【実録】トーナメント面談、7回勝ち抜きました
はじめに
IT業界における多重下請け構造や多段階の商流は、SSランクからDランクまでの階層に分かれています。上位層の華やかな話題や一般的な転職情報とは異なり、IT業界のピラミッドの底辺である「下位層」や「多重請け」の実態について、当事者の視点からリアルな実態を伝える記事は多くありません。
はじめましての方は、まずこちらの自己紹介記事もご覧ください。
【自己紹介】 はじめまして、「あおたん」です!
特に「7次請け」という過酷な環境にたどり着くまでにどのような面談や競争が待ち受けているのか、そして実際にその現場に足を踏み入れたとき、どのような開発環境や現実が待っているのかを知りたいエンジニアや転職検討者は少なくありません。
本記事では、7次請けの案件を獲得するために7回の面談トーナメントを勝ち抜いた実体験をもとに、多重下請け構造のリアルな実態、現場での開発環境、そしてIT業界の案件探しの裏側を生々しく解説します。これからIT業界でのキャリアチェンジや案件探しを考えている方に向けて、役立つ情報と実録をお届けします。
トーナメント面談、7回勝ち抜きました
面談、という言葉を使うと穏やかに聞こえますが、実態は対戦です。
7次請けの案件に取り付くには、最低でも6回、私の場合は7回の面談を勝ち抜く必要がありました。1回の面談は30分。ほぼ毎回、自分以外に1名以上の競合がいます。30分の中で負ければ、そこで終わりです。次はありません。
7階層あるということは、7回分の「関門」があるということです。1社目を通過しても、2社目の面談がある。2社目を通過しても、3社目がある。これを7回繰り返して、ようやく案件にたどり着きます。
7回勝ち抜いて、私はこの案件に入りました。この7回を終えるまでに、かかった期間は1.5ヶ月です。その間、次の案件は決まっていません。甲子園で言えば、優勝するまで1.5ヶ月間、ずっと試合をし続けていたようなものです。
たどり着いた現場にあったもの
案件が始まって最初に渡されたのは、パソコンとアカウントでした。中身を見て、正直、拍子抜けしました。
入っていたのは、Excel、Word、PowerPoint、Teams、Backlog、Slack、そしてメモ帳。
正確に言うと、これらはすべてブラウザ上で動くものです。何もインストールできない(してはいけない)環境なので、デスクトップにあるアイコンは、Edgeのショートカットと、ゴミ箱だけ。常時使うのは、結局メモ帳でした。
Windows11になって、メモ帳がタブ化されたとき、素直に嬉しかったです。2026年、これが現場のリアルです。
AIは、と探したら、Copilot Basicがひとつ。VSCodeは、ありません。
Copilot Basicが何なのか知らなかったので、本人に聞いてみました。「Basicです」と、あっさり返ってきました。
Excel VBAのマクロを書かせようとしたら、そもそもVBAを知らないと言われました。「では、どうやってコードを書いているのか」と聞くと、「マニュアルを記憶しているので、想像で作成しています」との回答。
「それって、妄想してるってことですか?」と聞いたら、「そうです」と、悪びれもせず答えてきました。
サンドボックス環境も何もない、丸腰の想像力だけで生成されたコードが、本番環境に投入される。新婚さんいらっしゃいの司会者ばりに、椅子から転げ落ちそうになりました。
7回のトーナメントを勝ち抜いてまで欲しかった「現場」は、AIどころか、まともな開発環境すらない場所でした。
良い案件は、市場に出る前に消えている
これは賃貸物件を探すのと似ています。
本当に良い物件は、ネットに載る前に、すでに決まっています。ネット検索で出てくるのは、誰も選ばなかった、売れ残りです。
IT業界の案件も同じです。経験になる案件、条件の良い案件は、正社員採用や、Aランク企業の中で、市場に出る前に内々に消化されていきます。求人サイトやエージェント経由で私たちの前に流れてくるのは、その残り、つまりリスクが高い、あるいは条件のよくない案件が中心です。
7回のトーナメントを勝ち抜いても、その先にあるのは「勝ち取った案件」というより、「誰も取らなかった案件」に近いのかもしれません。
これから転職・案件探しをする人へ
IT業界は、SSランクからDランクまで、ランクが下がるほど、次のようなことが起きます。
技術への関与度は上がるが、契約形態は不安定になる(請負・業務委託・派遣)
商流の透明性が失われ、多重下請け・二重派遣のリスクが上がる
案件を得るための競争(面談トーナメント)が過酷になる
このランク構造を知らずに転職や案件探しをすると、「技術を極めたかったのに、管理業務ばかりの会社に入ってしまった」あるいは「案件は取れたが、条件も環境も想定と違った」という事故が起きます。
私自身、今その渦中にいます。この記事は、これから同じ道を通るかもしれない人への、記録と共有のつもりで書きました。
単価と手取り、税金の話は、次の記事にまとめます。
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