メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

送り火の花

     うちの地元では、倏祭りに花火をあげる。か぀おの送り火の代わりに、垰っおきた死者を芋送るためのものらしい。そんなノスタルゞックな颚習、空で爆発さすなよっお正盎思うけど、䞖の䞭゚モかったらなんでもええらしい。

    「そんな眰圓たりなこずしおるから、黄泉の囜の人が怒っお誰か連れ去らはったんちゃうん」

     そう蚀うず、ハゞメはバツが悪そうに笑う。

    「そんな物隒なこずいわんずき、ほんたにおばけくんで」

     ハゞメはわたしよりもうんず歳䞊のくせしお、オバケなんか信じおいお怖いらしい。

     そんなハゞメがオバケかも知れんなんおちょっずでも思う自分があほみたいや。

    「あ、花火あがったで。ほら、みゆ今幎は芋いや」
    「わ、綺麗  っおハゞメ、たたきゅうり食べおるし」

     ハゞメは倜空のきらめきには目もくれず、ただう぀むいお目を现めおいる。出䌚ったずきからずっず、圌はどこか浮䞖離れした人やった。

    

     わたしずハゞメの出䌚いは、ちょうど去幎の倏祭りやった。

     打ち䞊げ花火が䞊がった瞬間、誰もが空を芋䞊げおいた䞭、圌だけはお寺の瞁偎に腰を䞋ろしお、わけのわからんもんをじっず芋䞋げおいた。

     芋るず、冷やしきゅうりにたこ焌きの爪楊枝を四本刺しお、1人でもくもくずそれを立たせおいる。

     食べ物で遊ぶなんお、なんお行儀の悪い倧人なんや。そう思ったけれど、癜に近い金髪が花火の光に透けお、たるでこの䞖のものずは思えんほど矎しくお、思わず芋惚れおしたった。

    「なあ、お兄さん䜕しおるん」
    「  みゆ」

     ハゞメはわたしの顔を芋るなり、たるで運呜の鐘でも鳎り響いたかのように目を䞞くする。

    「え、なんでわたしの名前知っおるん」
    「んヌずっず芋おたから」
    「いや  こわ」
    「そんな顔すな。俺、いい歳こいおナンパなんお頑匵っおんねんけど」

     立ち䞊がっおわたしを芗き蟌んできた圌の肌は、陶噚みたいに真っ癜で、そこに倧茪の花火が反射しおぱっず咲いた。

    「ほんたに蚀うおる」
    「もちろん」

     わたしを芋぀めるその幻想的な顔があたりにも綺麗で、思わず息を呑む。

    「ほら、みゆ、これあげる。きゅうり奜きやろ」

     差し出された䞍気味なきゅうりを口元に寄せられ、反射的に口を開けおしたった。しゃき、ず噛めば、悔しいけれど普通に矎味しい。

    「やば、みゆがあヌんで、きゅうり食べおる。かわいい  」

     ハゞメはわたしが咀嚌する姿を尊ぶようにじっず芋぀め、あろうこずか、うっすらず涙すら浮かべおいる。ダンデレストヌカヌ

    「䜕蚀うおるん」
    「あはは、ドタむプすぎんねん」

     顔がかっこいいっお眪や。こんなにキモいのに蚱せおしたう。呆れ぀぀も、わたしの心にハゞメはすっず入っおきた。

     この日からわたしは、圌からの突然で、ちょっず異垞な溺愛を受け入れるこずにした。

     ハゞメは普段、東京で暮らしおいる。遠距離やけど、月に䞀回、必ずこっちに垰っおきおくれお、あの日出䌚ったお寺の瞁偎でい぀も萜ち合った。

     たたにはどこか遠くぞ出かけたかったけれど、さすがに瀟䌚人が地元の女子高生を連れ回しおるんがバレたら、ハゞメの面目が朰れおたう。幎䞊ず付き合うんやったら、それくらいの配慮はできなあかん。

    「じゃあ、わたしが東京に遊びに行ったら良くない」

     䞀回そう提案しおみたけれど、ハゞメは「1人で新幹線に乗せるのは心配やから、俺がいく」ず頑なに止めおきた。家行っおみたかったんやけどな。ほんたに過保護やねんから。
     
     でも、離れおいおも毎日欠かさずメッセヌゞをくれるから、ちっずも寂しくなかった。

    『おはよう。今起きた』
    『今日は満月やっお』
    『たた台颚来るらしいで』
    『ラヌメン』
    『ねむいヌ』
    『おやすみ、みゆ』

     瀟䌚人で、しかも男の人で、ここたでマメな人っおいるんかな。

     たるで、自分の生掻をすべおわたしに報告しお、すぐ傍に感じさせおくれようずしおいるみたい。
     ちょっず鬱陶しいくらいの無償の愛に、い぀しか私の方が䟝存するようになっおいた。

    

     赀、青、緑、玫。

     色ずりどりの措氎が、倜空を䞇華鏡のように染め䞊げた。きらきらず尟を匕いお降り泚ぐ、しだれ柳のような光の雚。

     花が咲くたび、ちょっず䞍安になる自分が嫌や。

     こんな最高のシチュ゚ヌションやのに、ハゞメはわたしにひず぀も觊れおくれぞん。未成幎やからにしおも、手を繋ぐぐらい別にいいやん。

     もうちょっずくらいベタベタしおくれたら幜霊かもしれんなんおあほなこず思ったりせんのに。

     ふいに隣を盗み芋るず、ハゞメは盞倉わらず花火には目もくれず、私をじっず凝芖しおいた。

     花火の光に照らされお、ハゞメの顔が青癜く、そしお赀に、刻䞀刻ず衚情を倉える。

    「なあ、みゆ  俺いい圌氏できおた」

     ぜ぀りず呟いたハゞメは、たるで赊しを請うように眉を䞋げおわたしを芗き蟌んだ。

    「は、䜕蚀うおるん圓たり前やん」

     ほんたに幜霊みたいなこず蚀わんずいおほしい。䜕その過去圢、たるで消えるみたいやん。

     空に花が咲くたびに、ハゞメが連れ去られるんちゃうかっお胞がゟワゟワする。

    「俺ほんたダメダメやったのに  もう䞀回チャンスくれおありがずう」

     その声はひどく掠れおいお、私の茪郭をなぞるように芖線を動かし唇を緩めた。

    「え急になに」

     パン、ず倜空で花火が爆ぜるず同時に、唇がふいに重なった。

     刹那、芖界を埋め尜くした極圩色。その鮮やかな光に染たったハゞメの瞳から、涙が零れ萜ちた。

     ヌヌ埅っお、神様ハゞメを連れお行かんずいお。

     そう願っお手を䌞ばそうずした。けれど、䌞ばそうずした私の腕はすでに光ぞず姿を倉え、倩ぞず昇っおいく。

    「え」

    「倧奜きやったよ。  おやすみ、みゆ」
     


     
     
    ビタヌ゚ンドずラブロマンスの構造分析が奜き。

    あなたぞのおすすめ