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Photo bykao1248

飼育員その1

    うちの子になって半月が過ぎた。
    私のひざにしか乗らなかった子が、夫のひざにも乗るようになった。
    ごはんもきれいに平らげ、部屋の散策もしている。
    家具をかじったりして叱られることもでてきた。

    なんだか、おうちの犬っぽくなってきたねえ。
    なんて気をよくしていると、
    手のひらを返したように
    突然、冷たい態度を取ってくることがある。

    何が引き金になるのかはわからないのだが、
    腰を低くして近づくと、
    ビクッと体を固くして、物陰に逃げ隠れてしまうのだ。

    慣れてきたとはいえ、
    まだ私のことは家族ではなく、飼育員その1としか
    思っていないのかもしれない。
    私は、うちの子と思っているのに・・・・・・。

    でも、わかっている。
    この子が本当のうちの子になるまでには、
    時間がかかるということ。

    それが元保護犬とベビーから家にやってくる
    ペットショップ犬との違いだということも。

    そんなうちの子ではあるけれど、
    最近、1つだけ心が通っているなと(勝手に)感じている時間がある。
    それは、夕暮れ時の空を見ているひとときだ。

    もともと私はベランダで夕暮れ時の空を見ながら
    缶ビールを飲んでまったりするのが好きなのだが、
    そこにこの子を付き合わせてみたのだ。

    片手に犬を抱っこし、片手に缶ビールを持って
    夕暮れの空を一緒に眺めていると、
    ごく普通の風景が映画のワンシーンのように輝いて、
    電線だらけの狭い空が特別なもののように見えてくる。

    そして、犬の重みと温かみは
    ほろ酔い気分に相まって幸せ感をぐっと引き立たせてくれ、
    「きっと、犬と一緒に見るこの風景を一生忘れない」
    などと思わせてくれたりするのだ。

    意外にも、犬もこの夕暮れ飲み会を気に入ったようで、
    外のにおいをかぎつつ、おとなしくくつろいでいる。
    終わったあとも、
    自分からベランダ窓に近づき、
    カーテンをめくり上げて外を見ていることもある。

    「夕暮れ飲み会、楽しかったね、飼育員さん」
    そう思っているのかもしれない。





     
     

    七味

     
     
    エッセイが書きたくなり、NOTEを始めました。保護犬と暮らすシニア世代の日常を切り取って綴っていきます。

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