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〈魔女のハーブは、あんまり甘くない〉 セーラと星の黒猫 Episode2−2

    AONO

    ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

    "A cozy fantasy story of a witch, her bitter herbs, and the gentle secrets they hold."

                                       <2>

    「ココ?」

    わたしは、ココに、つぶやく。

    「ミャオ」

    すると、ココが、わたしの肩にのってきた。

    「⋯?」

    あの魔女の形をした星座のさきに、たくさんの星が、ながれていた。

    わたしは、身をのりだして、夜空を見た。

    「あの、大きな星の川みたいなのって⋯」

    ー星の川。
       
        わたしは、いま、そんな言葉を、口にしてい        た。

    わたしは、指で三角形をつくって、夜空の星たちを、三角のなかにおさめた。

    すると、小さな星空が、指のなかに、できあがった。

    「すごい、星が、指のなかに⋯」

    わたしは、ココを見た。

    「ミャオ」

    肩のうえのココのからだが、光っていた。

    「え⋯⋯?」

    いま、ココの瞳が、星みたいに見えた。
    わたしは、はっとした。

    「これって、ココの、兄弟⋯?」

    わたしは、三角のなかの星を、みた。

    「あれ?」

    あの、魔女の形をした星座が、星の川によっていくのが見えた。

    「星座が⋯、え?」

    まさか、星座が、うごくなんて…。

    わたしは、信じられない思いで星空を見ていたが、ココは、小さな耳をたてて、じっとすましていた。

    「ココ?」

    やがて、星空の魔女が、星の川におりると、星たちが、いっせいに光った。

    「⋯?」

    わたしは、きらきらしたものが、夜空からふってくるのが見えた。

    ひらいた手を、空に、むける。

    「光の、つぶが、おちて⋯?」

    手のなかに、白い宝石が、おちてくる。

    「雪⋯?」

    わたしは、目をひらいた。

    「うそ⋯」

    ココのからだに落ちた雪が、きらりと光っては、きえていった。

    ココが、からだを、小さくふるわす。

    「これって、さっきの⋯?」

    わたしは、丘で見たものを思い出した。

    手のうえの雪の結晶は、美しい、六花の形をしていた。

    「雪って、こんなに、きれいなんだ⋯」

    小さいころは、まったく、気づかなかった⋯。

    「え、この香りって⋯」

    わたしは、手のひらに、顔を近づけると、さっきの、アイスクリームみたいな香りがして、おどろいた。

    「まさか⋯」

    なんだか、庭の花たちも、びっくりしているみたいだった。

    「おどろかしちゃって、ごめんね…」

    わたしは、苦笑いして、庭の花たちに、つぶやいた。

    白い結晶をまとった花たちは、いつもより、さらにきれいな感じがする。

    「夏の、雪か⋯。すごく、気持ちいい」

    ココが「ニャ」と、わたしにないた。

    「あ、そうだ。あの、もらったハーブが…」

    わたしは、部屋にもどり、水色の袋にいれたハーブをティーカップにいれると、ポットのお湯をそそいだ。

    「あったかくて、いい香り⋯」

    わたしは、ティーカップを手に、窓ぎわにたった。

    白いゆげが、小さな雪のなかを、ゆらゆらと、のぼっていった。

    「もう夏なのに⋯、不思議ね」

    やがて、空からの雪が、ハーブティーのなかにおちて、音もなくとけた。

    「わあ⋯」

    ゆらめく糸が、ハーブティーのなかにひろがり、結晶のような模様になった。

    「きれい⋯」

    わたしは、ハーブティーを、ひと口のんだ。

    「あんまり甘くないのが、あまくなった⋯」

    わたしは、自然と、えみがうかんだ。

    すると、指のさきが、小さく光った。

    「…?」

    わたしが指を見ていると、雪は、よわくなってきた。

    そういえば、あの魔女の形をした星座も、もう夜空には、見えなかった。

