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Photo byarusakka

『迷探偵 沖田』第28話:書庫の断片

    久世が遺した「砂の道」を辿り、沖田と志乃は『記憶の墓場』のさらに奥、観測者さえも立ち入ることができない「デッド・セクター」へと侵入した。  そこは、沖田宗一朗が最期に構築した、物理的な書庫だった。

    カビ臭い空気。天井まで届く、古びたハードディスクの山。  そして、部屋の中央には、幼い頃の沖田が描いた「三つの鍵」のスケッチが飾られていた。

    「……ここが、親父の本当の心臓か」

    沖田は、電源の入っていないコンソールに手を置いた。  指先から伝わる振動。  彼は鍵を一つずつ、特定の端子へと差し込んでいく。

    「真実、その一。……沖田宗一朗の目的は、人類の進化などではなかった。……彼はただ、エミという一人の女性の魂を、世界のあらゆる悪意から隔離し、守りたかっただけだ」

    画面が起動し、数万枚の設計図が高速で流れていく。  そこには、瑞穂さんの身体をベースにした「人格分割保存システム」の詳細が記されていた。

    「真実、その二。……エミの魂を三つに分けたのは、組織ではなく、僕の父親だ。……組織が彼女を利用しようとした時、親父は彼女を三つの鍵――この真鍮、銀、鉄に分割して隠したんだ。……つまり、この鍵自体が、エミの『本体』だったんだよ」

    志乃は、自分の手に握られている鍵を見つめた。  温かい。  まるで、一人の女性が、そこに息づいているかのように。

    「……じゃあ、瑞穂さんの中にいるエミの影は?」

    「真実、その三。……それは、親父が残した『偽物の道標』だ。……組織に本当の場所を悟らせないための、美しくも残酷なデコイ(囮)だよ。……本物のエミは、僕たちがこの鍵を回すまで、ずっと僕のポケットの中で眠っていたんだ」

     
     

    MEGURI

     
     
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