
目的地まで遠回りしたら、いつもの道が少し違って見えた
路線バスに乗ったら、目的地より“途中”に発見があった
同じ目的地へ行くなら、普通なら早くて安いほうを選びます。
人間はいつの間にか、効率重視になっています。
タイムパフォーマンス、いわゆるタイパ。
コストパフォーマンス、いわゆるコスパ。
早く着くこと。
安く済むこと。
無駄が少ないこと。
たしかに、それは大事です。
今回の目的地も、電車で行ったほうが早く着きます。
しかも料金も、電車のほうが安い。
つまり、効率だけで考えれば、完全に電車の勝ちです。
でも今日は、あえてバスに乗ってみました。
同じ目的地へ行くのに、手段を変えてみる。
ただそれだけのことです。
ところが実際に乗ってみると、思った以上にいろいろな発見がありました。
時間も料金も、電車の倍以上かかりました。
でも、乗らないとわからなかったことがありました。
たぶんそれは、少しだけプライスレスでした。
電車は早い。バスは「途中」が見える
電車は便利です。
早い。
時間が読みやすい。
駅から駅へ、きれいに運んでくれる。
目的地に向かう手段としては、とても優秀です。
でも、電車はどこか「点と点」を結ぶ感じがあります。
駅を出る。
次の駅に着く。
また次の駅に着く。
目的地の駅に着く。
一方、バスは道を走ります。
信号で止まる。
交差点を曲がる。
コンビニの前を通る。
病院の前を通る。
住宅街の細い道に入っていく。
知らない停留所の名前を見る。
同じ目的地へ向かっているのに、バスだと「途中」がちゃんとあります。
電車なら通過していた景色。
車なら運転に集中していて見落としていた景色。
歩いていたら、自分の足元ばかり見ていた道。
バスに乗ると、それらが少し違って見えました。
ふて猫なら、窓際の席から外を見ながら言いそうです。
「人間、早く着きすぎると、途中を見なかったことにします」
たしかに、早く着くことは便利です。
でも、早く着く道では拾えないものもあります。
歩いて5分の距離でも、バスに乗る人がいる
バスに乗っていて、驚いたことがあります。
一駅だけ乗って降りる人が結構いたことです。
距離で言えば、歩いて5分もかからないくらい。
自分なら、たぶん歩く距離です。
最初は正直、
「え、ここで降りるんだ」
と思いました。
でも、すぐに少し考えました。
歩いて5分。
この「5分」は、人によって全然違います。
元気な人にとっては、すぐそこ。
荷物が多い人にとっては、少し大変。
足が痛い人にとっては、なかなか遠い。
高齢の人にとっては、無理をしないための距離。
暑い日や雨の日なら、短い距離でも乗りたくなることがあります。
自分にとっては「歩ける距離」でも、誰かにとっては「乗りたい距離」なのです。
ここに、ちょっとした人間観察がありました。
便利さは、全員に同じ形で届いているわけではありません。
距離の感じ方も、体力も、事情も、人によって違います。
普段、自分の感覚だけで見ていると、つい思ってしまいます。
「このくらい歩けばいいのに」
でも、その「このくらい」は、自分の体力と都合で決めたものです。
ふて猫は、降りていく人の背中を見ながら、少しだけうなずきます。
「人間の一駅には、それぞれ事情があります」
これは、忘れないほうがいい気がしました。

レトロな精算機と、令和のICカード
バスに乗るとき、入口に整理券のようなものがあります。
降りるときには、前方に現金精算機があります。
昔ながらの、あの少しレトロな雰囲気の精算機です。
番号を見て、料金表を確認する。
小銭を入れる。
足りているか少し緊張する。
後ろに人がいると、なんとなく焦る
昔のバスには、あの独特の緊張感がありました。
でも今回見ていると、現金で精算している人はほとんどいませんでした。
多くの人が、SuicaやPASMOでピッと支払っていきます。
車内には、昔ながらの精算機が残っている。
でも実際には、みんなICカードで静かに済ませている。
見た目は少し昭和。
支払いはしっかり令和。
現金精算の仕組みは残っているけれど、人の行動はもう変わっている。
こういうところに、時代の変化が出るのかもしれません。
ふて猫は、精算機をじっと見つめながら思います。
「人間、現金精算の緊張感だけは、できれば過去に置いていきたいようです」
わかります。
小銭が足りるかどうかを心配するより、ピッと済ませたい。
でも、レトロな精算機が残っていることで、バスらしさも少し残っている。
古い仕組みと新しい行動が、同じ車内に並んでいる。
それも、バスに乗ったから見えた景色でした。
降車ボタンは、子どもの頃の小さな争奪戦だった
バスに乗っていると、懐かしいものが目に入りました。
降車ボタンです。
窓際についている、あのボタン。
「お降りの方は、このボタンを押してください」
