酒好きのがん患者よ、0.00%を飲め。|岡山大学のノンアル×肺がん研究が面白すぎた
私はお酒が好きです。
がんになったからといって、突然、
「今日から白湯だけを愛して生きます」みたいな人格には、残念ながら生まれ変わっていません。
ビールが飲みたい。
風呂上がりに飲みたい。
仕事が終わったら、カシュっとやって、
「くぅぅぅぅぅーーーー!!!」ってやりたい。笑
でも、私は今、できるだけ長く生きたい。
ここは本気です。
そして、酒飲みには悲しいお知らせなのですが、2026年6月、国立がん研究センターは「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を更新しました。
お酒についての推奨が、「節酒する」から「飲酒をひかえる」へ。
少量の飲酒でもがんのリスクが上がることが示されてきたため、がん予防という観点では、「ほどほど」ではなく「飲まないことがベスト」という方向に変わったそうです。
チーン。
…分かった。
分かったよ。
寿命を縮めたいわけじゃない。
だったらアルコールは、
我慢してやんよ!!!
その代わり。
0.00%を飲ませろ!!!!
実は、前にも同じことを調べていた
今回、がんと食事についていろいろ調べている中で、ふと思い出したことがあります。
この研究。
私、前にも見たことがある。
まだ乳房を全摘する前。
がんが見つかって、これから手術という頃。
私は、どうしても酒が飲みたかった。
いや、そこは我慢しろよ。
という話なんですが。
酒好きというものは、そう簡単には諦めません。
たぶん当時の私は、
「がん 酒 飲んでいい」
「がん ビール」
「ノンアルコールビール がん」
みたいなことを、せっせと検索していたんだと思います。
そこで出会ったのが、
岡山大学の「ノンアルコールビールと肺腫瘍」の研究。
当時の私は、
「ほら見ろ!!!ノンアルならいいじゃないか!!!」
くらいのテンションで読んでいた気がします。
そして今回。
食事やアルコールについて改めて調べていて、
あ。あの記事あったじゃん。と思い出した。
せっかくなので今度は、酒飲みの希望的観測だけで終わらせず、
原著論文まで掘ってみることにしました。
だって日本の神々も酒好きじゃないか
そもそもですよ。
日本では昔から、神様にお酒をお供えします。
御神酒です。
神事にも酒。祭りにも酒。神話にも酒。
となると私は思うわけです。
酒にはきっと、何か聖なる力が宿っているに違いない。
科学的根拠はありませんけども。
完全に、酒飲み側からの希望的観測です。
でも、日本の神々があれだけ酒と親和性が高いのだから、何かあるんじゃないか。
こう……何か……神秘的な何かが。
しかし。
神々はともかく、私は人間です。
しかも今、できるだけ長く生きたい人間です。
なので、「神様も飲んでるからヨシ!」だけで突っ走るわけにはいかない。
国立がん研究センターが、「節酒」からさらに一歩進んで、「飲酒をひかえる」まで言い始めたのなら、分かりましたよ。
アルコールは、0.00%で我慢してやんよ!!!
で、岡山大学の研究は本当にあった
ありました。見つけました。
酒飲みの脳が作り出した、都合のいい幻覚ではありませんでした。
2023年、岡山大学の研究グループが、
ノンアルコールビールを摂取したマウスで、肺発がん物質による肺腫瘍が有意に減少した
という研究を発表しています。
研究で使われたのは、タバコ由来の肺発がん物質として知られるNNKを投与して肺腫瘍を発生させるマウスモデル。
そのマウスに、ビールやノンアルコールビールなどを摂取させました。
すると。
ノンアルコールビールを摂取したグループでは、
肺にできた腫瘍性結節の数が有意に少なかった。
具体的には、水を与えた対照群では、肺の結節が平均5.47個/匹。
それが、NAB(A)というノンアルコールビールでは、3.00個/匹。
そしてNAB(B)では、1.67個/匹。
……。
え。
めっちゃ減っとるやないか!!
論文では、NAB(A)とNAB(B)のどちらも対照群に比べて有意に少ない結果になっています。
岡山大学の公式発表でも、ビールやノンアルコールビールを摂取した条件によって、15匹中3〜8匹には悪性腫瘍が発生しなかったと紹介されています。
待って。
ノンアル。
急に、夢の飲み物みたいになってきた!!✨笑
ただし、「肺がんが治った」研究ではない
ここで一度、酒飲みのテンションを下げます。
これ、ものすごく大事なので。
私の昔の記憶では、「ノンアルビールを飲んだら肺がんが縮んだ」
くらいに変換されていました。
人間の記憶とは恐ろしい。
正確には違います。
この実験では、マウスは生後4週からノンアルコールビールを含む餌を摂取し、その4週間後にNNKを投与されています。
つまりざっくり言えば、
先にノンアルを摂取する
↓
肺発がん物質NNKを投与
↓
その後にできた肺腫瘍を調べる
という研究です。
すでに肺がんがある人にノンアルコールビールを飲んでもらって、
「腫瘍が縮みました!」という臨床研究ではありません。
ここは超重要。
だから、「ノンアルコールビールを飲めば肺がんが治る!」
なんてことは言えません。
残念!
