
締切チキンレースに憧れる私
「三日徹夜して締切5分前に入稿した」
こういう話を知人から聞くと、体大丈夫かいな、とかなんで計画的に取り組まんのやろう、とか思うと同時にすごく羨ましい気持ちが湧きます。
私は締切には余裕を持って物事に取り組むタイプです。
学生時代から親や教師から、そうしなさいと指導されていたのもありますが、私の体質的にそうせざるをえなかったのもあります。
私は長時間集中力が続きません。
お腹が減ると、眠くなると、作業が一気に手につかなくなります。
締切ギリギリになると寝食を犠牲にして作業をする人がほとんどだと思いますが、私がそれをするとそもそも作業ができなくなるし、寝食をしっかり摂ろうとすると高確率で締切を破ることになります。
だから毎日コツコツ作業を続けます。
このおかげで学生時代から締切を破ったことはほとんどありません。
でも、締切を破ったことはなくても、いい評価を得られたことはありません。
大体作品でいい評価を得られる人は、冒頭の締切5分前に提出する人種だと私は思っています。
締切ギリギリにならないとやる気が出ない、と言う知人が周りにはいますが、私にとっては長時間集中できる力が羨ましい。
元々の才能もあると思いますが、長時間集中できて締切ギリギリだからこそ、極限状態になって感覚が研ぎ澄まされてよりいい作品ができる。
私も何度か締切ギリギリチャレンジを試みましたが、焦りが増すだけで結果には繋がりませんでした。
不可抗力で締切ギリギリになることもたまにはありましたが、あの時もう少し余裕を持ってできていればな、と後悔が残る一方でした。
何事も中途半端で自分が嫌になる日々でした。
憧れは募るのに、一生懸命取り組んでいるはずなのに、実りはしない。
ギリギリまで頑張れない自分がダメなんじゃないかと今でも思っています。
そうこうしながらも歳を重ね、大人になり、創作から遠ざかったり、別の創作をしてみたりしていました。
周りにはプロアマ関係なく創作をしている知人もいるため、ジャンルは違えど創作について話す時があるのですが、大人になった今、締切ギリギリ勢が口を揃えて言うことは
「歳を重ねて昔のように無理が利かなくなった」
ということです。
いや、私も何事も昔のようにはいかなくなりましたが、昔も特に無理はしていなかったので今も無理はせず、ご飯を食べたい時に食べ、寝たい時にめいっぱい寝ているので身体スペックはともかく、さほど創作環境は昔ほど変わっていません。
ずっと変わらずコツコツと作業し続けています。
友人の一人が
「締切ギリギリまで追い込むのは、命の前借りをして作品を輝かせている」
と言っていてなるほど、と思いました。
締切ギリギリになるとある種のゾーンの様なものに入るのでしょうが、寝食を犠牲にするということは健康を害するということです。
体力が無尽蔵にある若い頃ならいざ知らず、いつまでも無敵というわけには行きません。歳を重ねた今は健康にダイレクトアタックしてきます。
「長く続けるなら、計画的にコツコツするのが大切」
とも言っていました。
計画的にコツコツできても、成果が伴わないと辛いものですが、そういう考え方もあるなぁと気付かされました。
また、いつもお世話になっている鍼灸の先生に
「大したことないことですぐしんどくなったり、痛いって言っちゃったりして嫌だ」
と愚痴れば、
「体の不調を感じてすぐブレーキが掛けられるのは良いことですよ」
と言われて、これまた目から鱗でした。
しんどいと思って熱を測っても微熱程度で、自分はなんて堪え性のない人間なんだと常々思っていましたが、昨年初めてのコロナと小学生以来のインフルに罹り、久しぶりに39度台の発熱を体験しました。
どちらかというと39度の熱が出ている時より熱が上がりかけ、または下がりかけの37度前半の時の方が個人的にはしんどく感じました。
ということは、微熱の時ほどしんどく感じるのは、「今無理をしたら良くないぞ」という体からの信号を正確に受信していたのかと思いました。
無理ができない自分をずっと怠惰だと思っていましたが、そうじゃないかもしれないということに気が付いてちょっとホッとしました。
締切ギリギリまで粘るのは私の身体的には合わなさそうですが、やはり結果を出せることへの憧れはあります。
ですが、知人やSNSの声を聞くと締切に余裕を持って作業ができることへの憧れの言葉も聞くので、人間やはりないものねだりだなぁと感じた今日この頃です。