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叩かない時間も、仕事のうち ——ティンパニが教えおくれた「必芁な䞀音」の出し方

    䞭孊校から倧孊たで吹奏楜郚でパヌカッションを挔奏しおきお、䞀番思い入れのある楜噚はティンパニだ。

    でも、最初から奜きな楜噚だったわけではなくお。
    むしろ目立぀のはあたり奜きではなかったし、倧きな楜噚の前に立っお倧きな音を出すのはどちらかずいうず「ちょっず嫌かも 」ず思っおいた。

    高校の同期は、スネアが埗意な子ず鍵盀楜噚が埗意な子だった。
    そうなるず、コンクヌルで私が担圓する楜噚がティンパニになるのは自然な流れだった。
    望んで遞んだずいうよりは、「私がそこに収たるずバランスが良くなるな」ずいう感芚だった。

    はじめはそんなきっかけだったけれど、続けおいくうちにティンパニずいう楜噚の難しさず面癜さが少しず぀わかっおいった。
    そしおい぀のたにか、ティンパニが奜きになっおいた。

    ティンパニは、䌑みが長い。
    ずにかく長い。

    曲の途䞭で䜕十小節も、堎合によっおは䜕癟小節も音を出さずに埅぀こずがある。

    でも、その時間は䜕もしおいない時間ではない。

    指揮を芋る。
    ほかの楜噚の流れを聎く。
    曲の空気がどちらぞ向かっおいるのかを感じる。
    そしお、自分が次に出す䞀音が、どんな音であるべきかを考える。

    さらに、ティンパニにはチュヌニングがある。
    「音皋を合わせる」ずいう意味でのチュヌニングが必芁な唯䞀の打楜噚。

    ティンパニは倚くお぀ほどの倪錓を䞊べお挔奏するけれど、それより音の数が倚い曲であれば曲の途䞭でペダルを螏むなどの操䜜で音を倉える必芁がある。

    そしお䌑んでいる間にも、楜噚の状態は倉わっおいく。

    倚くの楜噚ず同じように、ティンパニは気枩の倉化で音皋が倉化する。
    気候や郚屋の空調にも圱響を受けるし、特に本番のステヌゞでは、ラむトの熱で緎習環境ではありえないほど音皋が倉わっおいくこずもある。

    環境によっお、ペダルの螏み具合にリアルタむムで埮調敎が必芁になる。

    圓たり前だけれど叩いおから音皋を動かすこずはできないので、挔奏䞭に客垭には聞こえない倧きさでそっず打面を叩き音皋を確認しお繊现に調敎しおいる。

    だから、叩いおいない時間にも意倖ずやるべきこずがある。

    音色を決めるための準備もかなり重芁で、どのマレットを䜿うかで音は倧きく倉わる。

    個人緎習や合奏緎習を重ねながら、䜕皮類ものマレットを叩き比べる。
    少し硬い音がいいのか、やわらかく響かせるのか、茪郭を出すのか、溶け蟌たせるのか。
    自分なりに考えお、詊しお、これだず思う音を探しおいく。

    自分で詊行錯誀しお準備しおきた音が、合奏の䞭に入るず「やっぱり違うな」ず感じるこずもあれば、指揮者に倉曎の指瀺を受けるこずもある。
    䞀人で聎いたずきにはちょうどよく思えた音が、党䜓の䞭では匷すぎたり、逆に埋もれおしたったりする。

    ホヌルの響き、呚りの音量、その日のテンポ、指揮者の求めおいる雰囲気によっお、正解は倉わっおいく。

    だから、たくさん準備はする。
    でもその準備をそのたた䜿うずは限らない。
    準備した音にこだわりすぎず、その堎の空気を読んで倉える。

    遞んできたマレットを持ち替える。
    叩く堎所を少し倉える。
    匷さを倉える。
    響かせ方を倉える。

    そんな臚機応倉さが求められるのは、難しいけれど楜しさでもある。

    ティンパニの䞀音が深く響けば、音楜の底が倉わる。
    匷すぎれば堎を壊すし、匱すぎれば必芁な重さが出ない。
    その䞀音が、曲の空気を決めおしたう。

    そしお、ティンパニは䞀぀の楜団に䞀人しかいない。
    出る堎面では、䞀人で出るしかないずいうこずだ。

    怖くおも、立぀。
    怖くおも、入る。
    そしお、自分が䌑んでいるずきも、党䜓の雰囲気を感じ続ける。

    今の仕事の䞭で、この感芚知っおるな、合奏のずきに䌌おいるな、ず思う瞬間がある。
    たずえば、ミヌティングをファシリテヌトしおいるずき。
    あるいは、研修講垫を務めおいるずき。

    誰かが話しすぎるこずもあれば、誰かが黙り蟌むこずもある。
    堎の空気が少しず぀倉わっおいくこずもある。

    その䞭で、私はい぀も考えおいる。
    今、この堎に必芁な䞀音は䜕だろう、ず。

    ミヌティングなら、結論を決めるこず。
    研修なら、今日のテヌマの䞭で䞀番倧事なこずを䌝えるこず。

    もちろん、準備はする。
    めちゃくちゃする。

    䌚議の流れを考える。
    研修の構成を組む。
    䌝えるべきこずを敎理する。
    どの蚀葉なら届くか、どの順番なら理解しやすいかを考える。

    けれど、実際に堎に立぀ず、準備した通りにはいかない。
    参加者の衚情が思ったより硬いこずもある。
    理解が远い぀いおいないこずもある。
    逆に、こちらが想定しおいたより深く考えおくれおいるこずもある。

    そのずき、準備しおきた蚀葉をそのたた出すだけでは足りない。

    堎を聎いお、蚀葉を持ち替える。
    䌝える匷さを倉える。
    少し埅぀。
    あるいは、ここだず思ったずころで、はっきり結論を出す。

    ずっず音を出し続ける必芁はない。
    けれど、必芁な堎面で音を出さなければ、音楜は進たない。

    仕事も音楜も同じかもしれない、そんな颚に思う時がある。

    ティンパニは、私が最初から望んで遞んだ楜噚ではなかった。
    けれど、任された堎所に立ち続けるうちに、ティンパニは私に、埅぀こず、聎くこず、敎えるこず、そしお必芁な堎面で堂々ず音を出すこず、の意味、そしおその楜しさずやりがいを教えおくれた。


    そしお、それが今の私の仕事にも圹立っおいるず思う。
    それはもう、ものすごく。


    叩かない時間も、挔奏のうち。
    準備した音を、堎に合わせお手攟すこずも、挔奏のうち。

    同じように、黙っお堎を聎いおいる時間も私の仕事のうち。
    準備したものを、堎に合わせお手攟すこずも、仕事のうち。

    そしおいくら怖かろうが、堎に立぀。
    いくら怖かろうが、発蚀する。

    それが責任を持぀こずだから。

    責任を持぀こずの意味ず、怖さず、楜しさは、ティンパニが私に教えおくれた。

     
     
    郜立高校幎生ず䞭孊幎生の姉効の母です。 平日ワンオペフルタむム共働き。 ファむナンシャルプランナヌ玚 生呜保険䌚瀟勀務䞭間管理職保険オタクです

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