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お通夜とお葬式で、一人の舞台を見た話


こんにちは、橙です。

以前私は、
文章を書くことや理解することが
苦手だという話を書きました。

今回は少し違う話です。

自分の実家のお通夜やお葬式に
出たときのお話を書こうと思います。

私の実家の宗派は仏教なのですが、
少し珍しい宗派になります。

そのため、
私は父方の宗派のお葬式というものに、
ほとんど出たことがありませんでした。

幼い頃に祖母のお葬式へ出たことは
あったと思うのですが、
当時は小さかったため
記憶がほとんど残っていません。

一方で、
母方の宗派や夫の家の宗派の
お通夜やお葬式には出たことがありました。

だからこそ今回、
大人になって初めて父方の宗派の
お通夜やお葬式に出たとき、
とても驚きました。

まず、その宗派のお坊さんが近くには
あまりおられず、
少し遠方から来ていただく形でした。

そして最初にお経を聞いた時点で、
「あれ?」と思いました。

私が今まで聞いたことのあるお経とは、
雰囲気が違ったのです。

お通夜が始まると、
お坊さんはお経を唱えるだけではなく、
今どのような段階なのか、
なぜこの儀式を行うのか
といった説明もしてくださいました。

その様子を見ながら、
私はあることを思いました。

これは、一つの舞台みたいだ。

もちろんお通夜ですし、
故人を偲ぶ大切な時間です。

それでも私には、
目の前で一つの作品が進んでいるように見えました。

お坊さんはお経を唱えながら、
仏具を使い、
説明を行い、
場を進行していきます。

私から見ると、
一人で何役もこなしているようでした。

そしてお葬式になると、
その印象はさらに強くなりました。

私にはミュージカルに近いようにも見えました。

お経を唱え、
仏具を鳴らし、
場面ごとに意味を説明する。

戒名についても、
一文字一文字の意味を話してくださいました。

その中には、
まるで舞台の役者さんが振り向いて
セリフを言うような場面や、
決めポーズのように見える場面もありました。

もちろん本来は宗教的な意味のある所作です。

ですが初めてその宗派のお葬式を見た私には、
とても印象的に映りました。

みんなでお経を唱える場面もありましたが、
私はついお坊さんの動きや声に
見入ってしまいました。

気付けば、
お通夜とお葬式を通して、
一人のお坊さんによる二夜連続の舞台を
見ているような気持ちになっていました。

しかもそのお坊さんのお経は本当に上手でした。

後で聞いたところ、
とても評判の良い方だったそうです。

喪主の挨拶を聞いている時には、
少し涙ぐんでいるようにも見えました。

故人やご家族に対して真剣に向き合って
おられることが伝わってきました。

また、お経を唱えた後には
汗を拭いておられる場面もありました。

それを見ているうちに、
私は別のことを考えていました。

このお坊さんは、
この後も法事があると言っていた。

いったい一日に何回、
この舞台をしているんだろう。

もちろん舞台ではありません。

ですが私には、
本当に一人芝居をしながら、
楽器を演奏し、歌い、
進行もしているように見えたのです。

さらにその一つ一つが、
故人やご家族ごとに違うはずです。

そのことを考えると、
お坊さんという仕事は
とても大変な仕事だなと思いました。

後で姉妹ともその話をしました。

すると姉妹も、
初めて父方の宗派のお葬式に出た時は
驚いたそうです。

「あのときはちょっとびっくりしたんだよ」

「かっこいいよね、あのお経」

そう言っていました。

私だけではなかったようです。

私も本当にそう思いました。

ちゃんと故人を偲び、
お見送りをしていたはずなのですが、
それと同じくらい、
お坊さんの姿が印象に残りました。

そしてもう一つ、
印象に残ったことがあります。

それは戒名です。

戒名について説明される時、
お坊さんは一文字ずつ意味を話してくださいました。

私は読み方は分からなくても、
漢字の意味は分かりました。

その説明を聞いていると、
とても故人らしい名前だと思いました。

戒名というものは、
亡くなった後につけられる新しい名前です。

でもその名前には、
その人がどんな人生を歩いてきたのか、
その人を知る人たちがどんな人だったと

思っているのかが込められているように
感じました。

私は普段、文字が苦手です。

それでも今回、
名前というものについて少し考えさせられました。

たった数文字の組み合わせなのに、
その人を知る人が見れば
「ああ、この人だ」と思える。

不思議な仕組みだなと思います。

故人を見送るために出席した
お通夜とお葬式でしたが、
お坊さんという仕事のことや、
名前や文字についても考える時間になりました。

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

また日々気づいたことがあれば
書いていきたいと思います。

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