    「⋯?」

    風は、あたたかい。

    「あったかいけど、つめたい⋯」

    わたしは、わらいながら、ハーブティーを、のんだ。

    「あと、あれも…」

    わたしは、テーブルにおいたガラスの箱を手にすると、窓のそとにだした。

    そのとき、指さきが光ると、箱が、きらめいた。

    「え⋯?」

    わたしは、箱のフタをひらくと、おちてくる雪を、箱のなかにいれた。

    ココが、楽しそうに見ている。

    フタをしめると、箱が、小さく光った。

    「いま、光って⋯、え?」

    わたしは、目をひらいた。

    ガラスの箱のなかで、雪が、ふわふわと浮いていた。

    「すごい、これが、魔法の箱⋯?」

    わたしは、お店の、おじさんの言葉を思い出した。

    きれいな雪が、ずっと、とけないまま…。

    でも、その魔法って⋯。

    わたしは、ココを見た。

    ココは、じっと、星空を見ている。

    「まさか⋯」

    もう、空からの雪は、やんでいた。

    「ほっ⋯」

    わたしは、小さく息をはくと、ガラスの箱をテーブルにもどした。

    「ミャ」

    ココがなくと、わたしは、ロッキングチェアにすわり、ひざにココをのせた。

    赤ちゃんをだくと、こんな感じなのかな…。

    わたしは、そんなことを思いながら、ココの背中をなでた。

    ゆらり、ゆらり⋯と、イスが、ゆっくりとゆれる。

    いま、ふっていた雪の、小さな風のような音が、耳にのこっている⋯。

    わたしは、うとうと、眠りを、おぼえた。

    そういえば、あんまり寝てなかったから…。

    やがて、ひざのうえのココが、ほんのりと光り、ひざにあたたかさを感じた。

    「ココ⋯?」

    わたしは、やわらかな光につつまれると、眠りにおちていった⋯。

                                         ☆

    みなとの、汽笛の音。

    わたしは、はっと、目をさました。

    「う…ん」

    部屋のなかが、窓からの明るい日差しに、あふれていた。

    ココが、ひざのうえで、からだをおこした。

    窓から、ここちよい風がふきこみ、カーテンがゆれていた。

    「あ、そうだ。いま、時間は⋯」

    かべの時計を見ると、まもなく、7時になろうとしていた。

    「ミャオ」

    ココが、床におりて、わたしにないた。

    「うん。じゃ、いこう」

    ー風も、よんでいる。

    わたしは、ガラスの箱を手にして、ホウキにまたぐと、ココが、肩のうえにのってきた。

    「よし、とばすよ」

    わたしが、ココにいうと、ホウキは空にむかってうきあがり、みなとのほうへ、とんだ。

    海の香りをまとった風が、空に、ひろがっていた。

    カモメが、翼をひろげ、気持ちよさそうに風のなかを飛んでいるのが見える。

    「あれは⋯」

    みなとでは、ヒカワノ丸が汽笛をあげて、出港の準備をしているみたいだった。

    船のそばには、送迎の人たちが、集まっている。

    わたしは、空から、リリアちゃんを探したが、見当たらない。

    まだ、船内に、いないとすれば、たぶん…。

    わたしは、ホウキをさげて、山の下公園におりると、あたりを見回した。

    「ミャ」

    すると、ココが、わたしに、ないた。

    リリアちゃんが、公園のベンチにすわって本を読んでいるのが見えた。

    わたしに気づくと、リリアちゃんは、本から顔をあげた。

    「あ、よかった。まにあった…」

    わたしは、ベンチにむけて、あるいた。

    「あ、お姉ちゃん。ほんとに、きてくれたんだね⋯」

    リリアちゃんが、ほほえみかけてきた。

    わたしは、リリアちゃんのとなりに、すわる。

    「あれ、お兄さんは?」

    わたしが、たずねると、リリアちゃんが、にがわらいをする。

    「お兄ちゃんは、もう、船のなかに、いっちゃった⋯」

    リリアちゃんは、ヒカワノ丸を見ながらいう。

    「え、どうして?」

    「うん。お兄ちゃん、すっごい気が小さいから、遅れちゃう、遅れちゃうって、おろおろしてた」

    リリアちゃんが、あきれ半分で、ほほえむ。

    わたしは、口をおさえてわらった。

