迷いを見せられる相手がいるということ
友人と親友の境界線
温泉に浸かりながら、ふとそんな話になった。
相手は小学生からの付き合いで、もう20年以上になる。数えてみたらそんなに経ってたんだなって、お湯の中でぼんやり思った。
週に1回、こうして温泉に来るのが習慣になってる。別に約束してるわけじゃないんだけど、気づけば毎週会ってる。サッカーやフットサルの後に汗を流すこともあれば、特に何もない日でも「温泉行くか」ってなる。
「最近知り合った友人と、昔から知ってる友人って、同じ"友人"でも何か違うよな」
そう切り出したのは、どっちだったか覚えてない。でも、その一言から、意外と深い話になっていった。
「昔からの友人がいる人」は信用できる説
話の流れで出てきたのが、「昔から付き合いがある友人がいる人って、なんか信用できる気がする」という意見だった。
最初は「え、そうかな?」って思ったんだけど、よくよく考えると妙に納得してしまった。
別に、新しい友人を軽視してるわけじゃない。ただ、長い付き合いの友人がいるってことは、それだけ関係を続けられる人ってことなんだろうなと。裏を返せば、ちゃんと人と向き合える人、みたいな。
変な話、浅い付き合いしかできない人って、どこかで人間関係を"消費"してる感じがする。使い捨てというか。それが悪いとは言わないけど、長く一緒にいられる友人がいるってことは、相手の変化も受け入れてきたってことだし、自分も変わりながら関係を更新してきたってことだ。
そういう経験がある人は、きっと他の人との関係でも誠実なんじゃないかって思う。
「親友」ってどこから?
じゃあ、友人と親友の違いって何なんだろう。
正直なところ、明確な線引きなんてできない。
何年付き合ったら親友、とかじゃないと思う。1年でも親友になることはあるし、10年いても「まあ友達だよね」って距離感の人もいる。
個人的には、「迷いを見せられるかどうか」が大きい気がしてる。
友人には、多少カッコつけた自分を見せることもある。でも親友には、「実はこういうことで悩んでて」とか「これ、どう思う?」とか、未完成な自分をそのまま投げられる。
温泉で話してたあいつとは、まさにそんな感じだった。仕事の愚痴も、将来の不安も、くだらない話も、全部フラットに話せる。
週1回、温泉に行く関係
考えてみれば、週1回温泉に行くって、地味にすごいことかもしれない。
特別なイベントがあるわけじゃない。ただお湯に浸かって、たわいもない話をして、上がったら缶コーヒー買って帰る。それだけ。
でも、その「それだけ」が続いてる。
忙しい週も、疲れてる週も、なんとなく「温泉行くか」ってなる。無理に予定を合わせてるわけじゃなくて、自然とそうなってる感じ。
これって、お互いにとって心地いい距離感があるからなんだと思う。
重すぎず、軽すぎず。会わないと寂しいわけじゃないけど、会えば安心する。そういう関係。
昔の友人と今の友人、どっちが大事?
これも答えはない。
昔の友人がいるってことは、自分の歴史を知ってる人がいるってこと。変わった自分も、変わらない自分も、全部知ってる。それってすごく貴重だ。
一方で、今の友人は「今の自分」を見てくれてる。過去のイメージに引っ張られない、フラットな関係が築ける。
どっちが大事とかじゃなくて、どっちも必要なんだと思う。
昔の友人がいるから、今の自分を見失わずにいられる。今の友人がいるから、新しい自分に出会える。
友人がいるってこと
ぶっちゃけ、友人の数なんて関係ない。
SNSのフォロワーが何人いようと、本当に自分をさらけ出せる相手が1人もいなければ、それは孤独だと思う。
逆に、たった1人でも「こいつには何でも話せる」って相手がいれば、それだけで人生は豊かになる。
昔からの友人がいるってことは、人との関係を大切にしてきた証だし、そういう人は信用できるって話も、結局はそういうことなんだと思う。
相手を大事にできる人は、自分も大事にできる。そして、自分を大事にできる人は、他人にも優しくなれる。
車の中で
温泉から上がって、車に乗り込んだ。
エアコンの音だけが響く車内で、「また来週な」って言った。
「おう」って返ってきた。
それだけで十分だった。特別な言葉なんていらない。ただ、来週もまたこうして温泉に行くんだろうなって、なんとなく思えた。
フロントガラス越しに見える夜の鹿児島の街並みは、いつもと変わらない。でも、その「いつもと変わらない」が、実はすごく贅沢なことなのかもしれない。
迷いながらでいい
友人と親友の境界線なんて、結局のところ曖昧だ。
でも、それでいいんだと思う。
人との関係に正解なんてないし、自分の中で「この人は特別だな」って感じられたら、それが親友なんだろう。
昔からの友人も、今の友人も、それぞれの形で自分を支えてくれてる。
そして、自分もまた、誰かにとってそういう存在でありたいと思う。
完璧な友人関係なんてない。迷いながら、ぶつかりながら、それでも続いていく関係に価値がある。
週1回の温泉も、特別なことじゃない。でも、この何気ない繰り返しの中に、自分にとって大切なものがあるんだと思う。
そんなことを、夜の道を走りながらぼんやり考えてた。
