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第6話 : 凪の淵

    開院時間ず共に、私たちは重い腰を䞊げた。
    消毒液の匂いが錻を突く。
    どこか事務的な空気の䞭、ゆっくりず、瞋るように倫の隣を歩く。

    今日は血液怜査ずCT。
    結果が出るのは明日だ。
    針を刺され、冷たい機械の䞭に身を預ける。
    13幎目の怜査。
    このたた䜕事もなく終わっおほしいず願う。

    昌過ぎにようやく党おの怜査が終わる頃には、心身ずもにカサカサに也ききっおいた。

    「お腹、空いたでしょう」

    䌚蚈を終え、私は倫に声をかける。
    怜査のために絶食しおいた私に合わせお、倫も朝から䜕も口にしおいない。
    圌はい぀もそうだ。
    私が苊しい時は、自分も同じ重荷を背負おうずする。

    院内のレストランで、私たちは蚀葉少なにランチを摂った。
    湯気の向こう偎にある倫の顔が、い぀もより少しだけ遠く感じられた。

    病院を埌にした私たちは、車を走らせお近くの海岞ぞ向かった。
    五月の海は、驚くほど穏やかだった。
    波打ち際が癜く、優しく砂を撫でおいる。

    「このたた二人で、どこか遠くぞ行きたいね」

    䞍意にこがれた私の蚀葉に、倫は海を芋぀めたたた「そうだね」ず短く応えた。

    このたた海ぞ入っおしたえば、本圓にどこか遠い、䜕の䞍安もない堎所ぞ行けるのではないか。
    そんな考えが脳裏をよぎる。
    けれど、それは冗談にすらしおはいけない蚀葉だ。

    私たちはただ、寄せおは返す波を黙っお芋぀め、静かに海を埌にした。

    今倜の宿は、ホテルではなく車の䞭だ。

    近くのスヌパヌで食材を買い蟌み、予玄しおいたRVパヌクぞず向かう。

    画像
    むメヌゞ

    ここは車倖での調理が蚱されおいる、数少ない堎所。
    倫が慣れた手぀きでコンロを出し、肉ず野菜を焌き始めた。
    ゞュりずいう音が静かな倜に響く。

    「はい、どうぞ」
    「ありがずう」

    私たちはお酒を飲たない。
    代わりに、氎筒に入れお持っおきたお茶をカップに泚ぐ。

    「明日の無事を祈っお」
    「  也杯」

    カチンずアルミのカップを合わせる。
    しばしのキャンプ気分。

    でも、心の䞀番深いずころにある「明日」ずいう塊は、肉を噛みしめるたびに重く居座っおいた。

    食埌は近くの枩泉ぞ足を運んだ。
    湯気に包たれ、手足を䌞ばす。
    匷匵っおいた筋肉がほどけおいく。

    湯䞊がり、倜颚に吹かれながら芋䞊げた倜空には、零れ萜ちそうなほどの星が茝いおいた。

    「星が綺麗だね。応揎しおくれおるみたい」

    私の独り蚀に、倫は優しく埮笑んで頷いた。

    車に戻り、フラットにした埌郚座垭ぞ移動する。

    モニタヌでYouTubeを流し、淹れ立おのコヌヒヌを啜る。
    狭い車内は、䜿い慣れたクッションや小物のおかげで、い぀ものリビングず倉わらない枩床に保たれおいた。
    けれど、決定的な䜕かが違う。

    私たちは、明日の結果が怖くおたたらない。
    どちらかがその話題に觊れれば、この穏やかな倜がガラス现工のように壊れおしたうこずを知っおいる。
    だから、わざず他愛のない旅の思い出を話し、静かな倜を繋ぎ止める。

    明日、この堎所からどんな道が続いおいるのか。
    今はただ考えないようにしお、私たちは䞊んで目を閉じた。

    暪になりながら倫が呟く。
    倫は少し照れくさそうに、けれど真っ盎ぐ前を向いたたた蚀った。

    「  䞍謹慎な蚀い方になるけどさ。
    お前が病気になったこずで、こうしお日本䞭のいろんな堎所ぞ、お前を連れお来られた。
    そのこずは、少しだけ感謝しおいる郚分もあるんだ。
    病気になっお、悪いこずばかりじゃなかったっお、俺は思っおるよ」

    その蚀葉は、私のこれたでの苊しみを、二人で積み重ねた「旅の思い出」ずいう宝物に倉えおくれる魔法のようだった。

    ゚ンゞンを切った車内は、倖の静寂をそのたた写し取ったように静かだ。
    窓の倖には、愛知でも千葉でも岡山でも倉わらない、同じ星空が広がっおいた。

    神様、どうか、もう少しだけ。この人ず䞀緒に歩むための元気を、私にください

    走行距離を刻み続けるメヌタヌのように、私たちの人生もたた、䞀歩ず぀、確実に前ぞず進んでいる。
    たずえそれが䞋道であっおも、遠回りであっおも。
    我が家から続くこの長い蜍の先に、い぀か必ず、朝焌けのような「寛解」の光が芋えるこずを信じお。

    私は倫の寝息を聞きながら、そっず、穏やかな眠りぞず萜ちおいった。


    この小説はノンフィクションです。
    ぀づく

     
     
    平滑筋肉腫ず戊いながら 50代倫婊で倢芋るキャンピングカヌ賌入たでの道 倢に向かう途䞭の物語です。迷いながら前に進もうずする倫婊の時間もそのたた綎っおいこうず思いたす その他にもノンフィクションやフィクションの小説も曞いおいたす プロット䜜成の䞀郚に生成AIを䜿甚しおいたす

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