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【冬の種差海岸】ベージュの世界、やさしさの原点

高校生の頃、
『盲導犬クイールの一生』という本を読んだ。

もっと小さい頃に出会った気がしていたけれど、
あらためて調べてみたら、そうではなかった。

それでも、
そのとき心に残った感触は、
今も変わらず胸の奥にある。

福祉という言葉の意味も、
社会の仕組みも、まだよくわからなかった。
ただ、素直に思った。

どこかの誰かの役に立てたら、うれしいな。
そんな気持ちが、静かに芽生えた。

⸻

冬の種差海岸。世界は、ベージュでできていた。

冬の種差海岸を歩く。

冬の空気は澄んでいて、
足元の芝生は、思いのほかやわらかい。
まるで、ベージュの絨毯の上を歩いているみたいだ。

歩いてもいい。
走ってもいい。
転がっても、きっと受け止めてくれる。

冬の種差海岸は、
ラブラドールレトリバーみたいだと思った。

まっさらで、やさしくて、
「そのままでいいんだよ」と
言葉にしなくても伝えてくる。

包み込むような、
圧倒的なベージュの世界。

⸻

ただ走っている。それだけで、いいんだ。

そのベージュの中を、
息子が駆け回っている。

無邪気に、思うままに。
立ち止まって、また走って、
風に向かって、体ごと笑っている。

ただ、それだけの光景。

でも、その姿を見ているだけで、
胸の奥が、ふっとほどけた。

これでいい。
それだけで、いいんだ。

⸻

すべては、つながっている。

昔、本の中で触れたやさしさと、
今、目の前にあるこの光景が、
どこかで静かにつながっている気がした。

大きなことを成し遂げなくてもいい。
誰かと同じ歩幅でなくてもいい。

やさしさは、
こうして、何気ない時間の中に
ちゃんと息をしている。

⸻

今年はどんな色になるのだろう。

明日から、仕事はじめ。

今年の色は、
何色に変わっていくのだろう。

最初から決めなくていい。
歩いて、立ち止まって、
また歩くうちに、
きっと、にじむように現れてくる。

だから今日も、
そして明日からも、
日々を、がんばろう。

種差海岸インフォメーションセンターの
松ぼっくり貯金箱に寄付。

【種差海岸】

青森県八戸市大字鮫町字棚久保
◆八戸駅からJR八戸線で約30分の種差海岸駅下車、徒歩約3分
◆八戸・久慈自動車道「種差海岸階上岳IC」から約10分

芝生で心も体もデトックスできる、ヒーリングスポット。
種差海岸インフォメーションセンターでひとやすみ。

自然を感じるソファに腰かけて、
ただただ静かに海を眺める。

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