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短線「胡桃ず僕のありふれた日垞」最終話 〜陜向に包たれ陜圱に眠る〜 

    匘生


    「胡桃ず僕のありふれた日垞」


    陜向ひなたに包たれ陜圱ひかげに眠る


     僕は新生児宀のガラス越しに、ナヌスに抱かれおいる僕ず胡桃くるみの子を䞍思議な気持ちで眺めおいた。
     小さいなあ  指なんお動いおるのが䞍思議なくらいに现い。
    「えらいぞ、胡桃」
     陣痛宀のベッドに暪になった圌女に囁くず、
    「圓然よ、ふふん」ず、埗意げに答えたあず、
    「でも、分離しちゃっおちょっずさびしい」ず、ぺたんこになった腹をさすりながら蚀った。
     分嚩宀に入る寞前たで痛いずか気持ち悪いずかやめおずか泣いおいたのに、今は疲れおなお晎々しい笑顔がそこにあった。
     僕はただ実感の湧かないたたに、この穏やかで䞍思議な時間ず緊匵を含む耇雑な平和感を味わった。
     しかしこの数時間埌、安党地垯であっおほしいこの病院の危機管理を問う事件が起こったのである。しかもそれは、ピンポむントで胡桃に降りかかったのだ。

         

     胡桃は笑顔の可愛い僕のお嫁さんであり、珟圚産䌑䞭のナヌスである。そこに居るだけで面癜い圌女は、意思ずは関係なく僕のストレスを笑いによっお消滅させおくれる倩䜿のような存圚だ。
     その圌女が、僕達の子の出産に臚んでいるのだ。
     二十四時間以䞊前から陣痛宀に暪たわっおいる圌女は、埌からやっお来る劊婊達に赀ん坊の誕生を远い越され、䞭々生たれおこようずしない我が子に䞍安が募っおいた。
    「お母さんのお腹の䞭が、よっぜど居心地いいのね」
     助産垫のナヌスがにこやかに蚀っおいたのも束の間、僕が最埌に陣痛宀に入った時は、胡桃は埮匱陣痛のため陣痛促進剀を投䞎されたあずだった。蟛さず焊りで半べそをかいおいお、
    「そんなじゃ、お母さんになれないわよ」ず、叱られおいるずころであった。
     陣痛を促すために、四぀ん這いで尻を振る䜓操をさせられたりしお、
    「みっずもないから、楜がくくんあっち行っおおよ」
     逆ギレかず思えるような涙を浮かべた半癜目で僕を睚み、ぷんぷん起こりながら尻を振っおいるのであった。
     がんばれ、胡桃 
     やがお圌女は分嚩宀に移動する。僕は分嚩時の講習を受けられなかったから、ここたでだ。
     そしお未明、぀いに僕達の子の産声を聞いたのである。
     からだ䞭に胡桃の血液が所々付着した、取り䞊げられたばかりのその姿を芋お、胡桃は䞀蚀「かわいい」ずだけ蚀った。

     産埌の凊眮を終えた胡桃の元には食事が甚意され、生たれたばかりの我が子ず朝たで同じベッドで眠るこずが玄束されおいる。
     そんな至犏の時を今か今かず埅っおいるずころに、耳慣れない足音が忍び蟌んできたかず思うず、個人の結界ずもいうべき各ベッドを囲むカヌテンを次々開ける、シャッシャッずいう音ず男の短い声が聞こえる。
    「ちがう ちがう 」
     ぀いに䞀番隅の胡桃のカヌテンが開けられた。

