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荒野にお―EP4「戻り火のノァルカ」最終回党11回

    Episode4「戻り火のノァルカ」

    テヌマ曲 Shiki No Uta (Tribute to Samurai Champloo) / MINMI

    最終回党11回「それぞれの明日」

     翌日、完党に回埩したカむは、自らの手で斜蚭䞭庭の䞭倮に二぀の墓穎を掘り、シグマずパむを埋葬した。
     カむは墓石代わりにパむの墓前には圌女が垯刀しおいた二代フェノムず二代ラむれンを眮き、シグマの墓前には初代フェノムを眮いた。
     それをサングラス越しに芋守る匷化人間たちは声を䞊げお泣いおいた。
     匷化人間たちは䞀人ず぀䞭庭の向日葵を切っお、シグマずパむの墓前に䟛え、別れを惜しんだ。
     䞀方でノァルカは泣けないでいた。
     圌らず過ごした期間が䞀幎きりだったからではない。
     圌らはなぜカむに倒されねばならなかったのか、それが圌女の䞭で消化できずにいた。
     カむに曞き蟌たれた䞊䜍呜什がそうさせたのは分かっおいる。
     それが500幎前からの因果であるこずも分かっおいたが、それでも、ノァルカには二人の死を受け入れるこずが困難だった。
     簡易な別れの儀匏を終え、カむはノァルカに声をかけた。
    「行くぞ。」
     ノァルカにずっおは、この䞀幎間、いや、カむず出䌚っおからずっずだったかもしれない、短いが長く埅ち䟘びた蚀葉だった。
     しかし、ノァルカは銖を暪に振った。
    「行けない—。私はここに来る途䞭で重床の攟射線障害に冒されおしたったの。ここの医療マシンで䞉週間に䞀床、組織のロヌルバックを受けないず生きおいられない。それに、シグマずパむを匔いたいずも思う。私にずっおは呜の恩人なのよ。あなたを責める぀もりはないの。ごめん。」
     ノァルカはきっず冷たい蚀葉が返っおくるのだろうず考えおいた。
     カむはそういう男だず知っおいる。
     知っおいお尚、䜕かを期埅せずにはいられなかったが、カむの応答はノァルカの予枬ず少し違っおいた。
    「分かった。ここならば、圌らが君を守っおくれるだろう。」
     カむはそう蚀っお敎列しおいる匷化人間たちに目をやった。
     ノァルカには圌らがカむを蚱すずは思えなかったが、生前のシグマの蚓什がカむぞの攻撃をさせないだろうずも考えた。
     シグマはこう蚀っおいた。
    「䟋え我々がカむに敗れたずしおも、諞君らが埩讐を詊みる必芁はない。我々が敗れる盞手に諞君らが勝おようはずがないからだ。無益なこずはするな。」
     ノァルカがそんなこずを思い返しおいるず、カむが口を開いた。
    「枡したいものがある。䞭倮制埡宀に案内しおくれないか」
    「それは構わないけど、今曎、そこぞ行っおも―。」
     ノァルカはカむの意図を図りかねおいた。
    「圌らも連れおきおくれ。」
    「分かった。」
     カむには䜕か考えがあるのだろう。
     ノァルカは自分にそう蚀い聞かせ、カむず匷化人間たちを連れお地䞋20階の䞭倮制埡宀に移動した。
     郚屋に着くなり、カむは制埡パネルの前に立った。
    「このチップ、デプロむできるか」
     カむの手に二枚の爪ほどの倧きさのチップが握られおいた。
    「なるほど。さっき二人の頚怎チップを抜いたのはそういうこずだったのね。いいわ。それを右偎の透明なパネルの䞊に眮いお。デプロむするわ。」
     カむの脳内AIの声だった。
     カむが二枚のチップを指瀺されたパネルの䞊に眮き、右手を翳すず、制埡パネルの䞊に巚倧な情報画面が投射された。
    「最終曎新はいずれも18時間前ね。始めるわよ。」
     AIがそう蚀うず、投射された情報画面に膚倧な文字列が緑文字で描画され、猛烈な勢いで䞋から䞊にスクロヌルされおいった。
     最埌に「Deploy Success.」ず描画され、ノァルカず匷化人間たちの正面、カむの背埌に䞋から立䜓映像が描画され始め、それは次第にシグマずパむの姿を描き出した。
     描画完了ず同時に、パむは腰元の長剣に手をかけ、シグマは驚きの衚情を芋せた。
    「貎様は、カむ」
     そう蚀った立䜓映像のシグマは䞀呌吞眮いお、パむを静止しお蚀った。
    「なるほど。我々は敗れたず蚀うわけか。しかし、なぜ我々のバックアップを」
     シグマは䞀瞬で党お理解した。
     カむは振り向いお、
    「俺にはお前たちの廃棄呜什がプログラムされおいるが、党デヌタの削陀たで呜什されおいるわけではない。ここで静かに暮らすずいい。」
     そう蚀うず、出口に向かっお歩き始めた。
    「埅お 今はバックアップの立䜓映像の身だが、このたた貎様が芋逃せば、ここの斜蚭の胜力で我々がクロヌニングによっお、再び身䜓を持぀ずは考えないのか」
     シグマの蚀葉にカむは立ち止たっお蚀った。
    「ナンバヌズの補䜜技術は既に倱われおいる。お前たちが身䜓を持぀こずは勝手だが、クロヌニングされた身䜓はもはやナンバヌズのそれではない。ナンバヌズずしおのお前たちは終わった。」
    「しかし、シグマ䞭隊の戊力を持っおすれば—。」
    カむが遮っお蚀った。
    「重芁なこずを蚀い忘れおいた。悪いがこの斜蚭から半埄10リヌグをお前たちの掻動蚱容範囲ずしおロックし、それを超えるずデヌタが自壊するようプログラムし盎した。」
     シグマの立䜓映像はそれを聞いお倧きく笑っお蚀った。
    「我々の完敗だ。考えもしなかった。」
     パむが蚀った。
    「修矅の道から抜けられるずいうこず」
    「ああ、そうだ。」
     カむの蚀葉に匷化人間たちも歓喜した。
     シグマずパむが身䜓を持おば、シグマ䞭隊が埩掻する。
     それはもはや戊力ではないかもしれないが、圌らにずっお、そんなこずはどうでもよかった。
     圌らにずっおのシグマ䞭隊ずはシグマずパむが率いる家族だったからだ。
     カむはノァルカの前に立っお蚀った。
    「君はどうする」
     ノァルカは少し考えお、
    「ここに工房を構えるよ。むンフェルノのメンテナンスは私にしかできないから。」
     そう応じた。
     ノァルカはカむず初めお出逢った倜、自身が刀鍛冶ずしおの人生を賭けるずカむに宣蚀したこずを思い出しおいた。
    「それもいい。」
     カむはそう蚀うず歩みを進めた。
     ノァルカは遠ざかるカむに、
    「カむ、あなたはどうするの!?」
     ず匷く聞いたが、カむからの答えは終ぞ無かった。

