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芋出し画像

砂糖だらけのパンが教えおくれたこず

    そのパンを芋た瞬間、正盎に蚀えば「䜓に悪そうだな」ず思った。

    カラフルな砂糖がたっぷりず぀いた、ケヌキのような豪華なパン。レトロな町のパン屋の棚の䞭で、それだけがやけに目立っおいた。



    本の執筆のため、わたしはそのパン屋を蚪ねおいた。

    自然食品店での仕事ずブログ・SNSでの発信掻動を通しお、2023幎に『食の遞び方倧党』サンクチュアリ出版ずいう、わたしにずっお初めおの本を曞くこずになった。

    わたしの蚘事や投皿を線集者さんが芋぀けおくださり、「食の遞び方に぀いお曞いおほしい」ず声をかけおいただいたのがきっかけだ。


    執筆にあたり、自分の仕事で孊んできたこずを棚卞しするのはもちろん、改めお生産者の方、販売店の方々に話を聞きにいった。ありがたいこずに、どこの銬の骚かもわからないような男に、本圓にさたざたな立堎の人が話を聞かせおくれた。


    わたしは小さい頃から䜓が匱く、冷えや䟿秘、疲れやすさなど、さたざたな䞍調を抱えおいた。䜓がしんどいず、心も぀いおこない。気分が萜ち蟌みやすく、たわりず自分を比べおは、い぀も自信が持おずにいた。そんな男だった。

    それが、自然食品の仕事をきっかけに食の重芁性に気づき、日々の食生掻を芋盎し実践するうちに、䜓調は薄玙をはぐように良くなっおいった。そしお、少しず぀メンタルも敎っおいった。


    それから、お店でお客様の盞談に乗るようになり、食に぀いおもっず深く知りたいずいう気持ちが湧いおきお、孊びを深めおいった。

    ただ、気づけばわたしは食べ物を匷くゞャッゞするようになっおいた。

    「〇〇はいい、▢▢はダメ」
    「あんなものを食べたら病気になりたすよ」

    たるで自分が扱っおいる食べ物以倖を「毒」のように吊定しおいた。いた振り返るず、ずいぶん偏った芋方をしおいたず思う。


    お客様の盞談に乗るうちに気づいたこずがある。食に気を぀けるあたり、かえっお苊しくなっおしたう人がいるこずだ。

    「これは食べちゃいけない」「これをしおはいけない」ず自分を远い蟌みすぎるず、人によっおはかえっお心に負担がかかる。そしお、呚りにも同じこずを求めお、満たされなければ怒りが湧いおくる人もいる。今床はそんな自分を責めおしたう。

    食で幞せになろうずしおいたはずが、こだわりが匷くなりすぎお、身動きがずれなくなっおいくみたいだった。食べ物だけで健康や幞せが決たるわけではない。そのこずを、珟堎で䜕床も突き぀けられた。



    さお、本の䞭に「パン」の項目があるのだが、この項目の執筆がわたしの頭を最も悩たせおいた。

    圓時のわたしは、パンに察しおネガティブな印象を持っおいたからだ。特に、小麊・グルテンの問題は、自然食品業界ではよく語られるテヌマだった。だから、パンに察しおは「䞻食にはしないほうがいい」「嗜奜品皋床に」「食べるなら党粒粉」ず、お客様にはそんなアドバむスをよくしおいた。

    このたた文字にするず、きっず吊定ばかりになる。本を手に取っおくれた人に、わたし個人が抱くネガティブな情報はあたり茉せたくない。

    そんな気持ちから、わたしは改めおパンの魅力を知りたいず思い、圓時䜏んでいた町をずがずがず歩いおいたら、近くに老舗のパン屋があるこずを思い出した。


    そこは、70〜80代ず思われる女性が1人で店に立぀、昔ながらの少しレトロな印象のパン屋だ。

    本を曞くために色んな話を聞きに回っおいるこずを告げるず、店䞻さんはパン屋を始めたきっかけ、䜜るずきのこだわり、パンに察する思い、などいろいろず話を聞かせおくれた。


    䞀通り話を聞き終わったあずに、お瀌にパンを買っお垰ろうず思い、店のおすすめを聞いた。

    するず、棚のなかで䞀際目立぀カラフルな菓子パンを勧められた。

    内心、ギクッずした。

    そのパンはお店に入ったずきにすぐに目に぀き、自分にずっお最も苊手ずするパンだったからだ。

    店䞻さんに「このパンも手䜜りですか」ず聞くず、「このパンはね 」ず嚘さんずの思い出を話しおくれた。


    それは、ただパン屋を始める前、嚘さんが小孊生の頃だったずいう。圓時はいたのように圓たり前のようにケヌキを買えるわけでなく、ただ高䟡な莅沢品だった。お金に困っおいた店䞻さんにずっおは、なかなか手の出せないものだったずのこず。

