
【旅行×文学】一生に一度は訪れたい「日本三大・地獄めぐり」完全ガイド
ようこそ、日本三大・地獄めぐりへ。
このツアーでは、
・青く美しい地獄
・真っ赤な地獄
・なぜか坊主の地獄
など、別府温泉を代表する地獄、そして文学の地獄へご案内いたします。
文学エリアには安全柵等設置しておらず危険ですので、気分が悪くなった方は速やかに現実世界へお戻りください。
なお、現実世界がどこにあるかは各自でご確認をお願いします。
それでは地獄めぐりに出発しましょう!
第一の地獄:青の誘惑と瑠璃色の絶望
海地獄(別府温泉)
最初にご案内するのは、別府を代表する地獄のひとつ、海地獄です。
ご覧ください、この美しい青!
本日のようにお天気がいい日は、まるで南国の海のよう。神秘的なコバルトブルーに輝きます。
あ、だめだめ、触らないで!
美しいからって油断してはだめです。
これ、海と同じに見えますけど、100度近い熱湯ですからね。
油断して近づいて落ちたりしたら、一瞬で人生が終わっちゃいますよ。
さて、そんな「美しすぎる青」に魅入られた方は、こちらの文学エリアにもご案内しましょう。
瓶詰地獄(夢野久作)

同じく、青い海に囲まれた美しい孤島。
ここでは船が難破。孤島での遭難生活をエンジョイすることができます。
もちろん、船には都合よく
冷えたビールや文房具といった、過剰なほどのアメニティが用意されていますよ。
なーんてホテル…じゃなかった、孤島側は言っていますが、
本当はビールじゃなくてぬるい水ですからね。みなさん、だまされないように。
でも、この島では食べるものには困りません。
鳥や魚はたくさんおりますし、フルーツもたわわに実っています。
危険な獣や昆虫はいませんので、
お気の向くまま、何年でもご滞在していただくことが可能です。
それにしても、なぜ「瓶詰地獄」?
アメニティにジャムとかコンポートの瓶詰があるって想像しちゃいました?
瓶詰されるのは生き物かもしれませんよね?
あ、あなたかも?
そもそも、あなたは本当に船で遭難したんでしょうか?
海地獄の青の誘惑には打ち勝っても、
謎と深読みが無限に続く、瑠璃色の絶望には勝てるでしょうか?
孤島での終わらない日々、そして謎解きをこよなく愛するあなたにおすすめする地獄です。
ただし、本ツアーにはここから現実に戻るという選択肢は用意されておりませんので、ご注意ください。
第二の地獄:赤の幻想と紅の惨劇
血の池地獄(別府温泉)
次にご案内するのは血の池地獄です。
こちらは非常にわかりやすい地獄となっております。
赤いです。
思っていた以上に赤いです。
私は、観光地なのに「血の池」を名乗る潔さに、感動すらしますね。
もちろん、本物の「血」ではありません。血と同じく鉄分がたっぷり入った、ただの「赤い熱湯」です。
ちなみに、温泉の温度が高いところを「地獄」と呼んでおります。
あ、こらこら、熱いんですってば!
さて、同じ赤でも少女の嘘、情念、殺意が渦巻く、惨劇のホスピタリティエリアに移動しましょう。
少女地獄(夢野久作)