そこまで酒飲みに都合のいい世界ではなかった!
でも、それを差し引いても、研究としてめちゃくちゃ面白い。
研究では、DNA損傷の修復や、細胞増殖に関係するAkt・STAT3などのシグナルへの作用も検討されています。
一方で研究者自身も、候補として調べたグリシンベタインやシュードウリジンだけでは作用をすべて説明できず、ほかの成分が関わっている可能性を指摘しています。
……。
ますます気になるじゃまいか。
で、マウスは何のノンアルを飲んだのよ?
ここまで読んだ酒飲みなら、当然ここにたどり着くと思います。
商品名を教えろ。
私も飲む。
論文を見てみました。
しかし、書いてない!!!
研究では市販のノンアルコールビールを岡山市内の店舗で購入していますが、商品名ではなく、
NAB(A)
NAB(B)
などのサンプルコードになっています。
メーカー名も商品名も、伏せられている。
ぬおおおおおお!!!
でも、ヒントはあります。
今回、マウス実験に使われたNAB(A)とNAB(B)のうち、NAB(B)は、
ドイツから輸入されたアルコール0%の商品。
そして論文の表では、主な原材料として、麦芽・ホップ・酵母と記載されています。
しかも、このNAB(B)。
マウス実験では、5.47個だった肺結節が平均1.67個まで減ったほうです。
……。
お前は誰だ?
ヴェリタスブロイ、お前なのか?
成分表から攻めろ!!!!
ということで、日本で買えるものを探していると、ものすごく気になるノンアルコールビールが出てきます。
ヴェリタスブロイ。
ドイツ原産。
アルコール0.00%。
モルトとホップを使った、本格的なノンアルコールビールです。メーカーによると、通常のビールを造ったうえでアルコールを0.00%まで除去するタイプ。
……。
似ている。
お前なのか?
ただし、ここも大事なので、酒飲みの暴走を自分で止めます。
NAB(B)がヴェリタスブロイだったという証拠はありません。
論文には商品名が書かれていないので、
「岡山大学がヴェリタスブロイで実験した」とは言えません。
ドイツには同じようなノンアルコールビールがほかにもあります。
なのでこれは、「条件が似ていて気になる」というだけの話。
でも、気になるじゃん?
私は飲むよ。
だって、そもそもビールが飲みたいんだもん。
飲んだ感想としては、
一度ビールとして作り上げてから、アルコールだけ抜く手法なだけあって、
しっかり麦の味がしてウマイ!✨
普段飲みにはドライゼロもいい
そして研究ロマンとは別に、普通に、
ビールの代わりとしてうまいものが飲みたい。
ということで、アサヒ ドライゼロ。
こちらもアルコール分は0.00%。
アサヒビール自身が「キレのあるうまさ」を打ち出している商品で、2026年現在もアルコール分0.00%、純アルコール量0gと表示されています。
風呂上がりに、冷蔵庫から出して…
プシュッ。
そして、
くぅぅぅぅーーーー!!!
これができれば、私はかなり満足です。
味の感想としては、
ビール飲んでる感がある!さすがアサヒスパドラァァァイ!
けど私、元々コーンスターチが肌に合わないようなので、今後飲むならヴェリタスブロイかな。
ちなみに論文のマウス実験は、
「毎日ノンアルを350ml缶で1本飲ませました」みたいな話でもありません。
NAB(A)とNAB(B)を凍結乾燥し、水に溶かして通常の2倍相当の濃度にしたものをマウスの餌に混ぜ、継続的に摂取させています。
なので、「人間も毎日1缶飲めば同じ!」とは換算できません。
そこは盛らない。
科学は科学。ロマンはロマン。酒は酒。
まあ、そこは都合よく解釈せずにいきましょう。
私は普通に飲みたくなったら、ノンアル飲みますけど。笑
岡山大学さん、次は人でやりませんか?🤣
しかしここまで調べたら、私は当然こう思うわけです。
岡山大学さん。
これ、次は人でやりませんか?🤣
もちろん、今の段階で「ノンアルコールビールを飲めばがんが治る」
なんてことは言えません。
今回の研究はマウス。
しかも、すでに存在する肺がんを治療した臨床研究でもありません。
だからこそ、じゃあ、人ではどうなんだろう?
