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たすけて 校長先生

    よっくんは、小学6年生。
    ある日、友達の安くんから、学校が休みの日に遊ぼうと誘われた。
    よっくんは、家族で出かける予定があったから、断わった。怒った安くんは、その日からよっくんの悪口を言ったり、無視をするようになった。いつの間にか、クラス中の子達がよっくんと話さなくなった。
    よっくんは、毎日が辛くなっていった。学校に行きたくないと思うようになっていく。
    予定があったから、断わっただけ。悪い事をしてないと自信があったけど、安くんには、わかってもらえなかった。苦しい毎日に限界がきた。そしてよっくんは、校長先生に手紙を書くことにした。「助けて」、と。
    校長先生は、絶対に助けるからと約束をする。校長先生の考えた改善策とは、
    いじめをする子にあえて自分のした事を解らせる為、役割を持たせ、使命感を得られるようにさせる。そして、大人の役割は道筋をつけたら見守りを絶やさないことを実行していく事だった。

    (僕が悪いの?どうして無視をされるのか、わからない。どうして悪口を言われるのか、わからないんだ…)
    昨日、友達の安くんから「今週の土曜日遊ぼう!」って誘われた。
    だけど、今週の土曜日は家族とお出かけする予定だったから、断ったんだ。
    そしたら安くんは、「来ないなら知らないからね!」そう言って
    怒って、大ちゃんの所に行った…
    安くんと大ちゃんは、僕の方を見ながら何か言ってる…
    そしてそこに、竹くんも加わった…
    予定があるから断っただけ…どうして怒るんだろう…
    僕はどきどきしながら、でも、心にぐっと力を入れて、安くんの所に行った。そして、
    「安くん、せっかく誘ってくれたのにごめんね。今週の土曜日は、家族とお出掛けするんだ。だから、ごめんね…また今度遊ぼうね。」
    って伝えた。
    安くんは僕をギロッとにらんで、大ちゃんと竹くんと一緒に教室を出て行った…
    何の関係もない大ちゃんと竹くんまで、僕を無視して安くんと一緒に…

    次の日の朝、登校して教室に入ったら
    安くんが来てたから、「おはよう、安くん。」
    って声をかけたけど、安くんは何も言わずに教室から出て行った。
    安くんは、まだ怒ってる…
    どうしてだろう?
    どうして安くんは、こんな態度をとるんだろう…
    悲しいよ…つらいよ…
    とっても
    悲しいよ…
    いつも一緒にいた安くんは、大ちゃんと竹くんと一緒にいるようになった。
    僕の方を見ながら、何か言ってる…
    安くんは僕と何も話さなくなったし、大ちゃんと竹くんも、僕を無視するようになった。
    いったい、いつまで続くのだろう…
    予定があったから誘いを断るのは、そんなに悪いこと?
    許されないことなの?
    無視をされたり、悪口を言われなきゃいけないことなの?
    僕は悪いことなんてしてないって自信があった。
    自信があったけど…でも、
    安くんの心はどうすることもできないから、
    僕はひとりでいることも仕方ないって思った…
    仕方ないって、思ったんだ…
    でも…だけどやっぱり…
    さみしかった…
    つらかった…悲しかった…
    僕は、さみしかったんだ…
    でも僕には、どうすることもできなかったから…

