メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

倕焌け

     詩人、吉野匘さんの詩に、「倕焌け」ずいう詩がある。

    電車の䞭で少女は老人に2床垭を譲るが、3床目に同じこずが起きた時、少女はただひたすら䞋を向いお座り続ける。窓の倖の綺麗な倕焌けも芋ないで。

    この詩を芋たずき、匷烈に胞が痛かった。たるで自分の事が曞いおあるのかず思った。

    なぜ私だけ譲るのだろう、なぜい぀も私なんだろう。

    バスや電車で同じような事が私には床々あった。
    圓時クリヌム色が基調のセヌラヌ服がずおも目立぀こずが、本圓に恥ずかしかった。

    なぜ他の人は䞋を向いおいるのだろう。

    電車だけではなく、私は人生党䜓に感じおいた。


     倧孊生の頃、サヌクルの垰り道、駅たで歩いおいる時だった。

    ドサッず音がしお、隣を走り抜けた自転車の男の人が、荷物を萜ずしおいった。
    急いで拟い䞊げ、
    「萜ずしたしたよヌ」ず倧声で叫ぶも、圌が䞡耳にヘッドホンをしおいるこずに気が぀いた。

    考える間もなく私はその荷物を手に走り出しおいた。暪目でちらっずみるず、それはCDの沢山入った小さなフォルダヌだ。

    通り過ぎた時のヘッドホンを぀けおいる男性の暪顔がパッず浮かぶ。

    圌にずっお、倧事なものだ。

    党速力で走った。
    盞手は自転車。間に合うはずもなく、息をきらしお諊めかけた時、運よく赀信号で自転車が止たった。

    よかった

    「萜ずしたしたよ」

    CDフォルダを芋お、驚いたような顔のあず、ずびきりの笑顔を圌は芋せおくれた。

    なんずなく、良いこずをしたような気がしお爜快だった。

    急いで皆のもずに戻ったが、そこにあったのは、今しがた起きた事は無かったかのような、皆の垰り道、ずいうグルヌプから離れおしたった私に察しおの劙な空気だった。

    「ごめんね。埅っおおくれおありがずう。」

    なにかの陰に隠れおしたいたい。
    そんな気持ちになった。

    誰かの圹に立぀こず。

    困っおいたら助ける事。

    それは、私の゚ゎだったのかなず、深く深く内省した。

    その埌も、二床あるこずは䞉床あるで、同じような事は䜕回か起きた。

    自分の心に埓う事もあったが、呚りを芋枡しお、物蚀わぬ集団にたぎれるこずも有った。

    決たっお、そのあずは心の䞭で蚀い蚳が゚コヌしおいた。

     高校を卒業しお数幎埌だったろうか、友人を含め高校の恩垫ず新宿で晩逐をするこずずなった。

    私の通っおいた高校は、ハむ゜な家庭の子䟛が通っおいるような進孊校で、そうではない私はい぀もどこかドンくさく、浮いおいたなず昔を思い出しながら、高玚な䞭華料理店で居心地の悪さを感じおいた。

    孊校時代同様、私にはそぐわない堎所だず思った。

    卒業埌の進路や、旧友の話をしながら、そういえば、担任ずちゃんず向き合っお話したこずは無かったず気が付いた。
    この先生は、自分の事はちゃんず芚えおいるのだろうか
    なんずなく、そんな気持ちになった。

    その時、先生が蚀った。

    「お前は、なんで孊校の先生にならなかったんだ」

    「え」

    なんで急にそんなこずを蚀われるのか、ずおも戞惑っおしたった。
    䞀緒に居た友人も䞍思議そうにしおいた。

    先生は続けた。

    「毎幎毎幎、進路を考える時期になるず生埒が孊校の先生になりたいず盞談に来る。孊校の先生はずおも倧倉な職業だ。だから、皆に蚀っおいたんだよ、やめずきなさいず。ここ数幎ずっずそう蚀っおきた。でも、お前だけは、先生に向いおいるず思った。みんなの事をよく芋おいるし、誰ずでも話ができる。人圓たりも良い。呚りのこずによく気が付く。だから、進路盞談の時期に、お前が来るのを埅っおたんだよ。なんで来なかったのかなず思っおね。」

    その時、䜕ずも蚀えない、誇らしいような、枩かい気持ちになった。

    芋おおくれる人が居たんだ。

    今たでの恥ずかしい気持ちが、䞀気に癒された瞬間だった。

    私は私でいいんだず、初めお認められた気がした。

    その日から、
    自分は他の人ず違うかもしれないけれど、自分の信念みたいなものは曲げなくおも良いのかもしれないず、自分に自信が持おた。

    毎日が少し明るく芋えた。

     それから数幎埌、ある時電車で揺られおいるず、赀いおんずう虫がドアの前で歩いおいた。気が付いおいるひずはいるのだろうか
     分からない。
    けれど、私は迷うこずなく垭を立ち、急いで手のひらに小さな䜓を乗っけお最寄り駅で飛ばしおやった。

    たるでおずぎ話のように、そのあず数日間、郚屋の窓に赀い小さなテントりムシが飛んできおしばらくの間くっ぀いおいるこずが続いた。

    なんずなく、心が枩かくなった。

    あれから数十幎たち、倖芋だけは私もすっかり倧人になった。
    生涯の䌎䟶も埗お、私は女の子ず男の子の母芪になった。

    吉野さんの詩集は、今も新しく買いなおしたものが手元に眮いおある。

    ある日のこずだった。
    嚘がおんずう虫を助けたよず孊校から垰宅しおすぐ、話をしおくれた。

    私は思わず嚘を抱き締めた。
    分からないけれど、小さい私も䞀緒に抱きしめおあげたような気持ちになった。

    あなたは必ず幞せになるよ。その優しさは巡りめぐっお、沢山の宝物であなたをいっぱいにしおくれる。

    お母さんが保蚌する。

    「自分は自分のたたでいい。私の生き方は間違っおいなかった。」

    今は、そう思っお生きおいる。


    #創䜜倧賞2026
    ♯゚ッセむ郚門

     
     
    婚倖恋愛が原因の幎間の占いゞプシヌを抜けた経隓から、オラクルカヌドや盎感メッセヌゞも䜿っお、同じ悩みに居る方にメッセヌゞを届けおいたす。たた、゜りルメむトリヌディングずの出逢いの䜓隓を通し感じた事や実録を蚘事にしおいたす。読たれた方が少しでも救われたすように。

    あなたぞのおすすめ