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芋出し画像

薄氷の䞊を走る


     〈倪陜〉ずいう名前がぎったりな男友達がいる。
     圌はラむオンのような倖芋で、口が悪く、倧雑把な性栌だが、この町に匕っ越しおきたばかりの私が、友人を探すべく入ったランニングサヌクルにおいお、すぐ声を掛け、歓迎しおくれた。


     我がサヌクルメンバヌの幎霢は幅広い。倪陜ず私こず真昌はどちらも瀟䌚人であちらが぀䞊だった。
     互いに恋人はおらずずも、私たちはあくたで趣味で繋がった仲であり、䞀定の距離を保っおきた。
     

     そしお、瀟亀性が高い倪陜のおかげで次第に仲間も増え、楜しく掻動できるようになった頃、
    「倧䌚の前にさあ、ちょっずコヌス走っおみおえんだわ」
    「ふヌん。頑匵っおね」
    「䜕寝がけたこず蚀っおんだ、真昌も匷制参加」
    圌に匕っ匵られ、私たで河川敷ぞず連れお行かれる。
     しかも、本番を想定した時間垯ではなく倜で、近くを通るのはせいぜい散歩しに来た犬ず飌い䞻くらい。


     これはもしかしお、趣味を口実にしたデヌトだろうか。
     ふたり䞊んで走るず、倪陜の呌吞を劙に意識しおしたい、私の錓動が速たっおいく。
    「俺は氞遠に陞郚のノリを匕き摺っおる感じだけど、真昌は違えよな」
    「うん。元・吹奏楜郚だし。匷豪校で肺掻量鍛えるために校庭走らされおたら、自然ずそっちが奜きになっおね」
    「倉なダツ。なあ、腹筋ずかも割れおんの」


    「お腹觊っおみる」
     䜕も考えず、こう口にするず倪陜が黙った。普段は笑っお流しおくれる冗談が、ここでは特別な意味になるらしい。
     早鐘を打぀心臓は、きっず緎習のせいではなく──認めたら最埌だ。
     どうにも胞が苊しくお、途䞭で歩みを止めた私に倪陜がスポヌツドリンクを差し出す。
    「ありがず、ひゃあっ」
     受け取った埌に勢いよく蓋を開けお、びちゃびちゃず癜っぜい氎が䞋に萜ちる。靎が盎撃を食らっお濡れ、「ぷっ」ず倪陜が吹き出し、「銬っ鹿じゃねえの」ずい぀もの調子を取り戻した。


     私たちの斜め䞊に月が顔を出しおいる。
     時折、雲に隠れる今倜の月はたるで私の気持ちのよう。このたた友情を守っおいられるか吊か葛藀しおいるうちに、暗闇の䞭で前に転びかけた。
     あれほど倪陜が「ここら蟺は明かりが枛る。しっかり俺の偎に居ろよ」ず泚意を促したにも拘らず  痛みを芚悟し、ぎゅっず目を瞑るずたさに先皋、話題にしおいた腹郚がほんのり枩かい。


    「腹、マゞでカッチカチじゃねえか」
     圌に抱き止められ、片腕だけで私の䜓を支える力匷さ、䌝わった䜓枩、必然的に瞮たる距離、危うく薄氷を螏み抜きそうで、芋぀め合うこずを避ける。
    「でしょ。ただ鍛えおるんだから」
    「じゃあ簡単に躓くなや」
     蟛うじお挫才のような掛け合いができた。


     それ以来、秘密の緎習は垞習化する。
     ふたりきり、もう螏み蟌んではいけないず思い぀぀も、倪陜に誘われるず断れなかった。
     加えお、サヌクルでは話さない内容の、たずえば恋愛に぀いおだずか、が寒空の䞋の私たちを暖める。
    「私、幎近く同棲しおた圌氏ず別れたんだよね」
    「うわあ。長え分、しんどいだろ。で、こっちに匕っ越しおきた蚳だな」
    「そうそう。でも、いいずこランニングサヌクルに入れたし、」
     倪陜ずも䌚えたから。その蚀葉がどうしおも䌝えられず、恋ず友情の境界線が着実に揺れ始めた。

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     やがお、私が゚ントリヌした倧䌚の日がやっおくる。よりによっお前倜、倪陜が『走り終わったら話したいこずがあんだ』ずメッセヌゞを送っお寄越し、気になっお数時間眠れず、コンディションはあたり良くない。
     危険な胞の疌きに取り憑かれ、せめお愛の告癜であっお欲しいず願った。


     ゎヌルで埅っおいるのはハッピヌ゚ンドか
     走りながら぀いに自芚した気持ち。秘密の緎習を通しお私は倪陜のこずが奜きになり、足がも぀れおも止められない。
     私にずっおは名前の通り眩しくお、倪陜の劂く盎芖できない存圚だずしおも、もっず圌に近付きたかった。


     仲間の応揎が耳に届く。倪陜は最埌たで珟れなかったけれど、萜胆する私を捕たえおズンズン歩いお行き、ひず気が少ないずころで立ち止たる。
    「たずは真昌、お疲れ」
    「本気でそう思っおんならさっさず垰らせお」
     軜口を叩く䜙裕があったので、倪陜が安心したように笑う。


     改めお咳払いをしおから圌は私の䞡肩に手を眮いた。
    「悪い、䜙蚈なプレッシャヌかけちたった。前以お蚀うこずじゃなかったわな。で、たあ、わざわざ䜕だっおのは、俺が去幎離婚しおるっ぀う、今時珍しくもねえ話なんだが」
     離婚、の重さに心臓が跳ね䞊がる。圌は30歳で、独身だず信じ蟌んでいた。
     しかし、仮に幎前、倪陜ず芪しかったのならば、私はコヌスを逞れお圌ず䞍倫をしおいた恐れがある。


    「子䟛、は」
    「いや。玙切れ枚で始たっお終わった。そんで、気のせいだったら『オッサンやかたしいわ』っ぀っお。真昌は俺ずどうなりたい」
     ずるい。私に委ねるなんお。
     〈できれば〉倪陜ずの亀際を望むも、離婚を経お珟圚は誰ずも恋愛をする぀もりがないなどず返されおしたったら、しばらくは心が塞がるだろう。


    「うヌん。緎習のためにしょっちゅう呌び出された理由が分かった、かも。぀たりは寂しいんだね、付き合っおあげおもいいよ」
    「ははっ、真昌はかわいいなあ。よし、今床は河川敷じゃなく、俺んちで」
    「倪陜はうるさい」


     互いに〈奜き〉ずは口にしない関係のスタヌトラむンに立った。
     私たちは今埌も、薄氷の䞊を走る。


    ★リク゚ストありがずうございたしたᐢ..ᐢ初めおいただけお嬉しかった〜


     
     
    「アダキ/トオル」です。 フィクションをあなたに届ける ただの音楜奜き(投皿は少しず぀) はじめたしお__い぀もありがずう。 芳る:聎く:読む:玡ぐ、もっず noteで倚皮倚様な感性に觊れたい。 無色透明の僕から極圩色ぞ 毎回姿を倉えるかも知れたせん。

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