    朝、目が覚めて、今日もまた、無視をされるんだろうな…
    悪口も言われるんだろうな…
    そんなことを考えてたら、僕は、
    (学校に行きたくない…)
    そう思うようになっていった。
    でも、学校を休んだらお父さんとお母さんが心配する…
    心配かけてしまうから
    今日も行くしかなかった…
    「行ってきます…」
    「行ってらっしゃい!気を付けてね!」
    いつもの明るいお母さんの声…
    今日は僕…
    お母さんの顔を見ることができなかった…
    お母さんの顔を見たら、僕は泣いてしまいそうだったから…
    頑張る気持ちになれなくなってきてる…
    僕の心は、壊れそうだった…
    教室に入ると安くんは、クラスの子たちと話していた。
    安くんは、僕の方を見た。
    安くんはきっと僕に気付いたと思う。
    急に話し声が小さくなった…
    何か言ってるみたい…
    また、僕の悪口かな…
    もう僕は、何も感じなくなっていた…
    悲しいとも…さみしいとも…
    何も感じなくなっていた…
    僕は自分の席に座って、ボーとしてた。
    しばらくすると、大ちゃんと竹くんが登校してきた。
    安くんが、「大ちゃん、竹くん、おはよう!
    こっちにおいでよ!」と2人を呼んだ。
    また、僕の悪口かな…
    クラスの子たちも、僕を避けるようになった…
    僕は、学校で誰とも話さなくなった。
    しんどいな…
    毎日が、しんどいな…
    もう嫌だよ…こんな学校…
    もう、嫌なんだ…
    限界なんだ…
    僕は、心の中で叫んだ。
    涙が出てきた…
    涙が止まらなくなった…
    こんな毎日、もう嫌だ…
    もう…嫌なんだ!
    泣いている僕に気付いた安くんが
    「なに泣いてるんだ?」と言った。
    「へんなやつ!」、竹くんの声。
    そして、大ちゃんの笑い声…
    その時、僕は決心した。
    僕は、校長先生に手紙を書くことにした。

    その夜、僕は校長先生に手紙を書いた。
    【校長先生、僕は、校長先生に聞いてもらいたい事があります。
    僕は、1ヶ月前に安くんから、学校がお休みの日に遊ぼうって誘われました。
    でも、その日は家族とお出掛けする予定だったから断りました。
    そうしたら、安くんは怒って、僕を無視するようになりました。
    悪口も言われるようになりました。
    安くんから誘ってもらってとっても嬉しかったです。でも、予定があったから、断ったのです。
    断ったことを、僕は悪いことだと思っていません。
    だけど、安くんにはわかってもらえませんでした。
    どうしていいのかわかりません。
    無視をされたり、悪口を言われるのはつらいです。
    本当は今、もう学校に行きたくないです。
    学校に行くのが、怖いです。
    つらいです。
    でも、学校に行かないと家族が心配します。
    家族に心配かけたくないです。
    でも、もう頑張れそうになくてつらいです。
    僕はもう、どうしていいかわかりません。
    毎日毎日、無視をされるのがつらいです。
    毎日毎日、悪口を言われるのがつらいです。
    学校に行くのがしんどいです。
    学校に行くのがつらいです。
    校長先生、助けてください。
    どうか助けてください。】
    僕は、心の中の思いを全部書いた。
    そして、その手紙に学校の住所と校長先生の名前を書いて、ポストに入れた。
    僕の名前は
    書けなかった…
    (ちゃんと校長先生に届くかな…
    校長先生は、どう思うかな…僕ってわからないかもしれないな…
    これから、どうなるのかな…
    校長先生が手紙を見たら、すぐに安くんを呼んで注意をするのかな…そうしたら、安くんは、僕が校長先生に言ったことを怒るだろうな…
    今よりももっと、つらくなるかもしれない。)
    そんなことを考えたら、しばらくポストの前から動けなかった…
    でも、ポストに入れた手紙に願った。
    どうか、校長先生に届きますように…
    僕は、深呼吸をした。
    (明日も頑張ろう)
    僕は自分に言い聞かせた。
    その夜は、なかなか眠ることができなかった。

    少し頭が、ボーッとしてる…
    (何時だろ?)
    外が明るくなっていた。
    朝だ…
    きっと今日、手紙が届くはず…
    何かをいろいろ考えると気持ちが苦しくなりそうだから、一生懸命何も考えないように、
    学校へ行く準備をした。
    不安な気持ちと、でも、少しほっとしている気持ちもあった。
    今まで誰にも言えなかったから。
    言えない苦しさがあったから、その苦しさが少し小さくなった気がした。
    これからどうなるのかわからないけれど。

