視界に入る所に
歌集を置いておく
ふと目が留まったときに
パラパラめくり
無作為に選んだ一首を
たっぷり時間をかけて音読する
細胞にじわじわ染み渡るのを、ぢっと待つ
そのうち、脳が、言葉にたたみ込まれた情景を結び始める
そして私は、
俵万智という世界の住人になる。
数日分のおやつ代をつぎ込んだ
サクマ【ドロップス】のひと粒目
からっからの喉に
キンキン冷えたビールを流し込んだあとの
「っくぅーーっ」
沁みる沁みる
パサパサに乾いた感受性に
ミネラルたっぷりの
極上天然水を一滴垂らすよう。
春休みの子供を連れだち
和歌発祥の地を訪ねた
あな清々し
三十一文字の芸術を
この世界に生み出してくれたことに
感謝した。