って気になる。
ノンアルコールビールに含まれる成分と、発がんや腫瘍形成との関係。
あるいは将来、がん治療との組み合わせについて調べる研究まで進んだら、めちゃくちゃ面白いと思うのです。
私は現在、がん治療を受ける側の人間です。
もし今後、条件の合う臨床研究が始まるのであれば、
「はい!参加したいです!」と手を挙げたいくらい。
もちろん、これを理由に標準治療をやめて「ノンアルで治すぞ!」なんて話ではありません。そんなアホなことはしません。笑
そこは全然違います。
でも、治療を受けながら参加できる研究なら、普通に気になるじゃないですか。
岡山大学の先生方。
もしこの記事が届きましたら、続報、めちゃくちゃ楽しみにしております。🍺
そして、あとですね…
ものすごく小さなお願いがひとつあります。
よければ、NAB(B)がどこのメーカーだったのか、こっそり教えてください!!!
秘密にするので!!!
インターネット上に記事を書いて、「岡山大学まで届け!」と言っている人間が、「秘密にします」と言っても、まったく信用がない気もしますが。
秘密にします。
だから教えてください!!!🤣笑
岡山大学とつながりのある方がいらっしゃいましたら、
ぜひこの記事をシェアしていただけますと幸いです🙏
研究者の方まで届いたら、おもしろすぎる。
インターネットよ。届け。
がんになると、食べ物が全部「敵」に見えてくる
がんになってから、食べ物について調べる機会がめちゃくちゃ増えました。
砂糖はダメ。肉はダメ。乳製品もどうのこうの。
添加物がどうのこうの。酒なんてもってのほか。
もう何食えばええねん。
調べれば調べるほど、食卓から友達がいなくなっていく。
でも、一つずつ調べてみると「完全にやめなきゃいけない話」と「摂りすぎないほうがいい話」と「そこまで言い切る根拠ある?」みたいな話が、わりと同じテンションで流れてくるんですよね。
なので最近は、何かを見つけるたびに、
ほんまか?と一回止まるようにしています。
だから私は今、禁止科目を増やすのではなく、ひとつずつ確認するようにしています。
牛肉も食べる。豚肉も食べる。
魚も食べる。野菜も食べる。
はちみつも食べる。調味料も普通に使う。
そして、酒を飲みたくなったら、0.00%をキンキンに冷やす。
がんになったからって、人生まで無味無臭にする必要はない。
私は、
「健康のために何を捨てるか」より、
「好きなものをどう残して生きるか」を考えたい。
そのほうが、私には合っています。
酒好きのがん患者よ、0.00%を飲め。
日本の神々は酒を飲む。
きっと酒には、何か聖なる力が宿っている。
……かもしれない。(小声)
ただ、私はできるだけ長く生きたい。
まだやりたいこともある。
だったら、酒の神様には申し訳ないが、しばらく、
アルコールは0.00%で我慢してやんよ!!!!
ノンアルでがんが治るとは言っていない。
肺腫瘍が消えるとも言っていない。
マウスと人間は違う。
でも、「アルコールを控える」と
「ビールを飲む楽しみを捨てる」は、同じじゃない。
そこには、0.00%という抜け道がある。
しかも、その抜け道を調べていたら、
岡山大学の論文にまでたどり着いてしまった。
人生、何を調べていても、結局おもしろいところにつながっていく。
ということで。
本物のビールはしばらく我慢します。悔しいけど。笑
そのかわり、ヴェリタスブロイは冷蔵庫に入れておく。
(もちろんガブ飲みする飲み方はしませんよ)
岡山大学さん。
続報、お待ちしております。
そしていつの日か、「ノンアルコールビールを飲むがん患者募集」なんて研究が始まったら。
とりあえず、応募要項を読みます🤣
乾杯!
0.00%で。🍺
参考にした資料
岡山大学薬学部「ノンアルコールビールを経口摂取したマウスでタバコに含まれる肺発癌物質に起因する肺腫瘍が有意に減少」
岡山大学の公式発表Takata J, et al. Genes and Environment(2023)
原著論文を読む国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を刷新
「飲酒は『節酒』から『ひかえる』へ」の公式発表
※この記事は、ノンアルコールビールにがんの治療効果があると示すものではありません。紹介した研究はマウスを用いた研究であり、人でがんを治療できることを示したものではありません。治療中の飲酒や食事については、ご自身の治療内容に応じて主治医・医療者にご確認ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「この研究、ちょっとおもしろいな」と思っていただけたら、スキやシェアしてもらえたら嬉しいです。
とくに岡山大学方面へ。笑
そして酒好きのみなさま、おすすめの0.00%があったらぜひ教えてください。
私はしばらく、ヴェリタスブロイを冷蔵庫に常備しておこうと思います。
では。神々と一緒に。
乾杯🍺
(もちろん、0.00%で。)
いいなと思ったら応援しよう!
読んでくださるだけでとても嬉しいです。
もしこの記事が少しでも思考をほぐしたり、日々を軽やかにするきっかけになっていたら、チップでそっと応援していただけると励みになります。
いただいた応援は、また次の言葉や企画を、必要な人へ届けるための制作費として大切に循環させていただきます。