
本の世界は秘密基地 〈No.1〉
ここからは、読書感想文を同じタイトルにして
シリーズ化 (ナンバリング) してみようと思います。
もし良かったら、手に取って下さると嬉しいです。
今回ご紹介する
柚月裕子さんの作品は、全て読破していて
一番最初に出会った作品は
「ウツボカズラの甘い息」…でした。
戦慄を感じる犯罪小説なのですが、私は彼女の言葉の描き方がとても好きになり、次から次へと柚月ワールドへ潜り込んでいきます。
・臨床心理
・蟻の菜園
・慈雨
などを通過して、今回ご紹介する「弁護士・佐方貞人」シリーズの「最後の証人」に出会い、この柚月さんの描く「佐方貞人」の人間性に深い魅力を覚えていきます。
そして
・孤狼の血シリーズ
・教誨
・盤上の向日葵 など
広がってゆく、柚月裕子ワールドがいつの間にか
私の心の秘密基地と変化していきました。
言葉をどう使い、表現するか、言葉をどんな風に描くかは、その作家さんそれぞれが持つ、人間の魅力だと思っています。
読んでいく中で、自分に合う、心地の良い作家さんに出会うと、人生観も違って見えてきたりすることを身を持って体感してきました。
そんな素敵な出会いが、この記事を読んで下さる方のキッカケになったなら、嬉しいなと思います。
「誓いの証言」 柚月裕子
☘️あらすじ
弁護士・佐方貞人のもとに、ある日突然、警察から連絡が入る。
逮捕された男が「弁護人として佐方を指名した」というのだ。
その男は、大学時代の同期である久保利典。
女性から不同意性交等罪で訴えられ、世間から厳しい視線を向けられていた。
久保は無実を訴える。
佐方もまた、旧友の言葉を信じ、事件の真相を追い始める。
しかし調べを進めるうちに、現在の事件と、二十年前に香川で起きた石職人の死亡事故が少しずつ結びついていく。
人はなぜ嘘をつくのか。
守りたかったものは何だったのか。
そして、“誓い”とは誰のために存在するのか――。
法廷での緊張感ある攻防と、人間の弱さや祈りのような感情が静かに交錯する、重厚なリーガルミステリー。
☘️この本への思いを感想文に代えて
読んでいるあいだ、ずっと胸の奥が重たかった。
派手な事件が起き続けるわけではない。
けれど、ページをめくるたびに、人の感情の“澱”みたいなものがじわじわ積もっていく。
『誓いの証言』は、「真実を暴く爽快な法廷ミステリー」というより、“人が抱え込んだ後悔”を見つめる物語だったように思う。
私は読んでいて、「正しさ」って何なんだろうと何度も考えた。
法的に正しいこと。
倫理的に正しいこと。
誰かを守るための行動。
自分を守るための沈黙。
それらは綺麗に一本の線にはならなくて、人の数だけ歪み方がある。
だからこそ、この作品に出てくる人物たちが、とても“人間らしく”感じた。
特に印象的だったのは、佐方貞人という主人公の静かな熱量だ。
感情を大きく爆発させるタイプではない。
むしろ淡々としていて、どこか孤独で、不器用ですらある。
でも、その奥底には「真実から逃げない」という強い意志がある。
読んでいると、正義感というより、“誠実さ”に近いものを感じるのだ。
それがすごく沁みた。
人って、誰かを裁くのは簡単なのに、理解しようとすることにはすごく体力がいる。
ニュースでもSNSでも、白か黒かを急いで決めたくなる。
でも現実は、その間にある曖昧さのほうがずっと多い。
この作品は、その“曖昧な場所”から目を逸らさない。
だから読み終わったあと、スッキリするというより、静かに考え込んでしまった。
「あのとき、自分ならどうしただろう」
そんな問いが、あとからじわじわ残る。
柚月裕子さんの作品は、いつも人間の泥臭さを書きながら、その奥にある小さな良心も見失わないところが好きだ。
綺麗事だけでは生きられない。
でも、それでも人は、誰かを信じたい。
『誓いの証言』は、そんな“人間への諦めきれなさ”が詰まった物語だった。
静かな夜に、一人でゆっくり読みたくなる一冊。
読み終えたあと、しばらく無音の時間が欲しくなるような作品だった。
柚月さんの小説は、読者へと向ける「余韻」が、絶妙なタイミングで置かれている。
だから、時にとても胸が苦しくなるけれど、それこそが、柚月さんの物語を通じたメッセージなのだろうと思う。
あえて語らずに…
あなたはどう思いますか?…と、真っ直ぐに問いかける様が、私にはとても美しく見えるのだ。

あなたの元にも
素敵な本との出会いが訪れますように…

してくれることに感謝の気持ちでいっぱいです。
どなたか一人にでも
私のnoteをスキと言ってもらえたなら幸せです☘️