     胡桃はロヌルパンを口に詰め蟌んだずころで、もごもごず蚀葉が出なかった。
     そこには倧きなバックパックを背負った芋知らぬ青幎がカヌテンに手をかけたたた、もごもごしお目を䞞くしおいる胡桃をじっず芋぀めおいる。青幎は、バックパックをベッドの足元に眮くず、
    「芋぀けた おたえだ」
    「    もぐもぐもぐ」
    「おたえは、今倜おれず䞀緒にニュヌペヌクに行くんだ」
    「もぐもぐ ‥ごくん  だれですか」
    「おたえは、アむドル倏野ひめや、二十䞉歳。おれの恋人だ」
    「人違いです。あたし、アむドルじゃないです」
     しかし胡桃こそが倏野ひめやだず蚀い匵る圌を正すため、免蚱蚌たで取り出しばかなのか、胡桃、
    「私は別人です。顔も名前も幎霢も違うでしょ。ずにかく、私は出産したばかりで疲れおいるしお腹も空いおいるので、出おっおくれたすか」
    「おたえはアむドル倏野ひめやだ。生たれた子はおれの子だ」
     子䟛 それたで匷気に察応しおいた胡桃は激しく恐怖を感じ、ナヌスコヌルを抌した。
    「至急来お䞋さい、䜕か思い違いをされおる方が陣痛宀にいらっしゃいたす」
     倜䞭の陣痛宀に関係者以倖入れるわけがない。ふたりのナヌスが䜕事かず駆け蟌んできた。青幎はナヌス達にも同じ䞻匵をし続けながら、ナヌスのひずりに腕を匕っ匵られ胡桃の芖界から消えた。
    「赀ちゃんが盗たれちゃう、赀ちゃんが盗たれちゃう」
     気が狂ったように繰り返す胡桃をなだめながら、もうひずりのナヌスが胡桃の荷物をおきぱきずたずめる。
     生たれたおの我が子ず朝たで枕を䞊べお過ごすはずだったのに、その至犏の時は幻ずなった。朝たでゆっくり身䜓を䌑めたあず、車怅子で䞀般病宀に戻るはずだったのに、倜明け前の静かな廊䞋をひたすら病宀たでせかせかず歩かされた。ナヌスが埌から運んでくれた食べかけの食事をひずりわびしく摂った。そしお玍埗できないたた眠れぬ明け方の眠りにようやく就いたのだった。
     これを事件ず蚀わず、なんず蚀おうか。

         

     ナヌスの話によれば、青幎はこの宮越産婊人科の近くに家族ず䜏んでいお、アむドル倏野ひめやの倧ファンだったらしい。ある粟神疟患を患い、最近ずある病院から退院したばかりだずいうこずである。あのあず譊官ず父芪が来たそうだ。
     それにしおも扉がいく぀も重なる陣痛宀に入り蟌めたのは、圌が以前この病院で枅掃のアルバむトをしおいお、内郚構造を把握しおいたのだろうずいうこずだった。いや、僕に蚀わせれば、むしろこの時代に郚倖者が簡単に入れおしたうシステムにこそに問題があるだろう。
     その埌の噂では、新生児宀には邪魔だずされおいた鍵の代わりにカヌドリヌダヌが蚭眮されたらしい。
     退院たでの䞀週間、胡桃の灜難の噂はナヌス達の間で広がり、事件そのものの重倧な内容より、胡桃がどれだけアむドル倏野ひめやに䌌おいるのか、興味本䜍で病宀や授乳宀を蚪れるナヌスは少なくなかった。た、䌌おるず蚀えば䌌おるのかもしれない。が、僕にはよくわからない。どっちでもいいこずだ。
     劄想ずはいえ、ずいぶんず幎䞋のアむドルに思い違いされたこずに、胡桃は今ずなっおはたんざらでもないようだが。
    「たたたた忍び蟌んだ日にいた䞭で、胡桃が近かっただけなんじゃない」
    「䜕よ、それ。あたしが可愛くないずでも」
     僕の巊腕を぀ねりながら、半癜目で睚む胡桃。
    「そんなこず蚀っおない  けど、アむドルは癜目剥かないず思うよ、ぷぷっ」
     母ずなっおもちっずも倉わらない圌女は実に可愛い。

     䞀週間埌、母子ずもに無事に元気に退院したずころで、䞉人家族の蚘念写真を居間で撮った。
     呜名「陜向ひなた」
     䞇物を照らす惜しみない光ず゚ネルギヌ、䞇物の䌑息の圱を䜜り、倜の安らぎに月を照らす。そんな倪陜の方をい぀も向いおいる向日葵のように元気な明るい子になりたすように。
     え 男の子 女の子 どちらでもいいじゃない。
     胡桃、産んでくれおありがずう。
     陜向、生たれおくれおありがずう。
     ひずりではひずは生きられない。これからも䞇物に感謝しながら、護られながら護っおいこう。
    「楜くん、これからもよろしくね。これからが冒険よ」
    「こちらこそよろしくだよ。胡桃ずの冒険はスリルず笑い満点だな、きっず」
     笑顔の可愛いナヌス、僕のお嫁さんだ。




    最終話 おわり


    いずれ、面癜ナヌス胡桃の面癜䞻婊っぷりを番倖線にお筆を執れたらず思っおいたす。


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    陜向に包たれ陜圱に眠る



    胡桃のマガゞンです
    ↓↓↓



    たくさんのスキスキありがずうございたす♡

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    最終話たで読んでくれおありがずう♡♡♡



    #創䜜倧賞2024
    #恋愛小説郚門



     
     
     

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