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本蚘事には、短線「圱を吞われた男」を掲茉したす。

これは䜕幎か前に、ある本屋ぞ挚拶に行った時に曞いお持っおいったものです。珟圚ずは䜜颚が違い、あたり芋せたくはないのですが、たた、こういった小説颚のものはもう曞かないのですが、最終段萜に笑芞的に重芁なギャグがあるので、そこだけ芋おもらいたく、発衚するこずにしたした。
そのギャグは新造語ネオロギズム的なものであり、い぀かロシア未来掟の唱えた “超意味ザヌりミ” ずしお解説したす。たた、子䟛向けの蚀葉遊び集《だだぁ・ぐぅす》でもこのギャグを䜿いたすので、ぜひ芚えおおいおください。
それでは、玙本で数ペヌゞの短線「圱を吞われた男」をどうぞ――





圱を吞われた男


 ある日、男は、悪魔に圱を吞われた。急に。䜕の前觊れもなく。男が、町内の倏祭りに出おいた屋台で金魚すくいをしおいるずころに突然悪魔が珟れお、男の圱を吞い始めた。そしお、すべお吞い終わるず、どこかぞ消えた。
 しかし、男も含めその堎にいた者達の誰も、男が悪魔に圱を吞われたこずには気付かなかった。皆、金魚すくいに倢䞭になっおいたのだ。ただ䞀人、金魚すくい屋の店䞻だけが、悪魔が珟れお男の圱を吞っおいったずころを目撃しおいた。店䞻は皆にそのこずを話したが、信甚する者はいなかった。が、店䞻のあたりの怯えようず、男の圱が党く無くなっおいるずいう事実――真倏の真昌の屋倖だずいうのに、あるべきものが党く無い――を目の圓たりにし、皆、恐怖に震え䞊がった。
 その䞭の䞀人が勇気を出しお、店䞻に、その悪魔はどのような悪魔だったのか、ず蚊いた。しかし、その姿はあたりに異圢だったため、店䞻の持っおいる蚀葉では党然蚀い衚すこずができなかった。圌はただ、「悪魔  」ず蚀うこずしかできなかった。たた、別の勇気ある者が、「圱を吞う」ずは䞀䜓どういうこずなのか、ず蚊いた。するず、店䞻は倱神した。「圱を吞う」ずいうこずを考えるのは䞀般垞識人である圌にずっお、脳ぞの負荷が倧きすぎたのかもしれない。或いは、〈圱を〉〈吞われる〉ずいう蚀葉の組み合わせだけでもう十分なのであり、それ以䞊の蚀及の拒絶であったかもしれない。
 疑問は、圱を吞われた男にも向けられた。ある者が男に――
 
  「お前、圱をすべお吞われお、なんずもないのか  」ず蚊くず、男は
  「うん、たぁ、いたのずころは  」ず答えた。
 
たた別の者が――
 
  「圱を吞われおいる時、䜕か感じなかったのか  」ず蚊くず、
  「うん  」
  「  痛かったりはしなかったのか  」
  「うん  、うん  」
  「  お前は圱をすべお吞いきられおしたったんだ。そんなに吞われたのだから、䜕か少しくらい感じただろう  」
  「そ、そうだ、蚊や虫に刺されたっお䜕か感じるだろうに  」
  「二人の蚀う通りだ。圱を吞われお、䜕か違和感があっただろう」
  「うん  、たぁ  、たしかに  。すこし、もぞっ、ずしたかもしれない  」
 
男がそう答えるず、堎は隒然ずなった。皆、この事態をどう受けずめるべきか決めかねた。皆がざ●わ●぀●く●䞭、ある者がこう切り出した――
 
  「お前、圱が無くなっお、これからどうするんだ  」
  「うん  」
  「  圱が無くお、いいのかよ  」
  「たぁ、これはこれで、む●カ●す●だろう。」
 
どっず笑いが起きた。恐怖ず䞍安からの解攟のためもあり、拍手さえ起きた。その拍手が拍手を呌び、拍手喝采ずなった。指笛や蚀葉によっお称賛する者も珟れた。圱を吞われた男は、町内の人気者になった。
 圱を吞われた男は、たた、芋知らぬ者に察しおも調子が良かった。隣町でも歩いおいるず、通りを行き亀う人々に――
 
