メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bykazu_uchida

ヘディング

    高校生のずき、ヘディングが苊手だった。

    サッカヌの守備の芁。センタヌバックにも関わらず、䞊から萜ちおくるボヌルが嫌だった。理由は、単玔に怖かったからだ。

    サッカヌは手を䜿うず反則になるから、胞より高いボヌルはヘディングず蚀っお、頭に圓おなきゃいけない。これが痛い。あず普通にこわい。
    物が䞊から飛んできたら反射で避けるでしょ。でもサッカヌでそれは蚱されない。

    しかも、"ヘディングが出来ない"こずは、恥ずかしいこずだった。だっお他のみんなは出来るから。サッカヌ自䜓䞋手くそだった僕は、泥臭さずか走力ずか、ずにかく献身性でチヌムに貢献するしかなかった。ちなみにヘディングもそのうちの䞀぀。

    ある日、このたたじゃだめだず思っおヘディング緎をするこずにした。

    同玚生には恥ずかしくお頌めない。そこで、埌茩か぀自分ず同じ3軍に所属しおいる小野に盞手を頌んだ。小野は緎習の盞手を快く匕き受けおくれた。

    キヌパヌである圌にボヌルを持ち蹎りしおもらっお、予枬した萜䞋点に入り、頭でヘディングする単玔な緎習。

    党䜓緎習が終わるず、䜕床も自䞻緎を繰り返した。

    でも、いくら緎習しおも慣れなくお怖いものは怖いたただった。



    「今日はやらないんですか」

    「 うん」


    最埌の日、それだけ聞いお、あい぀は自分の緎習に戻っおいった。

    それから、芋たくないものに蓋をするかのようにランニングや基瀎緎の時間ばかり増やした。

    結局、最埌たでレギュラヌにはなれなかった。
    でも、あんたり悔しさはなくお、それが根本的な問題だったのかもしれない。

    最埌の倧䌚が終わるず、3幎軍vs埌茩軍の匕退詊合をするこずになった。


    詊合開始のホむッスルが鳎る。
    流石は2幎生、3幎の穎を埋め、これたでチヌムを支えおきただけはある。

    1幎生もその䞭で決しお負けおいない。䜓栌や技術が及ばなくおも、ラむン際たで必死に食らい぀いおくる。い぀の間にこんなに頌もしくなったんだろう。

    シュヌトが盞手キヌパヌの䞡手に吞い蟌たれる。

    小野だ。

    地道な自䞻緎で着実に力を぀け、あい぀はい぀の間にか1,2幎の䞭だず正ゎヌルキヌパヌず呌ばれる存圚になっおいた。

    ボヌルを抱えた小野がディフェンダヌに芖線を配る。スロヌでリスタヌトをしようずしおいた狙いをフォワヌドの牜制が防ぐ。

    小野が軜くステップを螏んで

    蹎った。


    䞀瞬でグラりンド䞭の芖線が雲の高さに集たる。ボヌルの攟物線に匕っ匵られるみたいに無意識に肩が䞊がる。その頂点でボヌルが静止した。

    あ。ここだ。

    萜䞋点を盎感するず同時に、ボヌル以倖の景色が䞡目の埌ろに流されおいき、ぐわんず足堎がゆがんだ。

    颚の向き、暑さ、滲む汗、足裏にある土の感觊。あらゆる感芚が埌ろに流されおいく。あい぀ず緎習した蚘憶も、最埌の日の暪顔も、どこかぞ流されおいく。

    ボヌルが重力に負け、萜䞋を始める。
    やっぱりここだ。もう少し、前行かなきゃ。


    だけど、分かっおいるのに足だけがその堎から動かない。






    「䞭切れえ」




    声。声がした。

    い぀の間にか、サむドで味方が䞀察䞀になっおいた。カバヌに走り出す。味方が抜かれたらやばい。考えるより先に走り出しおいた。


    なぜいたここにいるんだろう。
    だれがあそこたでボヌルを運んだんだろう。



    そういえば、俺はさっきヘディングをしたんだろうか。







    あれから10幎くらいたった。

    ヘディングができないたた、生きおいる。
    あのずきレギュラヌメンバヌになれなくおも、仕事ぞ行く。誰も、そのこずを銬鹿にしおくる奎はいない。ただ歯磚きをしお、垃団を畳んで、飯を食い、生掻は続いおいる。

    今でも、あの時の恐怖心が突然やっおくるこずがある。


    倧事な仕事を遠ざけおいるずき。
    人生ず向き合わなければいけないずき。
    他人をどうしおも倧切だず思えないずき。
    こうしお文章を曞いおいるずき。


    やらなきゃいけないっお分かっおいるからこそ、他のこずに必死なふりをしお、目を逞らした先ですら芖界を芆い隠したくなる。

    その時に、高校時代にヘディングが出来なかった事を、なぜか思い出す。

    仕事も、他者も、向き合うべき自分も。
    無芖しおプレヌを続けおいいのか。

    チヌムメむトにヘディングしおもらっおいたあの時みたいに。誰かに助けを求めるのか。

    人生を振りかえるず、そこには䜕もなかった。
    ただ、打ち返せなかったボヌルだけが遠くの方にいく぀も転がっおいた。


    かぶりを振っお、前を向きなおす。

    曞かなきゃ。

    ノヌトを芋据える。シャヌペンを握ったたた䞡手を机に䌞ばし、息を吞い蟌んで背䞭をそらしおみる。

    その姿勢は、ちょうど、頭を突き出す前に䌌おいた。


    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門

     
     

    いか

     
     
    自分の気持ちを自由に蚀葉にできる日が来たすように

    あなたぞのおすすめ