だれか、うちの夫を止めてくれ
あー。
家が片付かない。
今週中にはお隣さんとBBQ大会がしたいと思っているわたしは、早急に家を片付ける必要がある。
掃除は、溜めるから大変になる。
散らかる家は、とにかく物が多い。
そして、物の住所が決まってない。
わかってるんだけど、全部兼ね備えてるのが我が家だ。
手始めに、いま、この目の前に広がる景色を説明しよう。
まず、夫がこれから支払ってくれる年金の払込用紙。いるのかいらんのかわからん、夫の銀行関係のハガキ。
さらにその下に埋もれているのは検診のお知らせと、夫の老眼鏡。
子どもに「いる」って言われたから捨てずにとってあるほっともっとのドラえもんのシールに、夫婦兼用のヘアバームやオイル。
子どもが「いる」って言うから買ったのに誰も食べないチュッパチャプス3本。それから超熟6枚切り、残り1枚。
ここは、かつてダイニングテーブルだったはずだ。
いまや家族の誰もここで食事ができない。
目につく場所が散らかっているのは、やっぱり主婦であるわたしの怠慢なんだろうか。
はぁー、まいったなぁ。
特に困るのが、いるのかいらんのかイマイチわからないものだ。
だから、いるのかいらんのかわからんものを一旦収納しておくためのファイル立てを買ったはずなのに、そこにはいつのまにか使いかけのふりかけやらかつお節やら夫の薬がチャンスとばかりに突っ込まれていて、わけがわからないカオス状態になっている。
実は子どもの頃からずっと、片付け能力が壊滅的だったわたし。
綺麗好きだった母は、片付けられなさすぎる思春期の娘にさぞかし悩んでいたんだろう。SNSもない時代、なにか本でも読んだのか、「こんなに片付けられないなんて、ayamoは心の中になにか苦しいものを吐き出せずに抱えているっていう証拠なんじゃないか」と急に泣き出したことがあった。
めっちゃ気まずかった。
だってズボラなだけだから。
わたしが知る限り、夫も昔から散らかし野郎だ。
物もやたらと多い。
初めて部屋に遊びに行ったときはその散らかりっぷりに安心したものだ。
仲間だぁー!と。
当時のわたしはそれを「価値観合うかも♡」くらいに思っていた。
10年後、泥沼になっているとも知らずに……
そんな夫が出しっぱなしにしたものを良かれと思って片付けたりすると、今度は「あれどこいった?」が頻発する。
さらにわたしもどこにやったか忘れちゃうもんだから、夫がまた新しいのを買う。
その繰り返しで、メジャーとかドライバーとかネジとかがそこらじゅうから出てくる。
そのくせ使いたいときにはどこからも出てこない。なんで。どうして。魔界でもあるんか?
そこで、思い切ってわたしが勝手に片付けるのを一旦やめてみた。
するとどうだろう。
工具箱やらインパクトやら丸ノコやらを、よりによって玄関に乱雑に置きっぱなしにするではないか。
さらに最近は夫が家庭菜園にもハマっているので、土だらけの園芸用品も一緒になって無双している。
玄関は家の顔だっていうのに。
こんな玄関から出てくる奥さんを、ヤマト運輸のおじさんはどう思うだろうか。
いくら綺麗にお化粧してたってねぇ、玄関見たらわかるんですよ奥さん!
100パーセントこうじゃないでしょうか。
違うんですヤマトさん。
わたしじゃありません。夫が。夫が散らかしているんです!
そんなリスクを背負いながらも勝手に片付けるのをやめてみた結果、こうして我が家の散らかり具合はさらに加速していった。
あれ。ちょっと待って?
書いていて気がついた。
もしかして、
「夫の物を」「わたしが」なんとかしようとしてるからうまくいかないだけではないのか。
それなのに、わたしがズボラなせいで家が片付かないんだと今の今まで本気で思っていた。
なんてこった!!
そうと決まれば、物を減らしてもらおう。
そう願う妻のわたしとは裏腹に、夫は買い物もやたらとカジュアルである。
「あったら使うかなぁと思って」と言って、鎌を買うくらいのテンションで草刈機を買ってきたりする。
いま我が家には、すでにフル活用している草刈機があるのに、だ。
「友達が安く譲ってくれるって言うから」でいきなり買ってきた、手押し式の草刈機もある。重すぎて誰も使ってない。
そして今回新しく買ってきた充電式の草刈機。
使ってみたらプラスチックの刃ではやっぱりたいして切れんなぁとなり、ナイロンコードを新たに買い足してきては、結局やっぱりチップソーがいちばん切れるな。などと言っている。
そのときの夫をわたしがどんな顔で見ているか、きっと皆さんにも想像がつくことでしょう。
そんな夫が最近また買ってきたものがある。
驚愕や戦慄を通り越して、もう、笑えてきた。
コンクリートを練る用の、バカでかい機械。
だれか、うちの夫を止めてくれ。