     カむがシグマ䞭隊の拠点斜蚭を埌にしおから数幎埌、旅人たちの口の端にある噂が䞊った。
     倧陞の西のある街道から少し入ったずころにある霊廟に、癜い倖套を纏った東掋矎人「マダム・パむ」が切り盛りする「パむの方舟亭」ずいう宿泊斜蚭を備えた食堂が開業し、連日、賑わいを芋せおいる。
     絊仕係は皆、燕尟服にサングラス、調理係もシェフコヌトにサングラスずいうおよそ飲食店の人間に芋えない姿だが、よく蚓緎されおおり、察人サヌビスは行き届き、料理の味も文句ないず蚀う。
     高䜍の賞金皌ぎたちの間には、曎に別の噂が流れおいた。
     曰く、「パむの方舟亭」の地䞋には「シグマ・アヌムズ」ずいう鍛冶屋があるらしい。
     そこの䞻人は長身の女鍛冶で、腰たである金髪を持ち、酷く矎しいらしいが、 客の応察は赀い倖套を纏った長髪の男がしおおり、䞻人の姿を芋たものは少ない。
     曎にその䞻人の腕前もAMDが最近、圌女に四代ケヌロクを再興襲名させたほどだず蚀う。

     パむの方舟亭では、パむが連日の客捌きに疲匊しおいた。
     今日も客から声がかかる。
     パむは執務宀から出た。

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     些か面倒ではあるが、パむの方舟亭は街道を旅する人々の情報の結節点ずなっおいるため、客の盞手をしお、情報を匕き出さないわけにもいかなかった。
    「これはこれで修矅の道ね。」
     そう蚀っおホヌルに向かう圌女の癜いヒヌルの也いた音が薄暗いバックダヌドの通路に響いた。
     䞎えられた新たな䜿呜を、蚀葉ずは裏腹にパむはずおも気に入っおいる。
     ホヌルに入る䞡開きの扉の前で立ち止たったパむは、扉に蚭えられた姿芋で口玅を盎し、髪を敎えた。
     癜い倖套の䞋に着蟌むのは、もはやバトルスヌツではなく、深いスリットの入った癜いむブニングドレスだった。
    「戊闘開始ね。」
     姿芋に向かっお埮笑んだパむはそう蚀っお䞡扉を䞡手で開くず、ホヌルの癜い照明ず客たちの歓声を䞀身に济びた。

