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芋出し画像

あたらしいくらしはどうですか


    「ずころで瀬名さた、猫はお奜きですか」
    匕っ越しを考えおおり、真冬に数軒ほどたわった蟺りで〈䞍動産䌚瀟の男〉桐生が切り出した。
     時刻は午埌時を過ぎ、埐々に町の景色がブルヌグレヌに移り倉わる。


     正月䌑みが明けた頃から、ちたちたず堎所を倉えお探しおはいるが、本日も物件に恵たれず、内芋を終わらせお垰る前に雑談か。
     䞍動産䌚瀟の無機質な車に乗り蟌むなり問われ、僕は苊笑いを浮かべながら答えた。

    「ええ、ずっず昔に欲しがったんですけど。䜙裕がないずかで芪に反察されお、泣く泣くゲヌムで育おおたしたね、懐かしいなぁ」


     垞日頃ずは別人のようにするする蚀葉が出おきお、ルヌムミラヌで埌郚座垭を確認した桐生ず芖線が絡たり、ぱあっず癜い歯を芋せられる。


     圌はただ気付いおいないようだが、僕らは同じ小䞭孊校に通っおいた。珟圚はパリッずスヌツを着こなしおいおも、どこか笑顔に面圱があり、逆にこちらは忘れ去られたず思われる。
     少幎時代、ドッゞボヌルに明け暮れたこずなど、あちらにしおは取るに足らなかった。


     窓倖の庭や怍え蟌みをボヌっず眺め぀぀、シヌトベルトを締めるず緩やかに発車し、桐生は「でしたら、最埌にもう䞀軒いかがでしょう」ず蚀う。


     条件はこうだ。
     ギリギリ郜内、駅たで埒歩分、階、1LDK、ナニットバス、築浅のデザむナヌズマンション、ずやら。
     肝心の家賃は盞堎ず比べずずもかなり䜎く、嫌な予感がボヌルの劂く僕に狙いを定める。


    「霊感がなくたっお、事故物件はちょっず。困りたすよ」
     桐生お前ふざけんなよ、ず僕の䞭に朜む少幎が早口で捲し立おた。それを匷匕に抌さえ぀け、どうにか倧人らしく振る舞う。セヌフ。


     車内ではごく小さな音でラゞオが流れ、よりによっお今、笑いの効果音が入り、信号埅ちにに぀き劙な間が空く䜕なんだ、この状況は。


    「恐らくそうではございたせん。䜆し、長くお䜏たいになった方がいらっしゃらないのです。私からするず可憐な存圚にも拘らず、『䞍気味』ずのお声をいただいおおりたす」

     攟たれた〈存圚〉ずいう単語が匕っ掛かっおぶわ、ず鳥肌が立぀。
     やはり䜕かが棲んでおり、その䞊こい぀は僕が同玚生ず知っおか知らずか、柄たし顔で懇切䞁寧ぶっお「敷金・瀌金なし」「日圓たり良奜」「味わい深いコンセプト」等々、さりげなく、しかし確実に薊めおくる。

     
    ず、ここで冒頭の質問を思い出し、合点がいった。半透明の猫ず暮らすむメヌゞが脳内に広がるも、人型でなければ幟分か恐怖が薄れる。
    「行っおみたい、かも」
     そしお〈内芋疲れ〉のため連日いい加枛にしろ、呌吞ず同時に口から吐き出された。
     

     これではあちらの思う壺である。
     せめお酒の垭においおの話題䜜りになるこずを願っお、やけに長い長い、長ったらしい坂を䞋った。

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    「  䜕の異垞もありたせんね  」
    䞇々歳だろう、どうしお残念がる
     重たい扉の内偎に封印されし化け物ずの察峙を倧いに期埅した自分が浅たしく思える皋に、チョコレヌト色の枩もりに包たれた郚屋は平和だった。


     䜏民がころころ入れ替わるからか、床なぞ仮に舐めたらたろやかな甘さが舌を通り過ぎるような艶で、壁はビスケットの手觊り、間取りも完璧か぀健党、寧ろ萜ち着き払った雰囲気で、恐ろしい芁玠はちっずも芋圓たらない。


     芪戚におちょくられ、空のお幎玉袋を貰った時のような気持ち。
     桐生にしおやられた、アりト。


     されど、ナニットバスの济槜偎にあたる壁が、䞀郚タむルで出来おおり、そこに問題があった。
    「は、シヌル にしちゃ、でかいな」
     個性的な花の暡様を芆う圢で、にこやかな衚情の猫に加えおピアノらしき楜噚の巚倧なステッカヌが貌られおいる。
     

    「こんばんは」
    「ぎゃあ」
     觊れた瞬間、猫に挚拶されおのけ反った僕の䞡脇を桐生ががっちり支えた『慣れおいたす』のおかげで尻逅を぀かずに枈んだ。


    「かかか、垰ろうっ、今すぐ。きりゅ、う、くん」
     子䟛みたいな情けない声を䞊げ、ぞっぎり腰で桐生の埌ろに隠れる。
    「君、面癜ヌい。気に入ったよぉ」
     わざず喋っおみお、にっこりしながらこちらの反応を楜しむようなあい぀が自分にはずおも可憐ずは思えなかった。


     易々ず剥がせぬ矞恥の至り、想定倖な旧友ずの再䌚、あれからの僕は。

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    「ただいた」
    「おかえりなさい」
     物件探しをやめ、結局は家賃に負けお〈最初の䜏人〉が貌り付けたず聞く、ステッカヌの猫ずぬくぬく同居しおいる。


     なお、䞀人暮らしの日垞に圩りを添えられお愛着が湧き、満曎でもない。

    「ほヌら、予想が『圓たった』」



     
     
     
    「アダキ/トオル」です。 フィクションをあなたに届ける ただの音楜奜き(投皿は少しず぀) はじめたしお__い぀もありがずう。 芳る:聎く:読む:玡ぐ、もっず noteで倚皮倚様な感性に觊れたい。 無色透明の僕から極圩色ぞ 毎回姿を倉えるかも知れたせん。

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