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短線「胡桃ず僕のありふれた日垞」第四話 〜颚にくるくる矢車草〜 

    匘生


    「胡桃ず僕のありふれた日垞」


    第四話 〜颚にくるくる矢車草



     今宵、我が家は焌肉パヌティヌだ。
     仕事のバディのご垰還で、圌女は喜びひずしお、リビングでくるくる舞っおいる。腹に子どもがいるんだから気を぀けおくれよ、ず僕の方が冷や冷やしおいる。

     圌女の名は胡桃くるみ。笑顔のかわいいいクリニック勀務のナヌス、愛すべき僕のお嫁さんである。
     い぀でも倧真面目で粟䞀杯はりきる圌女は、それ故に倩然色の面癜オヌラを眩しいほど攟っお、䜕をしでかしおも僕に怒る隙を䞎えない。ずにかく、そこに居るだけで面癜いのだ。

     二週間ほど前のこずだ。
     倜勀明けに垰宅するず、胡桃は朝早くから掗濯物を干しおいた。
    「昚日お昌に味噌汁ひっくり返しちゃったの」
     新しく支絊されたばかりのマタニティヌ甚の癜衣に、味噌汁を豪快にぶちたけおしたったらしい。ただ腹が倧きいわけでもないのに、新し物奜きで気の早い胡桃は早速その癜衣を着甚しお、呚りのスタッフに自慢しおいた最䞭さなかにひっくり返したのだずいう。本来癜衣はクリニックでたずめおクリヌニング業者に出すのだが、今回はむレギュラヌずいうわけだ。
    「ゆうべ掗濯したこの子に倪陜を济びさせるの」
     胡桃の干したマタニティヌ癜衣の癜さに朝陜が眩しく反射しおいた。
     僕は朝食を摂ったあず颚呂に入っおから、のんびりず眠くなるたで読みかけのコミックスを読んだりナヌチュヌブを芖たり、う぀らう぀らしおいた。ベランダでハンガヌに吊るされた癜衣がくるくる・・・・しおいるのが芖界に入っおきお、䜕ずなく芋おいるうちに眠っおしたった。
     䌑日の胡桃は、手際良く䞻婊の仕事をさっさず終わらせるず、朝からキュンキュンドラマをサブスクで芖聎しおいた。
     五月の颚は気持ちよく掗濯物を也燥させおいるのだが、
    「あたし的には䜕だか暑いわ。お腹倧きくなるっお暑くなるこずだったのね。䜕だか髪も鬱陶うっずうしい」
     どうやら衝動的に長い髪を切りたくなったらしい。
     思い立ったら即行動の胡桃は、僕の睡眠䞭に別人のようにばっさり髪を切っおきお、健やかに眠っおいる僕の耳に指を突っ蟌んで、飛び起きた僕をさらに驚かせた。
    「ふふん、䌌合う かわいくなったわ」ず、自分の髪をくしゃくしゃにしながら、
    「どんなに颚に吹かれおくしゃくしゃになっおもかわいい髪型にしおもらったの」ず、ご満悊でくるくる螊りながらベランダに出た。
     そういえば颚が匷くなっおるな。ん くるくる・・・・  なんか匕っかかる  
    「あれ 楜がくくん、癜衣取り蟌んでくれたの」
     ちなみに楜ずは僕の名である。
    「いや、僕寝おたから」
    「うそぉ いないいないいない どこにもいない」
     胡桃は六階のベランダから身を乗り出し、芋枡せる限りの芖野で真っ癜な癜衣を探したが、その姿はどこにもない。 
     危ないよ、ず近寄る僕を䜓圓たりで抌しのけお、圌女は玄関を飛び出しお行った。
     マンションの呚りから他人様の家の庭たで芗き蟌み、挙動䞍審の劊婊の劂く、立ち止たっおはキョロキョロを繰り返す。
    「どこに行ったのぉ」ず声に出しお、通りすがりの人に䞍審がられたり、「この蟺で癜衣芋かけたせんでしたか」ず通りすがりの人に蚊いお䞍審がられたり。䞍審者党開で薄暗くなるたで探し続けたが、その甲斐もなく癜衣は芋぀からなかった。
     その晩はカップラヌメンだった。
    「どうしお取り蟌んでおいおくれなかったのよ」
     胡桃はがっくり肩を萜ずし、半癜目の涙目で僕を睚む。
     え 僕のせい 反論しようずしお「ぶふっ」ず吹いおしたった。
    「  しばらくカップ麺だから ふん」

         

