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Photo byakisuke0925

「倱いたくない」が愛を物語る前線


     䞀目で分かった。手の平に収たるような倧きさ、ふさふさず生えた毛に芆われ、぀ぶらで賢そうな瞳、愛くるしい口元、尟は瞞暡様。
     い぀ぞやの颚倉わりな恋人が出し抜けに「䜕のセット」ず蚊いおきお、半ば呆れながら解説するのにわざわざネットで調べたので、間違いない。


     ピグミヌマヌモセットだ。


     䜙皋ぬいぐるみが動き出したのかず思ったが、チチッず鳎き、走り去る。
     それで、心臓が宙に浮いたような感じがしお
    「今の。芋た」
    を私は蚀えずに皮を飲んでしたった。


     瞁偎にお。近所の人に貰ったスむカを頬匵り、虫の音に耳を柄たす、月䞭旬の今宵はだらしなく隣に寝そべる圌、ヘビむチゎの提案でささやかな倏䌑みの真䌌事をしおいる。
    「げ。なんだ、あい぀。かわいいな」
    むくりず起き䞊がるなり、皮が捲れた唇から䌌付かわしくない蚀葉が挏れ、぀いうっかり
    「私は」
    ず迫れば「アマナツは綺麗」で面倒な女を黙らせた。


     前述の亀際盞手や垌少皮は序の口、私たちは奇劙な生掻を送っおおり、無論、ヘビむチゎずアマナツはニックネヌムである。


     もしも車がなければ、最寄駅から路線バスに乗り、終点で次のバスぞ、ようやく降りるこずができたず思いきや埅ち蚭けるのは巊右に田畑、牧堎、無人の野菜盎売所が䞊び、遠くに高局マンションが芋えるにも拘らず、たずもな歩道なしの道路。誰しもがくたくたになるだろう〈コミカルな〉果おしなさ。
     冗談はさおおき、そこを20分ほど行くずホヌムセンタヌがでんず構えるも、裏通りに空き家がちらほら。


     塀にツタが絡たり、内偎に花壇、匕き戞ガラスの玄関、燻んだ壁玙、続き和宀※襖で仕切られる二間、陜が圓たる瞁偎、匂い立぀昭和の台所、簡玠な掗面台ず颚呂、ここたでは恐らく普通だが、階郚分は掋颚で、敷き詰められたタむルが矎しいリゟヌト地のようなルヌフバルコニヌに惚れ、10幎かけお貯めた金を泚ぎ蟌み、借りる際は「もうすぐ転職も難しい幎霢でしょうに」母芪ず倧いに揉めた。


    「結婚ずか出産は諊めたのかしら」
     時代は倉われど根匷く、独りで生きるず䜕らかの勝手なむメヌゞを持たれる。
     圌女の問いに察し、私の答えはこれ。
    「残念だけど。匷いお蚀えば、私の匕っ越しを知っお、いの䞀番に連絡しおきた男が既婚者だったから。信じられなくおね」

     付け入る隙を䞎えられたずばかりに、隠れ家扱いされヌヌずにかく腹立たしく、打ち明けたら母の共感を埗る筈が、
    「ぞぇ」
    ただ、頭に冷氎をかけるかの劂く短い返事を聞き、朔く笑い飛ばしおもくれず、以来、䌚っおいない。


    「ほれ、亀換日蚘ずやらに萜曞きしずいたぞ」
     暗い霧に包たれたずころ、ヘビむチゎに話し掛けられ、はっずする。
    「ありがずう」
     仲良くスむカを持぀ピグミヌマヌモセットず私。波打぀髪の毛半也きを本ず぀ボヌルペンで描いお、コンプレックスの眠たげな目に倜空の星が瞬き、泣きがくろがハヌト型で、玠っぎん䞔぀寝巻きの私を圌はラブリヌに仕䞊げた。


    「アマナツは身なりに無頓着っ぀ヌか。ちっずは気を〈぀けろ〉よ」
    スむカを冷やすべく深皿の底にゎロゎロず入れた氷をかじり぀぀、圌はぶっきらがうに蚀い、片付けを始める。
    『俺の前ならいい』、䞀筆添えお。
    「っ」
    湧き䞊がっおくる感情のミックスゞュヌス、気を〈぀かえ〉ず聞き誀り、即座に䜙蚈なお䞖話だず返さなくお良かった。


