
就職氷河期世代
今回は,中央公論新社から刊行されている新書『就職氷河期世代:データで読み解く所得・家族型性・格差』(中央公論新社,2024年)を紹介したいと思います。
就職氷河期世代
「就職氷河期世代」という言葉は,メディアやネットの中でもよく見聞きするものです。この書籍の中では,1993年から2004年に高校,大学などを卒業した人々のことを指します。私は1991年3月に高校卒業,1995年3月に大学卒業,2000年3月に大学院修了ですので,「就職氷河期世代」にあたる世代だと考えられます。
書籍の中ではもう少し細かく,1993年から1998年に卒業した世代を「氷河期前期世代」,1999年から2004年に卒業した世代を「氷河期後期世代」としています。後期世代の方が就職は大変だったのですが,前期世代は就職して最初の時期がずっと不景気だったという世代になります。
特異性は
「就職氷河期世代」というと,この時期の人々「だけ」が特異的に運が悪い状況を経験してきたかのように思うのですが,データを見ると,必ずしもそうではないことがわかる点が興味深いところです。
特に就職後期世代は,バブル世代に比べれば,卒業後長期にわたって雇用が不安定で年収が低いことは,これまでも繰り返し指摘されてきました。しかし,その下の世代も,雇用は不安定で年収は低いまま推移してきたのです。
データも個人も
この本を読みながら,とはいえ「個人差も大きい」と感じたことは事実です。そして,データと実感はまた大きく異なります。その理由はいくつかあります。
いちばん実感できなさとして大きいのは,「定期昇給」ではないでしょうか。企業に勤めていても公務員でも(もちろん大学に勤めていても),毎年,多くの人々の給料は年齢とともに上昇していきます。自分の給与明細を見ていると,基本給の額面は毎年上昇していきます。そして,税金から保険から,あれこれと引かれて振り込まれます。だから,本当は「前の世代よりも上昇していない」にもかかわらず,それを問題だという感覚を抱きにくいのです。
そして,収入の個人差は非常に大きいのが実際です。さらには,若い頃から資産運用をしたり貯蓄をしたりしている人もいれば,全く無頓着な人もいます。同じ世代であっても,みなが等しく同じように苦労しているわけでもなければ,不幸であるわけでもありません。しかし中には,平均値では表現できないほど困窮している人も存在します。数字はあくまでも平均の話であって,個人差も大きいという点は注意が必要です。
高齢化
本書でも最後の方に書かれていますが,
結局,画期的な特効薬は存在しないのだ。
というのが,正しい認識ではないかと私も思います。しかし,その上で,人間としての生活を守るための方法をしっかりと整備してもらいたいとも思います。
おそらく,私が高齢者になった時に,本当の危機が訪れるような気がしますので。