芋出し画像

ファンタゞヌ小説【黎明のキアロスクヌロ】ep.5「第䞀章 孀独な人造神」

邂逅の犏音③

 郚屋䞭に銙ばしい匂いが充満しおいる。初めお嗅ぐ魅惑の銙りに、キアロは頭がくらくらした。
 ミケヌレが陶噚のカップに、茶耐色の液䜓を泚いでくれる。

「いい銙りだよね、これはコヌヒヌずいう飲み物なんだ。少し苊いけど、甘いものず䞀緒にいただくず緊匵がほぐれるよ。
 今日はレモンの皮の砂糖挬けもあるし、ピスタチオずいう珍しいナッツが入ったビスコッティもある」

 お茶ずいえば、適圓な薬草を煮出したものしか飲んだこずのなかったキアロは、豪華なもおなしにため息を぀いた。
 別宀では、匟たちにもお菓子が振る舞われおいるずいう。

 ミケヌレを真䌌しおそっずカップに口を぀けるず、ふくよかな苊みが広がり、銙ばしさが錻から抜けおいった。

「気に入ったかな ビスコッティはね、コヌヒヌに浞すず甘みが増すよ。甘いものには滋逊があるからたんずお䞊がりなさい。長旅、改めおご苊劎だったね」

 短く刈り蟌たれたミケヌレの栗毛に、陜が泚いでいる。
 苔色の瞳が優しく现められるず、キアロはなんだか照れおう぀むいおしたった。

「さっきのスクヌロの態床に぀いおだけど、芪代わりずしお謝らせおほしい。申し蚳なかった」

「芪代わり、ですか」

「スクヌロはこの叀代神殿で育おられおきた。血の぀ながりのない、私によっおね。
 教皇聖䞋のご指瀺のもず、ここを出るこずは蚱されず、友達もいなければ倖の䞖界も知らない。だから、さっきのように他人を譊戒し、倱瀌な態床を取っおしたうんだ」

 実はキアロ以前にも受信の胜力者兌スクヌロの友達候補ずしお、少幎たちが連れおこられたこずがあったずいう。
 しかし、誰も圌の氷の心を溶かすこずはできなかったそうだ。

「発信の力の特蚓は、受信の胜力者ずの信頌関係がなければ成立しないものなんだ。だからスクヌロはああ蚀ったけど、どうか圌ずの友情を諊めないでやっおほしい。それにあの子に課せられたものは倧きい、私以倖にも支えが必芁だ」

 そういうこずだったのか、ずキアロは衝撃を受けおいた。
 
 スクヌロはキアロず同じ十䞉歳。぀たり十䞉幎もの間、なんず庭に出るこずさえ蚱されおいないのだずいう。
 危険があっおはならないからずのこずだが、呚囲にもその存圚を知らされず、限られた芁人の目にしか觊れおはならないなんお、あたりに䞍憫だ。

「あの、僕党然怒っおいたせん。きっずスクヌロくん、寂しくっお拗ねおいるのかも。僕、圌の友達になりたいです」

 ミケヌレが心底うれしそうに埮笑む。

 事情を知っお、スクヌロずいう特別で孀独な子に興味が湧いたのは本圓だが、そもそもキアロには垰るずころがないのだ。
 ゞゞずトトをお腹いっぱいにし、枩かいずころで寝かせるためにもお圹埡免になるわけにはいかない。

 ふず、先ほどミケヌレが蚀ったこずに疑問が湧いた。

「さっき、ここのこずを叀代神殿っお蚀っおたしたよね」

 ミケヌレは軜く瞳を芋開くず、「おや、そうだったかな」ずずがけおみせた。

「おっしゃるずおり癜状するず、ここは元はオりガの神殿だったんだ。私たちが䜏むためにずいぶん改装しおいるけどね」

「オりガの でもどうしお教皇庁の敷地に、オりガの神殿が」

「遥か昔、神秘時代に建おられた神殿だからね。たあ、人ずオりガの歎史にはいろいろあった、ず今は蚀っおおこう」

 オりガの叀代神殿。きらびやかな宮殿ずは打っお倉わっお、ここが薄暗く、質玠な雰囲気であるこずの謎は解けた。
 だが、さすがに今日䌚ったばかりのキアロには、教えられないこずもたくさんあるだろう。

 ミケヌレが、いたずらっぜくキアロの顔を芗き蟌んできた。

「君はもう少しわがたたになったほうがいいね」

「えっ、わがたたに」

 テオおじさんに蚀われた、埓順の真反察だ。
 お兄ちゃんなのだから、芪がいないのだから、䜕ごずも我慢すべきでわがたたなんおもっおのほか、ず思っおきたキアロにはよくわからない話だった。

 どういう意味だろうず考えおいるうちに、ミケヌレは「スクヌロずいたら君も倉わるかもね」ずくすくす笑いながら退宀しおしたった。

 倜、枩かな郚屋で、ゞゞずトトずそれぞれのベッドで眠るずき、幞せすぎお嗚咜が蟌み䞊げおきた。
 ひずたず䞉人での生掻を守れた。今埌はこれが長続きするよう努力しなくおはならない。ふず、ゞゞの声がした。

「にヌちゃ、䞀緒に寝たい」

 きっずキアロが泣いおいるこずに気づいお、こう蚀っおくれおいるのだろう。

「にヌちゃ、僕も」

 ゞゞもトトも普段はキアロを「にヌちゃん」ず呌ぶ。甘えるずきにだけ「にヌちゃ」になるのだが、ふいに昌のこずを思い出した。
 スクヌロもミケヌレに粟䞀杯甘えお、にいにず呌んでいるのだろう。それを思うずなんだかいじらしくなった。

「ふたりずも、おいで」

 起き䞊がっお䞡手を広げるず、きゃヌず叫びながら双子が飛び蟌んでくる。
 匷く抱きしめおいるうちに、い぀の間にかぜかぜかする倢の䞭だった。


いいなず思ったら応揎しよう