    「お母さん、行ってきまーす。」
    「行ってらっしゃい!気を付けてね!」
    今日は、お母さんの顔をちゃんと見て言えた…

    (まだ手紙は届いてないだろう…)そう思ったけど、教室に入るのが少し怖かった。
    誰の顔も見ないで、自分の席に座る…
    あれからずっと、僕はこうしている…
    無視をされたり、悪口を言われてることから、目を背けていたかったから…
    お昼休み、2階の教室の窓から玄関を見てた。
    (あっ!)
    郵便屋さんが来た。

    僕はどきどきした。
    怖いけど、僕は後悔していない。
    校長先生に手紙を出せてよかったと思っているから。
    何も変わらないかもしれない。
    もっと、つらいことになるかもしれない。
    でも僕は、後悔してなかった。
    その日は何もなかった。
    数日たっても、何もなかった。
    (校長先生、きっと手紙は読んだはず…
    誰からかわからないから、何もできないのかもしれない。しかたないな…名前、書けなかったから…)

    ある日のお昼休み、校長先生が教室に来て、安くんに声をかけた。
    僕は、どきっとした。
    (手紙の事かな…)
    怖くてどきどきした。
    「安くん、明日のお昼休み、校長先生のお手伝いをしてほしいから、お給食が終わったら校長室に来てくれるかな?」
    「はい、わかりました。」
    安くんはそう返事をした。
    (お手伝いか…)
    あれからもう、何週間もたっていた。

    次の日のお昼休み、担任の先生が安くんに
    「今から少し、お手伝いをしてくれるかな」
    と言った。
    安くんは、「あっ、えっ、えっと…先生、今日のお昼休みは、校長先生にお手伝いを頼まれています。」と答えたら、
    担任の先生は、「申し訳ないけど、校長先生にお手伝いをお断りしてきてくれるかな?」と言ったら、
    安くんは、驚いた顔をして黙っていると、
    「じゃあ、お断りしてきたら職員室に来て。」そう言って担任の先生は、教室を出て行った。
    安くんは、困っていた。
    どうしていいのかわからなくて困っていた。
    すると、大ちゃんが「校長先生に、お断りしてみたら?」と安くんに言うと、「う、うん…」安くんは小さく返事をして
    教室を出て行った。
    しばらくすると安くんが教室へ戻ってきて、「校長先生を探したけど、いなかった」
    不安そうな安くんの所に、校長先生が来た。
    「安くん、お手伝いに来てくれるかな」
    「校長先生、あの、えっと…山下先生にも、お手伝いを頼まれてて…それでえっと…
    僕…」
    「それは困ったな…、昨日ちゃんとお願いしたんだから、山下先生にはお断りをしてきてもらいたいな。」
    そんな校長先生の言葉に、安くんは泣きそうな顔でうつむいた。
    「安くん、山下先生にお断りしてきてくれるかな?」
    もう一度言った校長先生の言葉に、安くんは泣き出してしまった。
    そんな安くんを見て、校長先生は、安くんの頭を撫でながら「安くん、悪かったね。ごめんよ。お断りをするのは、とってもつらいことだよね。だけど、他に用事があったり、都合が悪いと断わらないといけないけど、相手の気持ちを考えるとどうしていいのかわからなくなるよね。
    でも、用事があったり、都合が悪いときはちゃんとはっきりお断りをしていいんだよ。
    お断りをされた方は、ちゃんとその理由を聞いて、わかってあげないといけなかったね。
    ごめんよ、困らせてしまって。
    校長先生のお手伝いは今度でいいから、山下先生の所へ行きなさい。」
    そう言って、校長先生は、教室を出ていった。
    安くんは、ほっとした顔をしていた。

