
Course1 タコとニョッキ
第一皿 和
1. 食堂の厨房で学ぶ、八番目の月
和がニョッキを茹でていると、日奈子が隣から覗き込んだ。
「今日はたこなんですね。」
和は笑って頷く。
「そう。ところで、たこの足って何本か知ってる?」
「八本ですよね。」
「正解。」
和は包丁でたこを一口大に切りながら続けた。
「たこは英語で Octopus 。この Octo はラテン語で『第八』という意味なんだ。」
「そうなんですか。」
「だから十月の October も同じ語源なんだよ。」
日奈子は少し驚いたように目を丸くする。
「……でも十月って十番目ですよね?」
「今の暦ではね。昔のローマ暦は三月始まりだったから、三月から数えると十月は八番目の月だった。」
「なるほど。」
和はニョッキを鍋へ入れた。
「その後、『賽は投げられた』で有名なユリウス・カエサルが暦を整えて、七月を July に変えた。」
「カエサルの名前なんですね。」
「さらにローマ帝国初代皇帝アウグストゥスが八月を August に変えた。」
「英語の月の名前って、そんな歴史があったんですね。」
「料理も歴史も、知るとちょっと面白くなるでしょ。」
2. たことバジルの和風ニョッキ
🍳 材料(2人分)
* ニョッキ:1パック
* たこ:1杯
* オリーブオイル:適量
* ソース:適量
* バジル:適量
* マヨネーズ:(お好みで)
🍴 作り方
① ニョッキを茹でる
塩を加えた熱湯でニョッキを約2分ゆでます。ふっくら浮かんできたら食べ頃の合図。その間に、バジルは細かくちぎっておきましょう。
② 香りをまとわせる
フライパンへオリーブオイルを熱し、茹で上がったニョッキを加えます。初対面で距離を詰めすぎると気まずくなることがありますが、オリーブオイルとは最初から仲良くなって大丈夫です。軽く炒めて香りをまとわせます。
③ たこを合わせる
残った茹で汁でたこをさっと温め、一口大に切ります。ニョッキの茹で汁は、昨日まで他人だった二人を紹介してくれる共通の友人のような存在です。
④ 優しく和える
たことニョッキを合わせ、ソースを加えて全体を優しく和えます。ここで勢いよく混ぜるとニョッキが崩れます。恋もニョッキも、少しだけ優しく扱うくらいがちょうどいいようです。
⑤ 仕上げ
器へ盛り付け、バジルを散らします。
💡 ワンポイント
お好みでマヨネーズを添えても美味しくいただけます。「たこ焼きなのか、イタリアンなのか。」そんな小さな葛藤を楽しみながら召し上がってください。
3. 日奈子の食レポ
「面白い!」
一口食べると、外側を焼いたニョッキはもちもちの中に香ばしさが加わり、たこの弾力とよく合う。
ソースはどこかたこ焼きを思わせる懐かしい味なのに、バジルが加わるだけで急にイタリアンになる。
「たこ焼きとニョッキのいいところ取りですね。」
和は照れくさそうに笑う。
「パーティー料理をイメージしたんだ。」
「見た目もかわいいし、お酒にも合いそうです。最後にマヨネーズを少しかけると、たこ焼き感がさらに出ますね。」
和は静かに頷いた。
「料理って、知識を足しても難しくなるんじゃなくて、食べる楽しみが増えるんだ。」
日奈子も笑顔で頷く。
「最初の一皿にぴったりですね。」
4. 日奈子のペアリング
🍺 おすすめの一杯:ピルスナータイプのビール
ソースの香ばしさと、たこの旨味には、すっきりした苦味のあるビールがよく合います。ビールの炭酸がニョッキのもちもち感を軽やかにしてくれるので、最初の一皿にぴったりですね。
🍋 アルコールが苦手な方は
レモンを絞った炭酸水や、辛口のジンジャーエールがおすすめです。
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