  「おい、お前 圱が無いぞ!?」ず蚀われ、
  「シャレおるだろ」
 
ず答えたり、別の時には――
 
  「たぁ あなた、圱が無いゎ どうしたの!?」
  「ぞぞ。ちょいずね。」
 
「ぞぞ。ちょいずね。」 なんお䌊達男なのだろう たた、ある時には――
 
  「あら、あなた、今日は圱があるわね。どうしたの」
  「ツ●ケ●圱さ。」
  「ツ●ケ●圱!?」
  「ツケ髭ひげずかツケ睫毛た぀げずかあるだろ それの圱ノァヌゞョンさ。」
  「圱ノァヌゞョン!? それに、その圱、青いわね。癜くキラキラ茝いおいるずころもあるゎ。」
  「あぁ、フェルメヌルの䜿っおいた青金石ラピスラズリをベヌスに真珠パヌルずダむダモンドの粉をた●ぶ●し●お䜜った圱さ。」
 
たすたす䌊達男っぷりを発揮するのである。たた、ある時には――
 
  「今日は圱が赀いゎ 真っ赀だゎ 英雄を喰らう黒竜の県のように赀い 䞀䜓どうしたの!?」
  「勝負圱さ。」
 
䌊達男にも皋がある。
 そうしお日垞を取り戻した男は、野生のバむ゜ンの角でブヌメランを䜜ろうず思い立ち、バむ゜ンを狩るために草原ぞ旅立った。バむ゜ンを远っお草原を駆け巡っおいるず、男の圱を吞った悪魔に出喰でくわした。
 悪魔は、草原の真ん䞭でぜ぀んず、蹲うずくたっおいた。蹲っお、あの時に吞った男の圱を吐き出しおいた。そしお、吐き出した圱を、再び吞っおいた。悪魔は、男の圱を吞いながら、すすり泣いおいた。哀しげに、すすり泣いおいた。悪魔の吞っおいる圱が自分のものであり、その悪魔が犯●人●であるこずは盎感的に刀ったが、そんなずころを芋せ぀けられおは、男はどうするこずもできなかった。黙っおその堎を立ち去るしかなかった。
 埌日、男は、モンゎリアン・デスワヌムずいう、䜓長152ほどのミミズ型の、その匷力な毒ず電撃によっお觊れた者を死に至らしめるず蚀われおいる未確認生物Unidentified Mysterious Animalを捕たえに、砂挠ぞ向かった。
 倪陜がギラ぀く灌熱の砂挠で、男がモンゎリアン・デスワヌムを探し出すため地䞭に生呜探知機アクティブ・゜ナヌを圓おおいるずころに、砂挠の囜の王女が通りかかった。王女は男を芋぀けるず、叫んでしたった
 
  「たぁ、倧倉 あの埡方、圱がありたせんゎ」
 
王女は急いで男のもずに駆け寄り、尋ねた――
 
  「あなた、圱がありたせんゎッ 䞀䜓どうしたのですッ!?」
  「圱なんお芁らねぇから捚おたのさ。」
  「カッコむむッ アタシず結婚しおっ」
 
 男は王女ず結婚した。男は、砂挠の囜の王ずなった。砂挠の囜の王ずなり、暩力、地䜍、財産、女、子孫、名誉、名声  すべおを手に入れた。男は、圱を吞われお、すべおを手に入れた。モンゎリアン・デスワヌムも83匹捕たえた。
 隣の敵囜の王達でさえ、男に埓った。いや、蚱しを請うた。砂挠の䞖界においお「圱が無い」ずいうこずは最も恐ろしいこずであった。あるべきものが無い、のだから。それを理解するためには、人智を超えた、「こちら」ずは別の䞖界を想定するしかなかった。即ち、男は、「神」ず畏れられた。敵囜の王達は囜土ず人民を差し出すこずによっお、蚱しを請うた。男は、砂挠の䞖界の王ずなった。
 そうしお、この䞖のすべおを手に入れた男は、お金がありすぎお困っおいた。そのため男は、お金を捚おる遊びを開発した。䟋によっおお金を捚おお遊んでいたある日、男のもずに圱が戻っおきた。理由は分からない。男は党知党胜の神に蚊いたが、「知らない。」ず蚀われた。圱が戻っおきたが、男には䜕の倉化もなかった。王女は元気なたただったし、子䟛もたくさん産たれたし、囜土も拡がり続けた。砂挠だけでなく海や氷河も手に入れた。お金も増え続け、預金残高は無限になった。圱が戻っおきおも、䜕も倱わなかった。圱などあろうが無かろうが、党然関係無いのである。
 それからも倉わらずに過ごしおいた、或る満月の真倜䞭。男は砂挠の王宮のバルコニヌで、モンゎリアン・デスワヌムを鞭●にしお闇倜を飛び亀う蝙蝠こうもりを撃ち萜ずす遊びをしおいた。そこぞ、悪魔が珟れた――
 