     明日になれば誰かが気づいお、塀やガヌドレヌルに掛けおおいおくれるかもしれないず、胡桃は垌望的掚枬を胞にその晩は眠った。その淡い期埅は甘かったず、すぐに気づくこずになる。
     翌日から、胡桃の癜衣捜玢の日々が始たった。仕事の行き垰りは通り道を倉え回り道をしお、路地裏を芗き、他人の家を芗き、立ち止たったかず思うず、じっず他人の家の屋根を芋䞊げ、挙動䞍審に拍車をかけお捜玢範囲を広げおいった。
     近所の介護斜蚭で癜衣が干しおあるのを芋぀けお、裏の垣根から睚むように䞀着䞀着を半癜目で凝芖しおいる胡桃の姿を想像するず、恐いよりも恥ずかしいよりも、僕はやっぱり吹いおしたうのである。
     ぀いに胡桃は最寄りの亀番に飛び蟌み、
    「私の癜衣、届いおたせんか、掗濯ハンガヌ付きの」
     そう蚀っお、お巡りさんを困らせた、いや、吹かせおしたった。
     胡桃のぷりぷり床は、本気の連続カップ麺を死守させおいたが、職堎の同僚達には、支絊されたばかりの新しい癜衣を倱っおしたったずは告癜できずに苊しんでいたようだ。それでも元気のない様子は隠しようもなく、
    「胡桃ちゃん、食欲ないの」ず、みんなから心配されおいた。

         

     癜衣の行方䞍明から二週間。
     今朝、胡桃はベランダに出お、恚めしそうに五月の青空を仰いでいた。ふず䜕かの気配を感じた胡桃の耳に埮かな声が聎こえたらしい。

      ねえ、ミツケテペ
      あなたのスグ゜バにいるの
      ねえ、ミツケナサむペ
      ずっずココにいるのに
      ねえ、い぀たでマタセルノペ
      はやくタスケナサむペ

     隣の空き郚屋のベランダずの境目から聎こえる埮かな声。
     たさか  たさかたさか。
     䞋から芗こうにも腹が気になっお這い぀くばれない。仕方なく脚立に登り、隣のベランダを䞊から芗く。
     居た いた むタ 
     こんな近くにいたなんお。二週間も雚にも颚にも陜射しにもじっず堪えおいたなんお。ごめんね、ごめんね、今助けるから 䜕か、䜕か長い棒。
     脚立の䞊でキョロキョロしおる胡桃を芋぀けお、真っ青になったのは、倜勀明けで垰っおきたこの僕だった。
    「危ない 胡桃、䜕やっおるの」
     劊婊の胡桃が六階のベランダで脚立に䞊っおる、その事実だけで、僕は䞋半身がさぁっずあわだった。
    「んもぉ、楜くんの声でびっくりしちゃっおかえっお危ないわ」
     結局僕が二週間ぶりに胡桃の倧切な癜衣を救出したのである。匕き揚げられたその子の癜いボディヌには、驚くこずに小さな小さな草 が生えおいたのである。これが二週間ずいう時間の長さなのだ。

      もう、ハナサナむデネ

    「もう離さないわ」
     胡桃は癜衣を抱きしめたあず優しく掗い、味噌汁どころか日光颚雚に二週間も晒された癜衣の灜難は、ようやく去ったのである。
     胡桃のご機嫌はたちたち䞊昇し、リビングでくるくるず喜びの舞を舞うのであった。

     ずいうわけで、今倜は焌き肉パヌティヌなのだ。
     僕は、癜衣が戻っお泣くほど嬉しいよ。やっずカップ麺から解攟される。

         

     数日埌、颚の匷い日。
     今床は僕のスりェットパンツが行方䞍明になった。
     わかっおいる。犯人は颚ず、そしお、ピンチできちんず挟んでおかなかった胡桃だ。堎所も特定しおいる。隣の空き郚屋のベランダだ。でも、そのたた攟眮されおいる。なぜならベランダの遠くたで飛ばされおいお、すでに長い棒で届くレベルではないのだ。匷颚が逆に吹かないかなず、淡い期埅をし぀぀諊めおいる。
     胡桃は、カヌテンをからだにぐるぐる巻き぀けお、その隙間から片目だけを出すず、「たた買っおあげるから、ごめんね」ず蚀った。
     かわいい笑顔で誀魔化される僕は、胡桃が無事で元気でよかったず、あの䞋半身がさあっずあわだったベランダ脚立事件を思い出すたび思うのである。

     うちのベランダに咲く、雚にも颚にも負けない䞈倫な矢車草。颚向きに逆らわずくるくる回っおも芯がぶれない矢車みたいに、子䟛が生たれおも気負いはせずに、でもしっかりず胡桃ず手を取り合っお生きおいきたいず思う。


    第四話 おわり


    第五話に続く


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    颚にくるくる矢車草


    第五話
    ↓↓↓


    マガゞンです
    ↓↓↓



    胡桃シリヌズのスキスキ、い぀もありがずうございたす♡

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    #恋愛小説郚門

     
     
     

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