
また会える日まで、もっちゅりん♡
ネットニュースを開いて目に入ったのは「もっちゅりん販売終了」の記事。
正直、ショックだった。
期間限定の商品だから、いつか終わることは分かっている。
それでも、あの独特の食感が好きだったし、何より娘のお気に入りだった。娘にもっちゅりんが終わる事を伝えると、少し寂しそうな顔をした。
「もう買えないの?。いちご味が好きだったのに」
4歳の娘なりに、“お別れ”を理解しているようだった。
おもちゃでもなく、ぬいぐるみでもない。
たったひとつのドーナツ。
それなのに、なくなると聞いただけで悲しくなる。
そんな気持ちを持てることが、なんだか愛おしかった。
数日後。
用事があって、普段は行かない西武池袋線沿線の駅へ行くことになった。
ふと近くにミスタードーナツがあることに気付く。
「もしかしたら……」
そんな期待を胸に店へ向かうと、すでに十人ほどの列ができていた。
どうしようか迷った。けれど、頭に浮かんだのはあの時の娘の顔。
「もう食べられなくなるの?」
そう言った時の、少し寂しそうな表情。
あの顔を思い出したら、自然と列の最後尾に並んでいた。
店頭には、各種100個限定の文字。
並んでいる人数を見る限り、大丈夫そうだったけれど、自分の番が来るまでは少し落ち着かなかった。
30分ほど並んで、販売時間になり『いちご』と、『きなこ』をゲット
家に帰ると、娘は箱を見た瞬間に目を輝かせた。
まさかまた会えると思っていなかったのだろう。
「えっ!?」
という顔をした後、すぐに笑顔になる。
その反応だけで、並んだ価値があった。
娘が選んだのはもちろん、いちご味。
ひとくち。
いや、ほとんど“かぶりつく”と言った方が正しい勢いだった。
そして満面の笑み。
「おいしい!」
その一言と表情を見て、思わずこちらまで笑顔になる。
たかがドーナツ。されどドーナツ。
美味しいものを食べて幸せそうにする子どもの顔には、不思議な力がある。
私はきなこ味を選んだ。
何度食べても、やっぱり好きだ。
派手さはない。見た目もシンプル。
けれど、その素朴さこそが魅力だと思う。
そして何より、あの食感。
もちもち とも ふわふわ とも違う。
名前の通り、「もっちゅり」が一番しっくりくる。
最初に食べた時は少し驚いた。
ドーナツなのに、どこかお餅のような不思議な食感。
流行った理由も納得だった。
きなこの優しい甘さと、その独特な食感が本当によく合う。
気付けばリピートしていた。
もしかしたら、また復活するかもしれない。
来年、期間限定で帰ってくるかもしれない。
あるいは定番商品になる日が来るかもしれない。
それは誰にも分からない。
でも、もし今回が本当に最後だったとしても。
娘の嬉しそうな顔を見られたこと。
好きなものとのお別れを少しだけ理解し始めたこと。
そして家族で「美味しいね」と言いながら食べたこと。
それだけで十分いい思い出になった。
ありがとう、もっちゅりん。
そして――
また会える日まで!!