到着しました。
ようこそ。一面の紅い絨毯が美しい、至福のホスピタリティ空間へ。
ここでは、清純で、美しく、献身的な少女たちがあなたをお出迎えいたします。
見てください。
あちらの看護婦さんなんて、とても親切そうでしょう?
あなたを元気にするために、お医者さんにも相談せず勝手に、心を込めてお薬を調合してくれますよ。
こちらのエリアの少女たちは、それはそれは素晴らしい「おもてなし」をしてくれます。
あなたの耳元で、世界一優しくて、美しくて、甘い「嘘」を、息を吐くように紡ぎ出してくれるのです。
あなたを幸せだと誤解させる、完璧にデザインされた美しい嘘。
お気の向くまま、その心地よさに溺れましょう!
しかし、この「究極の癒やし」こそが、取り返しのつかない紅い惨劇への入口なのです。
それにしても、なぜ「少女地獄」?
少女たちが地獄にいるのか?
はたまた少女たち自身が地獄なのか?
地獄を味わうのは、嘘をつかれている人たちでしょうか?
それとも、嘘をつき続ける少女たち自身でしょうか?
あれ? 嘘をつくのは少女たちだけだったっけ?
あ、もしかして、それを覗き見しているあなたも?
血の池地獄の熱さには耐えられるでしょう。あ、無理ですね。アハハ。
でも、少女たちの「命を賭けた嘘」の地獄には耐えられるでしょうか?
嘘でもいいから癒されたいあなた、誰かの秘密を暴くのが大好きなあなたに、自信を持っておすすめする地獄です。
ただし、あなたの人生が狂ってしまっても、当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
第三の地獄:灰の泡沫と緑の深淵
坊主地獄(別府温泉)
本日最後にご案内するのは、坊主地獄です。
ご覧ください。
灰色の泥がポコッ、ポコッと、まるで坊主頭のように丸く湧き上がっています。
これまでの青や赤のような派手さはありませんが、なんとも言えない愛嬌があって、ずーっと笑っていられますよね。
熱湯ではなく「泥」が湧いている地獄。
ここにあるのは、ただ不気味な泥の蠢きだけ。
ぶっちゃけ、ここが一番怖くないですか?
私は一番怖いです。キャハッ。
一度落ちたら最後、灰色の泥の粘り気に捕らわれて、ゆっくりゆっくり底へと引きずり込まれてゆくのです。ヒヒ。
さて、そんな「色のない恐怖」にすっかり足元をすくわれ、思考が泥のように停止してしまったあなたを、最後の、そして最も美しい文学エリアへ誘いましょう。
キチガイ地獄(夢野久作)

お待たせいたしました。本日のメインディッシュ。
目に刺さるような新緑の美しさと、ダイナミックな渓谷美を満喫できるエリアです。
ご覧ください、この清々しいまでの緑。緑。緑。
頭上を覆う青空と、生命力に満ちあふれた瑞々しい若葉、そして勢いよく流れる清流。
どこを切り取っても、完璧に美しい最高のアウトドア空間です。
いやあ、空気が美味しいですね~
とりわけ、『ゴールデンカムイ』がお好きな方には楽しんでいただけること間違いなし!
この行程、石狩川、樺戸監獄、旭川。網羅しておりますのでお楽しみに!
さあ、せっかくですから、もっと崖のギリギリから川の底を覗いてみましょうよ。
あ、手すりはありませんので、お気をつけて!
ここには、過剰なアメニティも、甘い嘘をつく少女もいません。
あるのは、ただ圧倒的な「自然の美しさ」だけ。
ね、綺麗でしょう?
綺麗すぎて、なんだか頭の芯がジーンとしびれてきませんか?
その心地よい狂気に身をまかせて、いざ、深淵へとダーーーイブ!!!
あ、背中押しましょうか?
それにしても、この美しい場所が、なぜ「キチガイ地獄」?
本当に狂っているのは、この景色でしょうか?
それとも、この美しさに魅入られて崖から飛びこんじゃう人間でしょうか?
あ、いま、一瞬でも「不死身の杉元ならワンチャン着地できるのでは?」なんて考えた、あなたかも?
坊主地獄には意外と憩ってしまう方もいるでしょう。
でも、新緑が放つ「むき出しの狂気」を前にあなたはどうなってしまうのでしょう。うふ。
「自分だけは正気だ」と信じて疑わない、知性あふれるあなたにこそおすすめする、狂気の地獄です。
それでは、素敵な旅を。
……あ、最後のお願いですが、現実世界へ戻る方法は、ご自身で探してくださいね?
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さて地獄めぐり、あなたは別府でしますか? それとも文学で?

別府の写真は私自身のInstagramです