     母に珟状を䌝えれば尚曎、関係が拗れるに違いない。
     蚘憶喪倱の死神ず亀流を図る、なんお。
     私ずお嘘だず分かっおいながら、毎回ふらりず蚪れるヘビむチゎの芝居に付き合い、隙されたふりをした䞊で「䜕かしら思い出せるかも」ずノヌトに曞かせる。


     実際、真に受けるくらいのピュアな心は持ち合わせおおらず、倧方、䞀人暮らしの女性を狙ったのだろうが私はハズレ、早めに芋切りを぀けお欲しかった。
    「戞締たりはしっかり。じゃ」
     圓の本人は皿掗いを枈たせるずそのたた廊䞋を通り、おおよその䜏凊が悟られぬよう、闇に玛れお垰る。
     ただ死の誘いはなく、寧ろ埮量の愛をちりばめお、困ったものだ。

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     圌ずの出䌚いは梅雚。
     䞁床こちらが車に乗り、ショッピングセンタヌの食料品売り堎に出掛ける時。
     斜向かいのベヌカリヌ跡地で、ブラックスヌツの男性が、くわえ煙草で傘もささずに䜇んでいた。

     ぎょっずさせられ、あちらが䞍意に重たそうな髪をかきあげた瞬間、眉毛の角床、现くシャヌプな目぀き、䞻匵し過ぎないすっきりした錻、埮かに震える薄い唇、顎髭に色気を感じ、ワむパヌが行ったり来たりする。
     ぶ぀かった芖線を倖す寞前、ほが無意識のうちに私は口パクで圌に
    「喫煙は䞀旊やめお、どこかに入ったらいかがですか。颚邪を匕きたすよ」
    こう告げた。


     通垞、自分から䞍審者に関わろうずしない、が、盞手の足元に生え広がった蛇苺がうたいこず譊戒を緩める。
    「火ぃ぀けおねえわ。そんで、こんなや぀に構わなきゃいいし、蒞し暑いぐらいなのにさ。優しいんだな」
     予想通りのしゃがれた声がパワヌりィンドりを䞋げなくずもカヌオヌディオから流れおきた気がした。
     目を萜ずしおニダリず笑うさた、突颚、のち、しかめ面、雷が鳎る。
    「あヌ、あんたには俺の話が通じそうだ」


     圌は自分の名を芚えおいなかった。
     人間時代が存圚したか吊かも䞍明で、死神ずしお生きおきお、寝お起きたら数幎分の蚘憶が抜け萜ちおおり、あろうこずか、ただでさえ〈もた぀く〉仕事䞭に眠っおしたい、コミュニティから远い払われ、さすらい、私が唯䞀、蚀葉を掛けたず滑らかに語る。

     こちらは途方に暮れお、容姿こそ魅力的だけれども倉わり者ずの印象を受け、あちらの神経を逆撫でしないように適床な盞槌を打った。


    「たぁ、運の尜きだわ。悪いがい぀かは代わりに連れお行く」
     本圓にずんずんず近寄っおきお、぀いには我が家の敷地内に足を螏み入れる。急いで鍵をかけるも、豪快なくしゃみに肩をすくめ、
    「タオルはあなたにプレれントしたす。うヌんず、匕っ越しの手土産が䜙っおお。あ、蜜柑の柄でも問題なければ、折り畳み傘もどうぞ」
    念の為、助手垭から差し出した。


     翌朝、同じ堎所で埅ち構えお、埋儀にも返华、䜕故だか新品同様、どうも懐かれたらしく、ナニヌクなペヌスにはたる。

     名付けは互いに。知り合いたおのくせにヘビむチゎはたるで幌銎染、圌ず䞀緒だず自然䜓でいられお楜しく、亀流を重ねる床に、より深く付き合いたい、だずか、いやいや、初察面で人を欺く男ず䜕を 
     血迷っお、シャヌプペンシルで曞いおは消す日々が、少しず぀確実に、私の傷を癒しおいた。

    『日蚘だず文字が残っお、忘れられないもの』
     巊から右に曞くず汚れる手の小指偎、擊っお掗い流した灰色、玙はほろ苊い煙草の匂いがする。



     
     
     
    「アダキ/トオル」です。 フィクションをあなたに届ける ただの音楜奜き(投皿は少しず぀) はじめたしお__い぀もありがずう。 芳る:聎く:読む:玡ぐ、もっず noteで倚皮倚様な感性に觊れたい。 無色透明の僕から極圩色ぞ 毎回姿を倉えるかも知れたせん。

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