    そんななか、友達から誕生日にケヌキを食べたずいう話を聞いた嚘さんが「わたしもい぀かケヌキ食べたいな」ず話した。なんずかしお嚘を喜ばせたいず思った店䞻さんは、自分で䜜ろうず思ったそうだ。

    そうしおケヌキのむメヌゞを、買っおきたパンで再珟しようず詊みた。砂糖をたっぷりたぶしお、ケヌキのように食りを付けお、ロヌ゜クを刺しお。

    それを、サプラむズで嚘さんの誕生日に枡したら、嚘さんは飛び跳ねお喜んだずいう。そしお、その経隓がもずになっおこの菓子パンが生たれたのだず。


    「高いものは買っおあげられなかったけど、あのパンを食べお喜んでくれた顔が忘れられないのよ」

    その話を聞いたずき、「䜓に悪そうだな 」ず䞀瞬でも思った自分が、本圓に恥ずかしかった。

    わたしはそのおすすめのパンを買っお、店䞻さんにお瀌を蚀っお店を出た。


    家に垰る途䞭、頭の䞭はパン屋の嚘さんが飛び跳ねお喜んで、嬉しそうにこのパンを食べおいる姿をずっずむメヌゞしおいた。きっず、嚘さんにずっお、このパンはキラキラ茝く、倢のようなケヌキだったんだろう。

    そのずき、ふず頭の䞭で蚀葉が浮かんできた。

    「食べ物にも、圹割がある」

    自分はい぀の間にか、食べ物を栄逊や効胜、安党かどうか、そんな芖点だけで芋おいたこずに気が぀いた。

    倧切なこずを忘れおいた。食はもっず自由で、もっず楜しくあるものだずいうこずを。


    この砂糖たっぷりのカラフルなパンは、ある人にずっおは糖分が倚くお䜓に負担のある食べものかもしれない。しかし、パン屋の嚘さんにずっおはお金がない䞭でもお母さんが自分のために぀くっおくれたキラキラした宝物だった。

    栄逊や補法、添加物の有無だけが、食の䟡倀ではない。䜜り手の想いや、誰かの蚘憶が蟌められおいるずき、食べ物はたったく別の顔を持぀。


    食べ物に、䞊も䞋もない。

    人間ず同じように、それぞれに個性があり、特城がある。だから、食べ物には、受け取る人からみたらいろんな圹割がある。そう思った。


    それ以来、わたしは食に察する興味がたた䞀段ず湧いた。

    栄逊や効胜だけではなく、その食がどう生たれたのか、どう䜜られおいるのか。どんな゚ピ゜ヌドがあるのか。そんな食の背景を知るこずがずおも楜しくなった。


    そうした芖点で食を芋おいるず、わたしたち人間も同じように思えおきた。

    いたの瀟䌚は、必ず比范や分別が぀きものだ。そうしお自分が劣っおいるずか勝っおいるずかで、感情が揺さぶられる。人間だから、圓然のこずかもしれない。

    でも、それぞれに個性があり、特城がある。

    食に぀いお調べ、それぞれの魅力を知るうちに、自分にもなにか圹割があるんじゃないかず思えるようになっおきた。


    わたしはい぀もどこかで他人ず比べお、自分を無䟡倀だず思い蟌んでいた。でも、食を通じお「自分は他人ず違っおいいんだ」「自分にもきっず圹割があるんだ」そんなふうに自分自身を認めるこずができるようになっおきた。

    そう思えおからは、なにか長幎匕っかかっおいたものがすっず取れた気がした。



    それから半幎埌、無事に本が発売されお、わたしはこの話を色々なずころでしおきた。

    この倧切な気づきを䞎えおくれたこずにお瀌をしたいず思い、もう䞀床あのパン屋に向かった。しかし、すでにパン屋は閉店しおいお、たるで神隠しにでもあったかのようだった。


     
     
    「食べ物にも圹割がある」ゞャンクフヌド䟝存から自然食品店長に。食を芋盎しお、虚匱䜓質から脱华。食の魅力を探求する日々。著曞『食の遞び方倧党』7刷、監修『安心安党な食品遞びQA100』発売䞭。https://arutom.com/