    それから数日後の放課後、僕はみんなが帰ってから教室を出る。
    一人になってから教室を出る。
    あれから僕は、ずっとこうしてる…
    下駄箱で靴を出していたら、
    「よっくん」
    僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
    振り返ると、校長先生が立っていた。
    僕はドキッとした。
    「あ、校長先生、さようなら。」
    「よっくん、ちょっとお手伝いを頼んでもいいかな?」
    僕はすぐには、声が出なかった。
    「用事があるかな?」
    校長先生の問いに、ハッとして、慌てて
    「大丈夫です、お手伝いできます。」と答えた。
    校長先生は優しい笑顔で、「ありがとう。じゃあ、校長室に来てくれるかな。」と言って
    僕を連れて校長室に行った。
    (なんだろう…手紙のことかな…
    僕だとわかったのかな…)
    僕は、どきどきしていた。
    校長室に入ると、校長先生が机の中から飴を出して僕に渡してくれた。
    校長先生は、「笑顔になる魔法の飴だよ。」と言った。
    校長先生は、
    「よっくん、よく頑張ったね。
    今までよく頑張って、学校にきてくれたね。
    つらかったね。
    つらい思いをさせてしまったね。
    気付けなくて、ごめんよ。ほんとうにごめんよ。」
    と言って、僕の頭を撫でた。
    僕は、校長先生が気付いてくれていたんだとわかってうれしかった。
    うれしくて涙がでた。
    ほっとして涙がでた
    「よっくん、校長先生が絶対に助けるからね。よっくんを絶対に守るからね。絶対に守るからね。」

    次の日の一時間目は、体育館で校長先生のお話しがあった。

    「今日から、六年生のみんなに色々な係りになってもらって、みんなの相談にのったり、困っている人を助けてあげてほしいと思います。
    お友達同士、時にはケンカをしてしまう事もあると思います。
    そんな時は、しっかりと、お友達と話し合いをしてください。
    かげで悪口を言い合ったり、無視をしても、何も解決しません。分かり合えるまで、たくさん話し合ってください。
    自分の思いだけを押し付けるのは、わがままです。
    人の都合を考えたり、人の気持ちを考えて行動できる、そんな優しい気持ちでいてほしいのです。
    人に迷惑をかけたり、人を苦しめるような事は、絶対にしないでください。
    それはとっても、恥ずかしいことです。
    ここは、みんなの学校です。
    みんなにとって楽しくて、笑顔いっぱいの学校にしましょう。
    よろしくお願いします。
    では今から、六年生のみんなの係を言いますので、名前を呼んだら前に出てきて下さい。」
    そう言って、
    校長先生は、係の名前を呼んだ。
    悪口をやめさせる係、悪口を言ってる人達に悪口の理由を聞いて解決させる係。
    無視をやめさせる係、無視をする理由を聞いて、仲直りをさせる係。
    悩み相談係、悩んでいる人の相談にのる係。係のカードをもらって、みんな、名札につけた。
    校長先生から渡されたノートに、その日の出来事を書いて、放課後毎日、校長先生のところに持っていく。
    6年生全員が、それぞれの係になった。
    僕は、安くんと同じ、悪口をやめさせる係になった。
    係ごとに並んだ時、安くんは少し気まずそうだった。

    その日の帰り、僕はいつも通り、みんなが教室を出てから帰る。
    げた箱に行くと、安くんがいた。

    (どうしよう、何か話した方がいいのかな…
    話しかけられたら、嫌かな…何も言わずに帰った方がいいのかな…)
    いろいろな思いが、頭の中をぐるぐる回っていた。
    すると安くんが、「よっくん…いろいろごめん…」
    と言った。
    びっくりした…。
    ぼくは、すぐに言葉が出なかった。
    「うん…」
    ぼくは、それしか言えなかった。

    「よっくん、安くん、さようなら」
    校長先生だった。
    「係のお仕事、ご苦労様。いつもありがとう。これからも、困っている人達を助けてあげてね。
    2人とも、気を付けてお帰り。」
    「はい、校長先生さようなら。」
    「校長先生さようなら。」

    (ありがとう、校長先生。)
    ぼくは、心の中でそう言った。




















     
     
    前向きな気持ちになりたいと思ってもそうなれない日もあって、そんな時は、ほんとうにしんどくて。でも、毎日やらなくてはいけないことがある中でただ淡々とやってる。今は、それが精一杯。 言葉にすると、楽になる気持ち。 ここで、綴らせてもらおう。 どうぞよろしくお願いいたします。

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