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御札

    回覧板で御札購入の希望を尋ねる紙があった。
    私は何か特別に信仰しているわけではないが、
    なんとなく、購入希望に丸をつけて回した。

    当時私が住んでいた地域では、
    何百年も前から続くお祭りが行われていたこともあり、
    町全体の雰囲気として、どこか神様といった存在が身近に感じられた。

    しばらくすると、御札が届いた。
    おばあちゃん家や実家には神棚らしきものがあったと思うが、
    その時の私は町営住宅でひとり暮らしをしていて、
    そんな大層なものは持ち合わせていなかった。

    とりあえず、棚の端にスッと差し込んで置いておいた。

    ある日、録りためたテレビを観ながらご飯を食べていると、
    ガタッと音がして、
    壁際に置いてある白い棚の上の段の底板が外れたようだった。

    えっ、まだ買ってからそんなに経ってないのにと思いながら見てみると、
    底板の片側が外れてしまっていた。

    セロハンテープの台が重かったのかなど、ぼんやりと原因を考えつつ、
    棚を壁から離して裏側を見てみると、
    なんと、その外れた場所のちょうど真裏に、カビのようなものが生えていた。

    えっ、棚って、カビるの?!
    しかもこんな一部分だけ極端にと驚きつつ、
    このカビが生えてる部分に何が入れてあったっけと思い、
    ひとつずつ棚の中身を出していった。

    すると、いつの日かひょいっと差し込んだまま放置していた、
    御札が出て来た。

    私はその瞬間、なぜか「あ、これだ」と思った。
    根拠なんてない。ただ、その時の私は「御札を放置していたことを教えられた」としか思えなかった。

    急いでネットで神棚がない場合の御札の祀り方を検索し、
    その棚の上の壁に祀った。

    棚も知り合いに使えるようにしてもらい、
    それからは、棚の上にお米やお塩や供え物を置くなどして、
    毎朝神様に挨拶をし、私なりに神様を大切にするようにした。

    その土地が自然豊かな場所だったこともあり、
    私は日常の中で、ハーブなどのアロマやキャンドル、天然石など、
    自然の物を暮らしに取り入れる生活に少しハマっていた。

    ある日、お風呂場でキャンドルを焚いてお気に入りの天然石も置き、アロマバスソルト入りの湯船に浸かってリラックスしながらボーっと考え事をしていると、頭の中に、少し野太い感じの男の人の声が入ってきた。

    えっ、だれ?!と思い、とりあえず頭の中でだか声に出したかは定かではないが、誰ですか?と尋ねると、
    あちらとしても少し驚いているような様子で、明確な説明ではなかったが、どうやら人間がいうところの、神様のうちの一人のようだった。

    一緒に、なぜこんなことが起きたのかを考えていると、どうやらお風呂場の環境が関係しているらしかった。
    水、火、石、木。
    そんな条件が偶然そろっていたようだった。

    その声が本当に神様なのか、私には今でもわからない。
    でも、その存在は自分のことをそういうものだと話していた。

    それが、どんな存在でどんな現象なのかは私にはわからない。
    ただ、その出来事をきっかけに、神様という存在は、私にとって少しだけ身近なものになった。

    #創作大賞2026
    #エッセイ部門

    #世界の見え方が変わるまで
    #見え方が変わると 世界は少し面白くなる。


     
     
    日常で起きた出来事を、そのままエッセイにしています。 「世界の見え方が変わるまで」シリーズ更新中。 見え方が変わると、世界は少し面白くなる。

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