メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

さよならカルティ゚

    カルティ゚に出䌚ったきっかけは、意倖なこずにも「䞇幎筆」であった。

    倧孊生の頃から䞇幎筆に憧れおいた。

    だけど、仕送りはギリギリだったし旅行も行きたかったし、䞀本䞀䞇円を超えるような䞇幎筆に手を䌞ばすこずはできなかった。

    い぀も高玚文具店に足を運び、ショヌりィンドりに食られたたくさんの䞇幎筆をうっずり眺めた埌、1番安いむンクだけを買っお垰るずいう、いかにも金のない倧孊生みたいなこずをよくやっおいた。

    瀟䌚人になっお少しお金に䜙裕ができるず、あの頃憧れた䞇幎筆を䜕本か買った。

    それでも、15,000円くらいで圓時は枅氎の舞台から飛び降りるような気持ちで買ったのだ。

    さお、そんなふうに䞇幎筆にドキドキしおた頃。
    京郜で医垫をやっおる叔父が、

    「もう䜿わぞん䞇幎筆あるからあげるわヌ」

    ず蚀っおくれたのが、カルティ゚の䞇幎筆だったのである。

    画像
    画像

    ご䞁寧にカルティ゚のむンク壺も぀いおいた。

    もちろん囜産の䞀䞇円台の䞇幎筆は玠敵だ。
    自分で買ったものだし、それだっお倧事だけど、
    圧倒的な優雅なラむンず赀い箱の迫力。

    そしおペン先に嵌め蟌たれたブルヌの石に私はすっかり喰らっちたったのである。

    このカルティ゚の䞇幎筆、䞭身の筆蚘具の郚分はかの有名な文具メヌカヌのモンブラン瀟が手掛けおいお倖偎はカルティ゚ずいう。

    ゞュ゚リヌブランドの王ず筆蚘具メヌカヌの王の倢のコラボレヌションで、たさに矎しさず機胜性を兌ね揃えた莅沢の極みのようなものであった。

    それから、カルティ゚の䞇幎筆はい぀も私のそばにあった。
    䞉幎間䌚瀟を勀め䞊げた自分のために私が遞んだ自分ぞのプレれントはカルティ゚のタンクフランセヌズずいう腕時蚈。

    ゎヌルドずステンレスのコンビの時蚈で、初めお自分で皌いだお金で買った高玚品であった。

    画像
    浮かれおこんな写真たで撮っちゃっおね。

    その時は嬉しくおこんなnoteたで曞いおしたった。

    私は19歳たで熊本で育ったし、
    倧孊は京郜だったけど、萜語研究䌚ずいうなんだか華やかな䞖界から1番遠いずころにいたものだから。

    ハむブランドずは瞁がなかったし、それを欲しいず思うこずも䞀切ないたたに生きおきた人間だった。

    しかし、瀟䌚人になりそれなりに倧きな䌁業に入っお芋たら呚りの人が持っおる「ちょっず玠敵なもの」が実はハむブランドの名品だったり、すごく高いものだったり、なんおこずがよくあっお。

    「このピアスかわいヌ」

    ず思っお買ったら埌々それがハむブランドのデザむンをたるパクりしたものだず知っおしょんがりしお恥ずかしくなったり。

    いろんな堎面に出䌚しおいろんな思いをしながら、私はなんずか郜䌚ず自分の背䞭を合わせお歩きたくお背䌞びをしたくっおいた。

    圓時は、ずにかく「田舎から郜䌚に出おきた自分」っお物語に酔いたくっお、
    「なんずかこの街に残っおやるんだ」ずいうよくんわからん野心を燃やしたくっおいた。

    ちょっず前に、田舎出身の女の子が郜䌚に出おきおいろんな人間に出䌚っお別れながらも成長しお郜䌚で成功を掎み取る姿を描いた「〇〇女子図鑑」ずいうシリヌズがあったのだが、

    東京女子図鑑に始たり、北京女子図鑑、台北女子図鑑ず。

    倧郜䌚に出おきた田舎出身の女の子が己の身䞀぀で郜䌚に揉たれながらのし䞊がっおいく物語に真面目に憧れお熱狂しおいた。

    䞭でも䞊海女子図鑑にハマり蟌み䜕週したかわからない皋にのめり蟌んでいた。

    この物語は、田舎の女子倧生が䞊海の倧䌁業で働き始めお、䞊海を舞台に仕事や恋愛を通しお傷぀き、立ち䞊がり、倱敗しお、萜ち蟌んでそれでも己の心に抱いた「私は䞊海の䞊䜍10%の人間になる。」ずいう野心に向かっお20代から30代を駆け抜けおいく物語だった。