    ふだん、どんな会話を、してるんだろう⋯。

    「いちど、お兄ちゃんと、会ってみたいな⋯」

    わたしが、リリアちゃんに、つぶやく。

    「うん、こんど、会ったらね」

    リリアちゃんが、大きな声でいう。

    「いつか、リリアちゃんの街に、行くね」

    「うん、ぜったい、おいでよ」

    わたしとリリアちゃんは、ほほえみながら、指切りをした。

    「あと、これね」

    わたしは、雪がはいったガラスの箱を、リリアちゃんに見せた。

    「わあ」

    リリアちゃんの顔が、かがやく。

    「ほら、きれいでしょ」

    箱のなかで、小さな雪の結晶が、ふわふわと、うかんでいた。

    「すごい、これが、雪。こんな、きれいな形をしてるんだ⋯」

    リリアちゃんが、嬉しそうに、ほほえむ。
    雪が、宝石みたいに、きらめいている。

    「ミャオ」

    ココが、楽しそうになく。

    「でも、お姉ちゃん、魔女みたいなかっこうしてるけど、魔法が使えるの?」

    リリアちゃんが、わたしを見る。

    「うん、まあ、すこしだけどね⋯」

    わたしは、ひかえめに、わらう。

    「じゃ、この箱には、お姉ちゃんの魔法が、かかってるんだね⋯」

    リリアちゃんは、ガラスの箱をながめた。

    ーえ、そうなの⋯。

    わたしは、ひらいた手を、見た。

    指さきが、小さく光った。

    「⋯?」

    「ありがとう、大事にするね」

    リリアちゃんの言葉に、わたしは、つよくうなずいた。

    「なんだか、お世話になってばっかり⋯。今度あうときは、ぜひ、お礼をさせてね」

    リリアちゃんが、わたしに、ほほえむ。

    「うん、いろいろ教えてね」

    「もちろん。じゃあ、また」

    リリアちゃんは、箱を大事そうにかかえ、ベンチからはなれると、船のほうへ、すすんでいった。

    そして、とちゅうで振り返ると、わたしたちに、手をふった。

    わたしは、手をふり、ココは、しっぽをふった。

    「あ、また、かぎしっぽ⋯」

    わたしは、ココに、ほほえんだ。

    やがて、乗客のみんなが、船の甲板に顔をだし、みなとの人たちに、手をふっているのが見える。

    「あ、あれって⋯」

    リリアちゃんらしい少女と、となりに、背の高い少年がいるのが、甲板のおくに見えた。

    「よかった⋯」

    わたしが、つぶやくと、大きな汽笛がなり、みなとのカモメが、青い空にはばたいた。

    しばらくすると、ヒカワノ丸が、みなとから、はなれていく。

    やがて、海のむこうに、見えなくなった。

    「じゃ、またね⋯」

    やわらかな風がふいて、波が、小さくゆれた。

    ーいい香り。

    わたしは、みなとの海に、手をひろげた。

    「ねえ、ココ、あれはぜんぶ、あなたが、おこしたの?」

    わたしは、肩のココを見る。

    「ミャ」

    ココが、小さく、ないた。

    でも、リリアちゃんのいったように、わたしも、魔法を、おぼえたのかも⋯。

    わたしは、ひろげた手を見た。

    「え⋯?」

    ーこの、感触は⋯?

    わたしは、空を見ると、おどろいた。

    みなとの青い空から、小さな白い雪が、ふってきた。

    「あ、白い宝石が⋯?」

    きらきらしている⋯。

    わたしは、からだをいっぱいにひろげ、くるりとまわった。

    「ミャオ」

    ココが、もういちど、楽しそうに、ないた。

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    summer snow

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    <魔女のハーブは、あんまり甘くない>
                          セーラと星の黒猫 Episode2

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    AONO

     
     
    ファンタジーアニメが大好きな、フリ-タ-です🤗🐈‍⬛横浜のすみで「魔女あま」を書いてます✨🌈メディアミックス化が夢です😄🩷🔔

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