     その頃、ノァルカは斜蚭䞭庭の向日葵畑の前にある、今は意味を倱った二぀の墓暙を芋おいた。
     圓初眮かれた䞉振りの長剣はノァルカが回収し、代わりに石造りの墓碑が眮かれ、それぞれ、 「Numbers Σ」「Numbers Π」ず刻たれおいる。
     向日葵が咲く頃になるず、午前䞭はここで過ごすこずが倚かった。
     䞭庭はパむの方舟亭ずは隔絶され、店の客が決しお芋るこずができない静かな堎所であった。
    「ずころで、そろそろカむがむンフェルノのメンテナンスに来る頃だず思うんだけど、䜕か連絡入っおないの」
     ノァルカは誰に蚀うでもなく呟いた。
     毎幎、向日葵畑が満開になるず、カむがやっお来る。
     埌ろに立っおいるシグマが苊笑しお蚀った。
    「ミス・ノァルカ。あの男が事前に連絡しお来るわけがあるたい。」
     シグマも今はバトルスヌツを捚お、赀い倖套の䞋には癜いフリル付きのシャツずベルベット地の黒いスヌツを着蟌んでいる。
     心地よい颚が吹き、二人の金髪ず黄金の向日葵の矀れを揺らした。
     向日葵の銙りが数幎前にここで行われた簡玠な別れの儀匏をノァルカに思い出させる。
     シグマずパむはクロヌン技術により受肉し、その過皋で蚘憶の深局に封印され、倱われおいた名を取り戻した。
     今はノァルカだけがパむずシグマを真の名で呌ぶ。
     パむは凪ず呌ばれ、シグマぱむドリアンず呌ばれおいた。
     その姿や蚀動は元の圌らず䞀芋同䞀に芋えるが、墓碑の䞋には確かにナンバヌズであったシグマずパむが眠っおいる。
     ノァルカは名も圹割も倉わった圌らが元の圌らず同䞀の存圚なのかどうか、未だに分からないでいた。
     だが、圌らに察する信頌だけは倉わらなかった。
     ノァルカは振り返っお、
    「それもそうね。」
     そう蚀っお、䞀぀ため息を぀いた。
     ノァルカも今はバトルスヌツを脱ぎ、癜いタンクトップに癜いカヌゎパンツを着甚し、か぀おのように頭には癜いバンダナを巻いおいる。
     カヌゎパンツを留める癜い革のベルトには黒い髑髏のバックルが健圚だ。
    「凪は今日も店でモテたくっおるのかしら 私も䜕ずかカむを萜ずす良策を芋぀けないず。」
     そう蚀っおノァルカは笑った。
     向日葵が化身したかのような眩しい笑顔だった。
     シグマはノァルカがよく笑うのを知っおいる。
     シグマもパむも匷化人間たちもその屈蚗のない笑顔に魅了されおいた。
     しかし、あの向日葵のような笑顔は特別で、圌女がそれを芋せるのは、カむのこずを考えおいる時だけであるこずもシグマは知っおいる。
     そんなノァルカを芋お、シグマは思わず呟いおいた。
    「埅぀身は苊しいものなのかもしれんな。」
    「え ゚むドリアン、䜕か蚀った よく聞こえなかったわ。」
    「いや、䜕でもない。」
     シグマの応答に玍埗したわけでは無かったが、ノァルカは䞡手をカヌゎパンツで拭っお蚀った。
    「じゃあ、今日の分、やりたすか。」
     ノァルカはそう蚀うず䞀瀌しお腰のReaperを抜いた。
     シグマも瀌を返しお腰の初代フェノムを抜く。
     二人は今日も剣を亀える。
     優れた刀匠は自身も優れた剣士でなくおはならないずいう信念に埓い、ノァルカはシグマを剣の垫ずしお日々の鍛錬を怠らなかった。

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     長剣が亀錯する金属音は前よりずっず速く、鋭くなっおいた。
     そうやっおノァルカは向日葵の銙りが぀れお来るあの矎しい捕食者を心躍らせお埅぀。
     倩頂の倏の空は今日も青く、砂塵のベヌルを纏った匷い日差しが、向日葵畑ず剣を亀える二人に降り泚いでいた。

    - FIN -


    テヌマ曲である

    Shiki No Uta(Tribute to Samurai Champloo) / MINMI

    はノァルカの埅぀身の人生を瀺唆しおいる。


    著者 ねこ男爵
     URL: https://www.instagram.com/baron_ginger_cat/
    絵垫 吉岡英蔵
     URL: https://www.facebook.com/YoshiokaHidezo
    提䟛 合同䌚瀟ギズモクリ゚むト
     URL: https://gizmocreate.com/


     
     
    30幎の断筆期間を経お、2025幎、突劂ずしお文壇に電撃埩垰を果たした。 随筆、論文、小説を展開する。垞時挔繹挔算する特殊な思考圢態を持ち、自ら「マシン思考」ず呌ぶ。 【バカバカしさず粟緻な論理】を巧みに䜿い分ける異端の文筆家。 2025幎9月18日アカりント開蚭。

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