
レジ越しの数分
スーパーのレジという仕事に就いて
気づけば8年以上が経ちました。
私は毎日、
少なくても250人の商品を通します。
毎日来る常連さん、
初めて見るお客さん、
名前を知ってる人もいますが
ほとんどは知りません。
ですが、
いつも来る人は
買う物、
支払い方法まで知ってます。
レジは、
商品を通すだけの
仕事と思ってました。
でも
8年働いてわかったのは、
私が見ていたのは商品ではなく、
人だったという事です。
高校生の頃
ポケベルを持ちたくて
その為にバイトをしたのが
スーパーのレジでした。
それから3年間、
スーパーのレジをしました。
またいつか
レジ打ちの仕事をしたいと思ってた頃、
今の職場に出会いました。
最初は
商品をカゴに入れる時に
怒られたりしましたが、
自分的にはうまく入れれたと思っても
お客さんからすると
違う事もあるんだと実感させられました。
常連さんもたくさんできました。
「おはよう」
と言いながら
カゴを置いてくれ、
商品を通してる間は
たわいもない話。
タバコを吸う人には
「おタバコどうします?」
と声をかける。
週に4日、
同じ時間に立っていると
毎日来てくれるお客さんとは
何度も顔を合わせるようになります。
気づけば、
顔見知りのご近所さんのような距離になっていました。
勤めだした頃は
赤ちゃんだった女の子。
今は元気に保育所に
通っています。
よく喋る男の子も
保育所に通うようになり
最近は全然会えてません。
少し寂しいですが
今は弟くんが来てくれています。
常連さんでも
名前を知らない人ばかりなので
私は
「お母さん」
と呼んでいます。
そのお母さんの1人、
お父さんの仕事が休みの時は
いつも2人でご来店。
「いつも仲良いですね。憧れますー。」
と言うと、
「夫婦なのか、兄妹なのか、
はたまた友達なのかわからんけどね」
と笑ってました。
たわいもない話の中で見えてくる
暮らしの一部。
猫を飼ってる事。
夜勤明けで買い物に来てくれる事。
お店を営んでいる事。
だから私は
人の暮らしを少しずつ見せてもらってるのかもしれません。
以前は
毎日来てくれてたおじいちゃん。
コロッケがお好きなようで
いつも買ってました。
最近見かけないので心配です…。
久しぶりに会った常連さんに
「私来る時、いつもあんたおらんねん」
と言われたりすると
申し訳ない反面、
そう言ってもらえるのが嬉しいです。
毎日来る
キャラの濃いおじさん。
ほぼ毎回、
うまい棒とチロルチョコをお買い上げ。
私がどれだけそっけない返事をしても、
次の日にはリセットされて
いつものテンションで
レジに並びます。
真面目そうな
私より少し年上の男性のお客さん、
お弁当を買っても
お箸はつけない。
支払い方法はクレジット。
それを覚えてるので
最近は帰り際に
「ありがとう」
と言ってくれるようになりました。
見た目はちょっと怖いおばさまも
「今日おタバコどうします?」
と聞くと
「ごめーん。
ちょっと浮気して他所で買ってん。」
と笑いながら言うので
「次はお願いしますね!」
と、ちゃっかり頼んだり。
でも、
優しくて
いいお客さんばかりではないです。
クレームを言うお客さんも
何人もいました。
私のちょっとしたミスで
「上の人間呼べ!」
と怒り出し、
社員の人に色々言っていました。
それを近くで見ていた私は
泣く事しかできず、
通りすがりのお客さんに
「気にせんでいいよ」
と言われ
余計泣く事に…。
あの一言は
今でも忘れられません。
レジに立っていると
心ない言葉をかけられる日もあります。
でも、それ以上に
優しい言葉をかけてくれる人もいます。
レジスルーだけではなく、
カウンター業務で
放送もします。
絶対ってぐらい噛むので
違う部門の人に
「今日2回噛んでたやろ」
と、
笑われる事もあります。
でも、
ちゃんと聞いてくれてるのかな?
と思ったりして
少し恥ずかしいです。
何度も辞めたいと思いましたが
今も勤められているのは
優しいお客さん、
優しい同僚達がいるおかげです。
名前も住所も知りません。
でも、
レジ越しの数分を何年も積み重ねると、
少しずつその人の暮らしが見えてきます。
今日も私は、
商品を通しています。
でも見ているのは、
やっぱり商品だけではなく、
人なのかもしれません。
全然知らない人の
食卓の一部。
そこに少しだけ
参加できたような気にもなります。
明日も私は
レジに立ちます。
また誰かの暮らしを
少しだけ見せてもらいながら…