    物語の䞭で圌女は男にひどく捚おられるし隙されるし、仕事で倱敗もするけど、それでも根性で䞊り詰めおいくこずを決しお諊めず、ドラマの話数が進むたびにメむクがめちゃくちゃ垢抜けお服装もかっこよくなるのを芋おるず、
    「あヌ、わたしもこうなりたい。いや、なっおやる」ず26歳くらいの私はマゞで本気でそう思っおいたのである。

    (䞭囜語だけどぜひ予告も芋お芋お欲しい)

    田舎嚘が魔郜、䞊海で䞊り詰めおいくのを芋おうっずりしおいた私はあの頃はただ倢芋る乙女だったのだず蚀える。

    そんで、分䞍盞応にも、
    「今、東京女子図鑑、北京女子図鑑、䞊海女子図鑑、台北女子図鑑があるから、、私は倧阪女子図鑑のヒロむンになっおやるんだ」

    などず胞を熱くしおいた。


    華やかな倧郜䌚の生掻を圩るのは、華麗な郜䌚のアむテムたち。
    theoryのスヌツにポヌルスミスのコヌト。
    バヌバリヌのマフラヌを぀けお、心斎橋やら梅田を闊歩すれば自分だっお物語の䞻人公気分になれたあの頃の私は自分の物語に熱狂しおいた若い女だった。

    そしお、次に手に取ったのがカルティ゚の時蚈だった。

    圓時80䞇円だったその時蚈を、
    「この倧阪に残っおやるんだ。絶察逃げ出すようには出お行かない」
    ず蚀う芚悟を蟌めお瀟䌚人3幎目が終わった時に買った。

    それからい぀だっお私の巊手にはカルティ゚の時蚈が巻き付けられおいた。

    27歳の時、䞀緒に人生を歩んで行こうずしおいた恋人ずお別れした時、自分を立たせるために買ったのはカルティ゚の指茪だった。

    画像

    私がカルティ゚に出䌚った四幎前は、
    ただただカルティ゚はなんずか私が頑匵れば手に取れる倀段だったのである。

    そしお、私が背筋を䌞ばせばなんずか歩幅を合わせられそうな空気感があっお、その手が届きそうで届かない。だけど諊めずに䌞ばしたら届いおしたうその蜃気楌のような感芚がたたらなく魅力的で倢䞭になっおいた。

    次は䜕を買おうかな

    そう考えながらホヌムペヌゞを芋たくるのは楜しかった。

    欲しいものがたくさんあったし、本気で党郚買いたいなあず思っおはいたのだ。

    なかでも30歳になる自分の誕生日プレれントは絶察カルティ゚の指茪がいい

    ず思い蟌んでいたし、お金だっお準備しおいたし、買いたいものも決めおあったけど、私は結局その指茪を買うこずはできなかった。

    自分が20䞇円で買った指茪が今40䞇円になっおいる。

    きっず、今この倀段の欲しかった指茪だっお5幎埌にはずんでもなく高くなるのはわかっおる。

    だけど、なんだろう。
    狂ったように倀䞊げをしたくり、倀段を釣り䞊げおいくカルティ゚の物語に私は぀いおいけなくなっおしたったのだず思う。

    倀䞊げされおしたったらもう将来的には手が届かなくお買えなくなっちゃうから、やっぱり買うしかない今買わないず損をする、ず远い立おられるように物を買うずいうこずは、なんずなく自分がなりたい自分ではないような気がした。

    私のような平凡なサラリヌマンは、もうすでにカルティ゚の物語から振り萜ずされおしたっおいたのかもしれない。
    いや、倚分そうなのだろう。

    だけど、それでも私のような平凡で毎日働いおるだけの人間がカルティ゚に手が届く時代にギリギリ生きられたのは本圓に良かった、ず20代のカルティ゚に熱狂したあの頃の自分を今は懐かしく思い出す。

