
【長編小説】第3話:そんな国、作ってません【転生したら、私が監修していた世界の神様でした】
転生したら、私が監修していた世界の神様でした
あらすじ
ゲームの監修者だった私が目を覚ますと、そこは自分が作り上げた世界だった。
しかも、私が世界を管理する神様?!
世界の運命は、私の『仕事』次第らしい。
第3話 そんな国、作ってません
赤い文字は、しばらく点滅したあと静かに消えた。
「……ねえ、今の見た?
なんか999日って出てたよね?」
「何のことでしょう?」
秘書の顔は涼しいままだったが、絶対気のせいじゃない。
問い詰めたい気持ちはやまやまだけど、今つついても無駄な気がしたので、ひとまず保留にした。
「...じゃあさ、管理端末っていうの?この板の使い方教えてよ」
「かしこまりました」
教えてもらいながら板をタップしていくと、地図が展開する。
タブレット端末に地図アプリが表示されているような見た目で、特に苦労せずに使えそうだ。
大陸、海、国境線。見慣れた形だった。
何百回と修正して、何百回と会議で睨めっこした地図。
懐かしさすら覚えながら、指で拡大していく。
国の名前、人口、産業。
ひとつひとつ、記憶と照らし合わせていく。
……あれ?
「ねえ、この国…」
「ロドンナール王国ですね」
「…知らない国なんだけど…」
「はい?」
今まで全部即答だった秘書が初めて聞き返してきて、ちょっとだけ溜飲が下がった。
地図上には、見覚えのない国境線があった。
北の山脈沿いに、小さな国がひとつ増えている。
国名も、旗も、通貨単位まである。
企画書にはない国が勝手に増えている。
「ですが、こちらの国は以前より存在しております」
「以前っていつから?」
「記録によりますと、約120年前からになりますね」
背筋がひやりとした。
自分が作った世界のはずなのに、自分の知らない歴史が、勝手に積み重なっている。
慌てて人物欄を開く。主要キャラクターの一覧ーーのはずが、見たことのない名前がずらりと並んでいた。
「この人たちは?」
「先ほどの、ロドンナール王国の王族の方々です」
つまり、私が作った世界の中で、私の知らない国が生まれて、私の知らない王族が、私の知らない歴史を積み重ねている。
「これ……私の知ってる世界と、違う」
秘書は初めて、少しだけ表情を変えた。
「その可能性はございます」
もう違うことは確実なのに、含みを持ったその言い方が、やけに気になった。
私は震える指で、もう一段階地図を拡大した。
見たこともない街並みが、光の中に広がっていた。
あとがき
読んでくださりありがとうございます!
約120年前ってのが現代から見てどれくらい前かというと、明治時代になります。
ロドンナール王国は、かなり新しい国って感じがしますね。
ちなみに日本は1000年以上前(数え方に派閥があるので穏便に...)、アメリカは250年前(2026年現在)に建国だそうです。
コメント、スキありがとうございます!!😭
とっても励みになります(なりました)✨