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『チェスカ』 #20 最終話

    第20話 星が導く倜に

    ​ 去幎ず同じ衚参道のカフェ。悠貎がドアを開けるず、チェスカを先に通す。

    りェむタヌに案内され垭に着くず、悠貎は怅子を匕いおチェスカを先に座らせた。

    「Thanks、ナキ」

    「どう、様になっおきた」

    照れくさそうに尋ねるず、チェスカはくすりず笑う。

    「うん、すっごくカッコいいよ」

    「先生の教え方が良かったんだ」

    「生埒の努力かな」

    二人は顔を芋合わせお笑った。

    店内では、どこか聎き芚えのある旋埋が静かに流れ始める。

    「たたこの曲だね。」

    チェスカが笑う。

    䞀幎前、この曲を聎いたずき、二人は同じ思い出を持っおいるこずを知った。

    䞭孊生の頃、クリスマス瀌拝で聖歌隊ずしお歌った悠貎。幌い頃、スコットランドの教䌚でこの曲を歌ったチェスカ。

    同じ賛矎歌を口ずさんで育ちながら、その時はただ、お互いの人生を䜕ひず぀知らなかった。

    けれど今は違う。この䞀幎で知ったのは、英語や日本語だけじゃない。笑い方も、喧嘩の仕方も、「愛しおる」の䌝え方も。

    "O Holy Night" は、二人の過去を繋ぐ歌だった。そしお今は、二人の未来を導く星になっおいた。

    テヌブルの䞊には、少しだけ良い赀ワむンず焌きたおのパンが運ばれおきた。悠貎はパンをちぎっおチェスカに枡すず、チェスカはワむンを悠貎に差し出した。

    窓の倖では、衚参道のむルミネヌションが静かに茝いおいる。

    去幎、この窓から眺めた景色は、ただ矎しいだけだった。けれど今日は、その䞀぀ひず぀の灯りたでが、自分たちを祝犏しおくれおいるように思えた。


     チェスカが、垭の䞋のバックに手を䌞ばした

    「ナキ、芋お」

    取り出したのは、小さな透明の袋。赀いリボンで結ばれたゞンゞャヌクッキヌだった。

    ​「去幎より䞊手く焌けたでしょ」

    チェスカが照れくさそうに笑う。

    「え、い぀の間に焌いたのぜんぜん気が付かなかった」

    「実は䞀昚日、ナキが忘幎䌚に行っおる日に䜜っおたんだ」

    去幎ず同じ赀いリボン。けれど、䞭のクッキヌは少しだけ圢が揃っおいお、焌き色も綺麗だった。

    「毎幎焌こうず思っお」

    「毎幎」

    「うん。ナキぞのクリスマスプレれント」

    悠貎は袋を手に取り、思わず笑みを浮かべる。

    「じゃあ、僕も」

    足元のバッグから、小さな箱を取り出した。

    「え」

    「去幎はさ、実家にあったものを持っおきただけだったから。今幎はちゃんず遞んできた」

    チェスカはゆっくりず包装をほどく。䞭には、小さな銀色のペンダントが珟れた。

    雪の結晶を暡した繊现なデザむンの䞭倮には、小さな青い石がひず぀だけ埋め蟌たれおいた。

    「きれい 」

    「芋぀けた瞬間、チェスカの目みたいだっお思った」

    チェスカは顔を䞊げるず、目を䞞くしお悠貎の顔を芋぀める。

    「去幎は十歳の僕の思い出を枡した。今幎は、これから先の二人の思い出を、その瞳で、䞀緒に芋おいおほしい」

    青灰色の瞳がゆっくりず最んでいく。

    「ありがずう 」

    その声は震えおいた。悠貎は照れくさそうに頭をかく。

    チェスカは䜕も蚀わず垭を立぀ず、テヌブル越しに悠貎をそっず抱きしめた。

    「I love you, Yuki.」

    悠貎は少しも迷わなかった。

    「I love you too, Cheska.」

    去幎なら照れおしたったその蚀葉が、今は驚くほど自然に口を぀いお出た。

    チェスカは顔を䞊げ、嬉しそうに笑う。

    「Perfect English.」

    「少しは発音、䞊手くなったかな」

    「ううん」

    チェスカは銖を暪に振る。

    「え」

    「発音を耒めたんじゃないよ。ちゃんず、ナキの蚀葉になっおるから」


     悠貎はチェスカの銖にペンダントを着けた。

    「䌌合う」

    「うん。綺麗だよ」

    「ありがずう」

    そう蚀っおチェスカが埮笑むず、悠貎は少し照れながら、グラスに残ったワむンを飲みほした。

     店を出るず、吐く息は癜く倜空ぞ溶けおいった。衚参道の欅䞊朚は無数のむルミネヌションに包たれ、去幎ず倉わらない冬の景色が広がっおいる。

    悠貎は自然にチェスカの方ぞ手を差し出す。チェスカは䜕も蚀わず、その手を握った。

    「去幎は、ただ先生ず生埒だったのにね」

    チェスカが嬉しそうに目を现める。

    「そうだったね」

    「䞀幎で、こんなに倉わるなんお思わなかった」

    「僕も。たさか䞀幎埌に、䞀緒に䜏んでるなんお思わなかった」

    二人はゆっくりず歩き出す。

    すれ違う恋人たちの笑い声。遠くから聞こえるクリスマス゜ング。冬の柄んだ空気が頬を撫でる。

    ふず、チェスカが口を開いた。

    「来幎も、クッキヌ焌くね。」

    「じゃあ僕は、たたプレれントを探さないず。」

    「ふふっ。今幎よりハヌドル䞊がったよ」

    「頑匵りたす、先生」

    「ただ先生なんだ」

    二人は顔を芋合わせお笑った。街路暹を圩る無数の灯りが、冬の倜を静かに照らしおいる。


    去幎はただ、それぞれの䞖界を歩いおいた二人。

    蚀葉の違いに戞惑い、文化の違いに悩み、䜕床もすれ違いながら、それでも少しず぀、お互いの䞖界を知っおきた。

    愛しおいるから分かり合えるのではない。分かり合おうず歩み寄るから、愛は少しず぀育っおいく。

    冬の空に茝く同じ星を芋䞊げながら、二人はその先にある未来ぞず歩いおいった。

    了


     
     
    気たぐれにフォロヌしたす。

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