子どもの頃、このボタンを押すのがなぜか特別でした。
次で降りるとわかった瞬間、静かな緊張が走ります。
誰が押すのか。
いつ押すのか。
早すぎてもいけない。
遅すぎてもいけない。
でも、先に押されたら負けた気がする。
今考えると、ただのボタンです。
でも、子どもにとっては大事な任務でした。
押せた日は、ちょっと勝った気分になる。
押せなかった日は、なんとなく悔しい。
兄弟で小さな喧嘩になったこともありました。
大人になった今、降車ボタンを見ても、そこまで心は動きません。
でも、写真を撮りながら少し思いました。
人間は、ただのボタンにも思い出をくっつけて生きているのだなと。
ふて猫なら、赤く光った「とまります」の文字を見て、こう言いそうです。
「人間、子どもの頃はボタン一つで人生の主導権を感じます」
たしかに、あの頃の降車ボタンには、少しだけ世界を動かしている感覚がありました。
歩行者だった自分は、バスの車幅を考えていなかった
普段、歩行者としてその道を歩いているとき、自分はバスの車幅をあまり考えていませんでいた。
歩いているときは、歩く側の感覚で道を見ています。
歩道が狭い。
車が近い。
もう少し広ければいいのに。
この道、歩きにくいな。
そんなふうに感じます。
でもバスに乗って同じ道を通ると、見え方が変わりました。
「ここ、バスで通るにはけっこう狭いな」
「歩行者が少しはみ出すだけで、運転士さんはかなり気を遣うだろうな」
「この車幅で、よくこの道を走っているな」
普段、自分が歩いている道なのに、バスの車内から見るとまったく別の道に見えました。
歩行者としての道。
運転手から見た道。
乗客として見る道。
同じ道路なのに、立場が変わるだけで景色が変わります。
そして少し反省しました。
自分は歩行者として、バスの大きさをあまり考えずに歩いていたかもしれない。
端を歩いているつもりでも、バス側から見たら少し怖い位置だったかもしれない。
これは、実際に乗ってみないとわからない感覚でした。
人は、自分の立場から見えている景色を「普通」だと思いがちです。
でも、その普通は、あくまで自分側から見た普通です。
ふて猫は、狭い道を抜けるバスの中で、そっとつぶやきます。
「人間、自分が通る側になるまで、道の狭さに気づきません」
本当にそうです。
立場を変えると、同じ景色が違って見える。
これは、道路だけの話ではない気がしました。
人生も、たまには違う道を選んでみてもいい
これは、移動だけの話ではないのかもしれません。
人生でも、私たちはつい最短ルートを探します。
効率のいい道。
損をしない道。
失敗しにくい道。
みんなが選んでいる道。
もちろん、それは大事です。
時間もお金も体力も、無限ではありません。
できるだけ無駄なく進みたいと思うのは自然です。
でも、ときどき少し遠回りをしてみる。
いつもと違う手段を選んでみる。
立場を変えて、同じ景色を見直してみる。
すると、今まで気づかなかったことが見えてくることがあります。
仕事でも、暮らしでも、人間関係でも、もしかしたら同じなのかもしれません。
転職を考えるときもそうです。
今の道をそのまま進むのか。
少し違う道へ出てみるのか。
遠回りに見える選択をしてみるのか。
答えは簡単には出ません。
でも、視点を変えてみることで、今まで見えなかった自分の感覚に気づくことはあります。
「この道しかない」と思っていたものが、実はそうでもないとわかることがあります。
最短ルートでは見えないものが、少し遠回りした道の中に残っている。
バスに揺られながら、そんなことを少し考えました。
ふて猫は、窓の外を眺めながら言います。
「人間、遠回りしたときほど、自分の現在地が見えることがあります」
遠回りは、いつも正解ではありません。
でも、遠回りだからこそ気づけることはあります。

明日ドヤれる一言
最後に、明日ちょっとドヤれる一言です。
最短ルートでは見えないものが、遠回りの中にはちゃんとある。
同じ目的地でも、行き方が変わると見える景色も変わります。
同じ道でも、歩行者として見るのか、バスの乗客として見るのかで感じ方は変わります。
同じ人生でも、いつもの視点だけで考えていると、見落としているものがあるのかもしれません。
早く着く道は便利です。
でも、ゆっくり進む道には「途中」が残ります。
今日は、電車より時間も料金も倍以上かかりました。
でも、乗らないとわからなかった発見がありました。
効率だけで見れば遠回り。
タイパやコスパで考えれば、今回のバス移動はあまり正解ではなかったのかもしれません。
でも、気づきとしてはプライスレス。
たまには、そんな移動も悪くないのかもしれません。
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