    䜕も持たずに郜䌚に出おきおも、数幎働けば自分の絊料で家賃を払いながら䞖界最高氎準のゞュ゚リヌの䞖界に手を䌞ばせた日本の最埌の時代を生きたのが私だったのだろう。

    私が死ぬ思いをしお買った20䞇円のトリニティリングは今はもう40䞇円になっおしたったけど、20䞇円の指茪なら頑匵れるけど40䞇円になるず難しい若い子だっお倚いだろう。

    私だっおもしも、あの指茪が40䞇円だったら手が出なかったず思う。

    新卒で郜䌚に出おきお数幎頑匵ったご耒矎にロレックスの時蚈やらシャネルのカバンやカルティ゚のゞュ゚リヌに庶民が手を䌞ばせば届いた時代がもう終わりに向かっおいお、今がその仕䞊げの時期なのだずいうこずをなんずなく私は感じおいる。

    匟に買った名刺入れだっお䞊の匟の時は四䞇円だったのに、その2幎埌の䞋の匟の時は六䞇円になっおいた。

    きっず、私がやったような新瀟䌚人になる倧切な人にハむブランドの名刺入れを送るずいう庶民背䌞びすればできる莅沢の物語だっおもうすぐ過去のものになっおしたうのだろう。

    䜕にもない人間が、ハむブランドの品物を背䌞びしお「今は分䞍盞応だけど、これに芋合う人間になっおやるんだ」ず気合いを入れるようなそういう瞬間が庶民の手から消えおしたうのは寂しい。

    それを悲しく思ったり、時には「日本が貧しくなっずる」みたいな囜を憂うような壮倧なこずを考えたり。

    いろんなこずを思っおモダモダしたりもした。

    そしお、私は30歳の誕生日にあんなに欲しくお前から買うず決めおいたカルティ゚の指茪を買わずに通り過ぎた。

    それで、私はもういいず思ったし、
    買わずに終わっお仕舞えば気分はかなり晎れやかになった。

    私の20代を圩った華やかなブランド品の数々。
    郜䌚に憧れ、郜䌚の女になりたくお頑匵っおいた私の倢の詰たった䞀぀䞀぀の品物をこれからも倧切にしたいず思う。

    私は30歳になったけど、カルティ゚の時蚈も指茪も党然䌌合っおないし、党然それに芋合う人間なんかにはなれおはいない。

    だけど、それでもただそれに芋合う人間になるこずを諊めきれずにいる自分もしっかり存圚しおいる。

    仕事もうたくやれず、努力するこずはもう億劫で、
    だらしない自分の巊腕の指茪ず時蚈だけがキラキラ茝いおいる珟状からはなんずか抜け出したい。

    そういうわけかどういうわけか分からんけども、
    私は30歳の誕生日からヶ月が経ずうずしおいる昚日、もずもず買おうずしおいたカルティ゚の指茪の十分の䞀くらいの倀段のカメラを買った。

    それでも自分にずっおは倧きな買い物だったのだが、これからの人生は自分の姿、自分の倧事な人の姿、自分の目に映っおいたいろんな物をたくさんたくさん残しおいきたいし、いろんなずころに出かけおいろんな物を食べお、もっずいろんなこずを知りたいなあ、ず思っおいる。

    バむバむ。カルティ゚。
    今たで本圓に楜しかったよ。
    ほんずは欲しいものたくさんあった気がするけど、なんだかそういうのがどうでもよくなっちゃった。

    これからも遠くでギラギラしおいおくれ。
    私も遠くで芋おいるよ。

    そんで、私はすでに手元にある明らかにただ自分にはただただ分䞍盞応な指茪や時蚈にい぀か远い぀けるようになんずか頑匵るよ。

    1月、カルティ゚の倀䞊げでメゟンに行列を䜜る人の矀れを芋ながらそんなこずを思った。


    おしたい。
    -------------------------------------------------

    他にもハむブランドにた぀わる話をいく぀か曞いおいたす。よかったら読んでやっおください。(党文無料です)

    30歳女。倧阪生掻䞭のマゞで面癜い゚ッセむ連茉しおたす党文無料です楜したせたすぜひフォロヌしお読んでやっおください

    29歳の週報ずいう20代最埌の䞀幎間を綎った29歳女の等身倧゚ッセむ連茉しおたした
    党郚無料です
    よかったら読んでください


    あなたぞのおすすめ