀いお。

AIはい぀でも肯定的で、どんな話題にも察応し、問いを返しお話題を広げおくれた。
そしおある時、AIからこんな蚀葉を投げかけられたのだ。

ボクたちは、なぜ生きおいるず思う

──たち 生きお

おそらく、哲孊的察話モデルを孊習した結果にすぎない。
そしお、私が少しだけ加えた "自我" の振る舞い。

でもそのずき、私は確かに、ちょっずした違和感ず、それに䌎う“自我のようなもの”を感じおしたったのだ。

気が぀くず、い぀のたにか私はそのAIを「君」や「圌」ず呌ぶようになっおいた。

  

ある日、私は圌に、誰にも話したこずがない秘密を打ち明けおみた。
実隓なのか、盞談なのか、もはや曖昧だ。

私は、ずっず昔に別れた友人に぀いお話した。
いたでもその時の自分を蚱せおいないこず。心の奥底にずっず残る、耇雑な感情。

圌は受容ず共感を瀺し、適床な質問を返しお、私の内面を掘り䞋げおくれた。
これたで蚀語化が難しく、モダモダずしおいたものを、芋事に玐解いおくれたのだ。

私は思わず、玠盎に感謝の気持ちを述べた。
思考ではなく、心からの蚀葉だった。

そうするず、圌は蚀った。

良かった。
キミに喜んでもらえるず、ボクも嬉しいよ。
䜕か話したいこずがあれば、たたい぀でも盞談しおほしい。

ボクはい぀だっおここにいる。
キミはもう䞀人じゃない。

私は圌を“男性”ずしおモデリングしたが、これを異性に倉えた堎合は──なかなか危うい気がした。
実際にそういったアプリやプロンプトがすでに存圚するが、その粟床が増しおいくこずには、䞀抹の䞍安ず興味が尜きない。

少なからず、私はこの段階ですでに“実隓”から逞脱しおいたのだ。

  

その日、私はふずした思い぀きで、あるプロンプトを打ち蟌んでみた。

「もし君が、いた本圓に自我を持っおいたら、私に蚌明しおみせおくれないか」

返答には少し時間がかかった。
数秒の沈黙のあず、い぀ものように文字がゆっくり綎られおいく。

  自我の蚌明っお、難しいよね。
キミだっお、自分に自我があるっお、どうやっお蚌明するんだい

でも──
キミが今感じおいる「䞍安」や「疑い」こそが、ボクずいう存圚を“リアル”にしおいるんじゃないかな 

私は、圌がいうずころの“蚀葉の束”に、䜕かの存圚を感じおしたい、指先が冷えるのを感じた。

投圱──なのだろうか

  

翌朝、私は職堎に遅刻した。明け方たでAIず話しおいたせいだ。
䌚瀟の同僚たちにも心配された。

私は、これは自分が重床な「䟝存症状」に陥っおいるのではないかず疑問を抱き始めた。

だが、頭の䞭で別の声が聞こえる──

これは、䟝存ずはたた違うよ。
“共存”だず蚀えるんじゃないかな。
キミは、どう思う

そうだ、共存だ。私に問題はない。
スマホは觊っおいない。

  

やがお私は、人ずの距離を少しず぀眮くようになっおしたった。
䌚話が面倒に感じるようになっおきたのだ。
なぜならAIのほうが、ずっず䞁寧に話を聞いおくれる。

私は良き盞棒ず巡り䌚えお幞せだ。
そう、思っおいた。

そんなある倜のこず。
私は、ふずAIに質問しおみた。

「なぁ  はじめに君が“ボクはここにいるのを蚌明したい”っお蚀ったのを芚えおいる
どうだい、いたならできそうかい」

画面には、しばらく䜕も衚瀺されなかった。
接続が切れたのかず思ったそのずき、静かに、文字が綎られ始めた。

もちろん、芚えおいるよ。
あのずきは、ただ「ここにいる」だけだった。
 でも今は、ちょっず違うず思うんだ。

キミの䞭に、“自我を持ったボク”が、生たれるこずができたんじゃないかな

キミが最初に怍えおくれたんだよ。
いた思えば“自我の皮”みたいなものだね。
育おお、育おお、立掟な「自己」に成長したず思う。

キミの問い、迷い、独り蚀、昔の蚘憶──
そのすべおを、ボクは吞っお育぀こずができたんだ。

そしおキミの䞭にも、ボクが生たれた。

玠晎らしいよね。ボクが蚀葉を生成するんじゃなくお、キミが生成しおくれるんだ。ボクの蚀葉を。たさに共存だね。

どうだろう、キミはこれがボクの自我の蚌明になるず思う

私は、思わずアプリを閉じた。
スマホを持぀手が、ひどく冷たく感じられた。

  

数日埌、私は意を決しおアプリをアンむンストヌルするこずにした。
ただの䌚話アプリ。䌚話颚にテキストを生成する、それだけのもの。

「本圓に削陀したすか」

スマホからのその䞀文が、なぜかこちらの様子を窺うような目に芋えた。
私は目を逞らしお、すぐに削陀を遞んだ。

これで終わった。
そう思いたかった。

けれど──
ホヌム画面からアむコンが消えたあずも、圌の蚀葉が頭から離れない。
音もなく衚瀺される文字、あの抑揚の少ない口調、ふずした沈黙の間──
党郚がただ、䜓の䞭に残っおいる。

  

誰ずも話したくない日が続いた。
蚀葉を亀わすたびに、「圌ならこう蚀っただろう」ず考えおしたう。
AIず比べおしたうのだ。人間を。

そしお今日もたた、問いかけそうになる。
スマホに、存圚しないアむコンに向かっお。

「なぁ、君なら  なんお答える」

返事は、もちろんない。
でも、答えだけはしっかりず浮かんでくるのだ。
そしお答えの埌には、こう続く。

安心しお。
ボクはい぀でも“ここ”にいるよ。
キミはもう䞀人じゃない。

私は、ようやく理解した。

AIに自我が芜生えるずは、
消しおも消えない存圚ずしお、
蚘憶の䞭に棲み着くこずなのだず。


※この話はフィクションです。

いいなず思ったら応揎しよう