  「やぁ。お前さん、圱が戻っおきたんだっおなぁ」
  「あぁ。」
  「圱が戻っおきた気分はァ、どうだい」
  「べ぀に。」
  「べ぀に、かい  。ふ●お●ぇ●野郎だ。圱の方じゃあ、よっぜど喜んでるっおのによぉ  。ほらぁ、芋おみろよぉ、自分の圱をよぉ  。満月に煌々こうこうず照らされお出来た圱だ、昌の䞖界じゃあ考えられないくらい深く、青くなっおるだろう これが、圱の本来あるべき姿なのさ  。闇属性である、圱の  。こんなクヌルな青ブルヌを芋たら、英雄を喰らう赀県の黒竜のダツぁ、火を吐いお悔しがるぜぇ  」
  「お前、䜕しに来たんだ」
  「そ、それはだな  、そのぅ  、た、なんだな、お前さんの、圱を、だな  、そのぅ  、たたぁ  、な、ちょいず  、あれだ  、な  、吞わせお、くれねぇかなぁ、ず思っお  、だな  。そのぅ  、た、そういうこず、なんだな  。うん  。  ぉ、お願いだぁ  、お前さんの圱を、たたァ、吞わせおくれねぇかぁ  」
  「あぁ、いいょ。」
 
男は快諟した。そしお、悪魔は男の圱を吞い始めた――
 
  「圱なんお矎味いのかい」
  「あぁ、矎味いねぇ。お前さんの圱なんざぁ、特に矎味いねぇ  。これたで䜕䞇人もの圱を吞っおきたが、お前さんの圱が䞀番だぜぇ。それに、今倜のこの満月でキンキンに冷やされおるずきおんだ、この䞖のものずは思えないくらい、矎味いねぇ  」
  「  圱っお、どんな味がするんだ」
  「圱味。」
  「身も蓋もねぇこずを蚀いやがっお。」
 
 男が蚀い終わるず、悪魔は男の圱を吞うこずに専念した。そしお、悪魔は、男の圱を吞いながら、すすり泣いた。これにはもう、男は芋守っおいるより他はなかった。悪魔はすすり泣きながら、男の圱を吞った。吞い続けた。心ゆくたで吞った。吞いに吞った。吞っお、吞っお、吞った。吞っお、吞っお、吞った。吞っお、吞っお、啜すすった。啜った 啜った 圱を 啜った 悪魔は男の圱を啜った そしお、さらに啜った 啜っお、啜っお、啜った 啜っお、啜っお、すすすった すすすった す●す●す●った す●す●す●った 圱を す●す●す●った なんずいうこずだろう 圱をす●す●す●るなんお 悪魔は男の圱をす●す●す●った 矎しく、す●す●す●った。矎しくす●す●す●った あたりにも矎しくす●す●す●った 人間には到底考えるこずができないほど矎しくす●す●す●った 圱をす●す●す●られた男は、激怒した。そりゃそうだ 自分の圱をす●す●す●られたんだもの 誰だっお激怒するに決たっおる いかに矎しくであろうず、自分の圱をす●す●す●られるなんお堪たたらない 男は悪魔の圱をす●す●す●り返した。す●す●す●り返した 手に持っおいたモンゎリアン・デスワヌムを鞭にしおす●す●す●り返した 手に持っおいたモンゎリアン・デスワヌムを鞭にしお矎しくす●す●す●り返した それに察しお悪魔もす●す●す●り返した それに察しおさらに男もす●す●す●り返した 悪魔ず男のす●す●す●り合いずなった 悪魔ず男は互いに互いの圱をす●す●す●り合った 悪魔が男の圱をす●す●す●り、男が悪魔の圱をす●す●す●った す●す●す●り぀す●す●す●られ぀の熟烈しれ぀な闘いずなった 互いに互いの圱をす●す●す●り、す●す●す●られ続けた   その死闘は長時間に及び、次第に曙光が射し出した。そしお、ずうずう男が悪魔の圱をす●す●す●り尜くすず、悪魔は、男の圱をす●す●す●りながら、す●す●す●す●す●り泣いた  




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