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林家つる子が高座の中心で愛を叫ぶ

    2026年8月28日
    林家つる子独演会
    (日本橋社会教育会館)


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    辰むめ  普段の袴

    つる子  寿限無

     少し前に放映していた『あかね噺』。あかねが阿良川志ぐま一門の面々を紹介される場面がある。そのシーンが、つる子自身の入門時、林家正蔵一門の面々を紹介される場面に似ていたという。まるで戦隊ものの登場シーンのように音楽付きで再現される。
     その『あかね噺』であかねが披露していた「寿限無」をつる子が口演した。
     終盤に「寿限無」が川に落ちてしまうヴァージョンで、あかねが演ったパターンを踏襲している。違うのは細かい箇所と林家つる子の芸の厚みだ。登場人物が長い長い「寿限無」の名を呼ぶたびに笑いが加速してゆく。誰でも知っている噺でもやり方次第で爆笑噺になる事を林家つる子が証明した。

    つる子  No Rain,No Rainbow.

     林家つる子は「嬬恋村キャベツ大使」である。そんな縁から、つる子が着想を得た新作落語である。
     打ち合わせ中、部下の様子がおかしいことに気づいた上司は何か悩みでもあるのかと聞く。すると部下は交際中の彼女に婚約指輪を突き返されたという。その理由を聴いた上司は彼女の故郷である群馬県嬬恋村に二人を連れ出す。その日、村では「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(キャベチュー)」が行われていた。普段言えない本音をキャベツ畑の真ん中で叫ぶイベントである。

     林家つる子の故郷である群馬県への愛を高らかに叫んだラブストーリーだ。雷がきっかけで二人が急接近するのは「宮戸川」に似ている。

    「No Rain,No Rainbow.」はハワイのことわざで、「雨が降らなければ虹は出ない」という意味である。試練がなければ愛もない。それは「No pain, no gain.」(痛みがなければ得るものもない)ということでもある。
      

    ー仲入りー

    つる子  不動坊

     大家がお滝に悔やみを言う場面から始まる。主人である講釈師の不動坊火焔が巡業先の北海道で死んでしまったのだ。お滝は悲しみの中、火焔への不満をこぼす。彼は巡業の連続でろくに家にいなかった上に五十両の借金を残して死んだ。そんな彼女に大家は再婚を勧める。

     最初にお滝が本音を吐き出す場面を描いたところに、つる子の「女目線」が生きる。「つる子の不動坊」のお滝さんは至って強気であり、交渉上手である。大家を通じて町内で最も真面目でマメな小間物屋の男と再婚したり、幽霊(!?)から十両せしめたりする。お滝さんのたくましさ、したたかさに比べて、なんと男たちはせせこましく、情けないことだろう。

     今日の三席は、林家つる子による「愛の讃歌」であった。

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    初めまして。埼玉県の田中篤志と申します。演芸とサザンオールスターズと読書が好きです。好きな落語家は林家つる子。好きな曲は「夕陽に別れを告げて」。好きな小説はサリンジャー著「ライ麦畑でつかまえて」。宜しくお願い致します。

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